見出し画像

アプリマーケターが知っておくべきApple WWDC2020 情報まとめ【完全保存版】

■ はじめに
こんにちは!Repro Growth Marketerの稲田宙人(@HirotoInada)です!

今年もAppleの大型カンファレンス"WWDC"が開催されています。
コロナの影響もあり史上初の完全オンライン開催となっていますが、新OS "iOS14"の発表など盛りだくさんの内容となっており、今年も大盛況な状況です。

今回は、WWDC2020で発表されているASO(アプリストア最適化)を中心としたアプリマーケティング関係のストア更新情報をまとめます。非常に重要な変更点ばかりで、日本最速・唯一の解説記事になっているので是非ご覧ください!

1. Featured Card

旧来はキーワードの検索結果に表示されていたFeatured Cardはバナー画像のみで、実際にダウンロードするには画像をタップして遷移するステップが必要でした。
iOS14では、検索結果でFeatured Cardのアプリアイコンが2つ表示されるようになります。
つまり、キーワードの検索結果では1位でも、Featured Cardが表示される場合は、実際のユーザーには3位のアプリとして認識されるということです。

画像1

Source:WWDC 2020: What’s new for the ASO and Organic UA

これは純粋なオーガニックのDL数低下に繋がる恐れがあります。
Splitmetricsの調査によると、検索順位による検索結果一覧からプロダクト詳細ページへのCTR(遷移率)は以下の表のようになっています。
旧来はオーガニックの1位表示であった場合は中央値換算で19.29%であったものが、今回のiOS14になると1.46%まで落ちる可能性があり、大きくオーガニックのDL数が落ちる恐れがある点は認識する必要があるでしょう。

画像2

Source:App Store Search Benchmarks and Tips on Improving Ranking

昨年からキーワード検索結果にFeatured Cardが表示されるキーワードが増えているなとは肌感としてありましたが、今年Appleは更に自社のおすすめを表示させることに注力して舵を切っていくようです。
実際、近年「AppStoreの閲覧」経由の流入割合は増加傾向にあり、ゲームアプリでは86%と顕著になっています。

画像3

Source:Getting Ready for 2020: How ASO Has Changed in 2019 and What’s Next

2. 表記揺れの自動補完

ASOにおいて正規の表現だけでなく、表記揺れの対策はトラフィック増加に非常に効果的な戦略です。
iOS14では、表記揺れで検索した場合でも自動的に正規表現の検索結果が表示されるようになります。
一般的に正規表現よりも表記揺れの方が、検索されている量が少ない・対策しているデベロッパーが少ないという2つの点でトラフィック増加に有効でしたが、今回の自動補完によりその戦略が破壊される恐れがあります。
現状どのレベルの検索ボリュームのキーワードまでにこの自動補完が適用されるのかは不明ですが、動向は注視していく必要があります。

画像4

Source:WWDC 2020: What’s new for the ASO and Organic UA

3. キーワードの自動補完入力

iOS14では、キーワードの入力途中でも自動的に入力候補を表示して補完する機能が搭載されます。
旧来のサジェストキーワードの最上部に表示されるキーワードを自動補完するため、検索ボリュームが大きいキーワードに検索が益々寄っていき、検索量が少ないキーワードからのトラフィックを獲得することが難しくなることが予想されます。

画像5

Source:WWDC 2020: What’s new for the ASO and Organic UA

4. アプリ詳細ページのアップデート

iOS14ではアプリ詳細ページにも2つの変更点があります。
まず1つ目は、アプリ情報セクションのリデザインです。
iOS14からはAppleArcadeと同じデザインで、評価・対象ユーザー・カテゴリ内順位が表示されるようになります。

2つ目は、プライバシー情報表示の拡充です。
旧来はプライバシーポリシーはリンクに遷移しないと確認できませんでしたが、iOS14ではストアページ内に詳細のプライバシーポリシー情報が表示されるようになります。アプリ使用をする上で、自分のどのようなデータが使用されるのかが明確に記載されるようになります。

画像6

Source:WWDC 2020: What’s new for the ASO and Organic UA

5. アプリ審査のガイドライン変更

iOSでは全てのアプリがアップデートするためには、毎回審査に提出してAppleの公開悔承認を受ける必要がありますが、その審査プロセスが大きく変更されます。変更点は2つです。

まず1つ目は、審査結果への不服申立です。
旧来は、審査に通過しない場合(リジェクト)は指摘された箇所を修正し、審査に通過するまで審査に提出し続ける必要がありました。今後は、審査結果への不服申立が可能になり、指摘された箇所がガイドラインに違反していない点を証明できるようになります。

次に2つ目は、特急申請の認可です。
旧来は、致命的なバグがある場合でもメタデータなどでガイドラインに違反していると判断された場合は、全ての指摘箇所を修正するまでは修正版を公開することができませんでした。
今後は、法務的問題を除くメタデータリジェクトの審査を飛ばして、致命的なバグ修正版にアップデートすることが可能になります。但し、その次のバージョンにアップデートする際には、メタデータを含めて全てのガイドライン違反箇所を修正する必要があります。

Additionally, two changes are coming to the app review process and will be implemented this summer. First, developers will not only be able to appeal decisions about whether an app violates a given guideline of the App Store Review Guidelines, but will also have a mechanism to challenge the guideline itself. Second, for apps that are already on the App Store, bug fixes will no longer be delayed over guideline violations except for those related to legal issues. Developers will instead be able to address the issue in their next submission.

Source:Apple reveals new developer technologies to foster the next generation of apps

この変更は今夏から適用されます。

6. サブスクリプションを家族でシェアできるように

サブスクリプションモデルを適用するアプリデベロッパーにとっては打撃になり得る「Family Sharing」機能が実装されます。この機能を利用することで1つの購入したサブスクリプションを家族全員で共有できるようになります。

画像7


単純に1人1人が購入するインセンティブが小さくなるため、収益が低下する恐れがありますが、この機能はデフォルトではオフになっています。デベロッパーは機能を有効にするかを任意で選択できますが、一度オンにした場合は再度オフにすることはできないので、よく考えて有効にするかを決めることをお勧めします。

Now you can share App Store subscriptions with everyone in your family with a single purchase. Subscriptions from participating apps can be shared with members of your Family Sharing group.

Source:New features coming with iOS 14.

7. App Clips

App Clipsは、完全版のアプリをダウンロードすることなく、必要な場所・タイミングでユーザーがアプリの一部機能を使用できるようになる機能です。

画像10

Source:Developing a Great App Clip

例えば、上記のコーヒーショップの例では、対応トリガーによってApp Clip Cardが起動し、そこから完全版のアプリをダウンロードすることなく、注文まで行うことができるようになっています。

対応しているトリガーは以下の6種類です。

・Safari
・Messages
・地図情報
・NFC Tag
・QR Code
・位置情報連動

AppClipsを使用するには必要なメタデータをAppStoreConnectから設定する必要があります。

画像11

App Clips Cardの最下部にはアプリ詳細ページへのリンクも存在するため、そこからのDL数増加も期待できます。

尚、AppStoreConnectでは以下のようにメタデータを編集できる他、インプレッション数・クリック数などの指標まで確認ができるようになっています。

画像12

Apple公式のApp Clipsの紹介は以下をご覧ください!

8. Game Center

Game Center機能にも2つの変更が加えられます。

まず1つ目は、チャレンジ機能です。
この機能を有効にすると、プレイヤーが他のプレイヤーにチャレンジを申し込むことができるようになります。

画像8


次に2つ目は、Recurring Leaderboard 機能です。
この機能は、ある一定期間のスコアを収集しリーダーボードを更新する機能で、設定した間隔で自動でスコアの収集を繰り返すことができるものです。
これにより、リーダーボードの更新頻度を独自に設定でき、常に新鮮なランキングを表示することが可能になります。

画像9

9. App Store Connect API

2018年から提供が開始されているApp Store Connect APIでは、TestFlight・User&Access・Provisioning・Reportsの4つに対応しています。
iOS14からは上記に加えて、App MetadataPower and Performance Metrics and Diagnosticの2つのAPIが新たに追加されます。

App Metadataでは以下の作業がAPIを介して自動で行うことができるようになります。

新バージョンの作成
価格設定
メタデータの編集
ビルドの新バージョンとの紐付け
審査への提出

Power and Performance Metrics and Diagnosticでは、App Store Connectで表示している粒度でDL数やクラッシュ数などのデータをAPI経由で入手することが可能になります。

------

■ 最後に
今年も盛りだくさんの内容のWWDC2020でした!
現時点(2020/06/24 15:30)で判明しているアプリマーケティングに関係するアップデート情報をギュッと圧縮してお届けしました!
また、最新情報が入ったらアップデートしますね!

個人的にはASO施策の破壊兆候が見え始めているのがちょっと怖いところです。
一方で、App Clipsの登場により、様々な経路からモチベーションの高いユーザーの獲得が望める点は非常に嬉しいと思いました。
今後最適化するべき箇所が増え、ますますアプリマーケティングの幅が広がり楽しくなりそうです!

-----
TwitterでもASO(アプリストア最適化)やアプリグロースに関する発信をしてます!
良ければシェアやフォロー頂けると泣いて喜びます!

https://twitter.com/HirotoInada
----------
Reproはこの度、ASO(アプリストア最適化)に必要なノウハウと工数をカバーするツール「ASO Insight」をリリースしました。

キーワードを含めてタイトル等をどのように作成するかはマーケターの手作業でしたが、「ASO Insight」では、アプリタイトル等の要素を独自のアルゴリズムに基づき自動生成で生成します。

ASOで数々の実績を出してきたReproのASOエキスパートのノウハウが反映されるアルゴリズムとなっており、プロに運用委託するのと変わらないレベルの提案が得られます。

ASOにかけるリソースやノウハウがないという企業にとっては、非常に有望なサービスとなっています。
ご興味のある方は、まずは、アプリのASO状況を分析する「ASO無料診断」をお気軽にお申し込みください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?