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ゲイの僕が上京を決めた理由 #16

以前の記事で、地元に居場所がなくなったという旨の話をしました。



もちろん、家族やノンケの友人関係が年齢を重ねるごとに辛くなっていたことは間違いないです。

しかし、それだけでは上京する決心はできなかったと思います。
僕が上京を決める大きなきっかけをくれたのは当時付き合っていた彼氏でした。

彼は一つ年上の人で、東京近郊に住んでいました。
マッチングアプリで知り合い、4ヶ月ほどやり取りをして
その後、毎月1回ずつのペースで会い4回会った後に付き合うことになりました。

お付き合いは2年半ほど続きました。
今は恋人関係ではないですが、よき友人であり、親友でもあり、兄でもあり大事な家族のような存在です。
(彼との詳細なエピソードはまた別の機会にお話できたらと思います。)


彼は東京で働いていました。
彼は職場でも友人にもカミングアウトをしていて、僕とは違っていました。
ゲイの友達も多く、僕が東京に行くたびに友人を紹介してくれてとても人望に厚い人なんだと思いました。
彼はいつもキラキラしていました。
楽しそうで、彼はまっすぐに自分らしく生きているように見えました。

そんな彼に対して憧れがあったと思います。

彼と僕の違いは何なのか。
彼とお付き合いをはじめてから、それをよく考えるようになりました。

彼は僕と正反対でした。
彼は自分に自信があって、いつも自分のことを「かわいい」と言っていました。
会うと「ひろト、今日の俺かわいいでしょ?」と、そんな風に言って上手に甘えてくるようなあざとく可愛い彼でした。
いつも楽観的で、言動がすべて前向きで、彼からマイナスオーラを感じたことはありませんでした。
肌もきれいで、スキンケアもきちんとしていて清潔感があって
いつも香水のいい香りがして、おしゃれな服を着て、指・手首・首・耳にアクセサリーを身に着けていて。
そんな素敵な彼でした。

一方、僕は自分に自信がなくて当時の僕は仕事に対しても恋愛に関しても、人間関係全般においてマイナスな言動が多かったように思います。
服装はセンスはなくて、自分なりに努力はしているつもりでしたが、僕にとっておしゃれは難しくて苦手でした。
アクセサリーなんてつけたことがないし、香水なんてもってのほかでした。もともとアトピー体質で肌も荒れやすく、肌に清潔感もなかったと思います。

彼は、友人関係はとてもうまくいっている印象でした。
一方僕は、人間関係がうまくいっていませんでした。


もちろん、彼が人間関係がうまくいっている要因はその素敵な外見や内面の部分が大きかったのだと思います。
僕も彼に見合う彼氏になれるように努力をしました。彼みたいに素敵な人間関係を築きたいと思い彼に近づこうと努力をしました。

でも、人って簡単には変われないですよね。
努力をしているつもりでも、根っこの部分の自分は変われなかったですし
彼自身、ありのままの僕を大好きでしてくれたので
ありのままを受け入れてくれる彼に甘えていた自分もいました。

前回の記事に書いていた通り、家族やノンケの友人たちとの関係性にも悩んでいましたが
地元のゲイのコミュニティーにも馴染めきれない自分がいました。

仲がいいと思っていた友人からいきなり身体の関係を迫られたり
グループで付き合いをしていた友人との関係性がうまくいかなくなり、グループに居づらくなったり
元彼から根も葉もない噂話を流される嫌がらせをうけたり

立て続けに上記のような出来事もあり
田舎の狭い人間関係にも疲れていました。

僕の地元のゲイのコミュニティは狭くて、基本的にはみんながみんなのことを知っているという言葉がしっくりくるような状況でした。
実際に会ったことがなくてもこの人は誰と仲がいいとか、誰の元彼だとかそういうことはなんとなくわかるようなそんな雰囲気でした。

噂話も独り歩きするような環境で、会ったこともない人の噂話も日常的に耳に入ってくるし
人間関係でなにか失敗するとそのコミュニティから排除されるような風潮もあり、人間関係にとても緊張感があったように思います。

そもそも、ゲイの人口も少なく
趣味や趣向が合う、お互いに気の合う同年代の友人を探そうと思うと、それは気が遠くなるような作業のように思いました。


彼と付き合いはじめて、東京にいく機会が増えました。
東京はとても自由な街でした。

高い建物がいっぱいで
目で追いきれないくらいたくさんの人たちが行き交っている。
個性的な服装をしている人たちもたくさんいる。

買い物するところもたくさんあるし、お店もたくさんあって選択肢がいっぱいある。
電車も数分おきにやってくるし、遅くまで走っている。

なんて自由で便利な街なんだと思いました。


そして、ここにいる人たちは僕のことなんて知らないし、僕に関心の眼差しを向ける人もいない。

自分がとてもちっぽけに思えました。
そしてそのちっぽけな僕でいられるこの環境にとても安心感がありました。
大衆に埋もれるただの一人の個人いられることがなによりも楽に感じました。

ここだと僕は“普通”でいられるのかもしれないと思いました。
今よりもずっと僕らしく生きられるのではないか。そう感じました。

そして、彼と別れて1年後に上京しました。

上京に不安はたくさんありましたが、上京する際にその彼や彼の友人たちがとても助けてくれました。

幸先のいい東京での生活をはじめられたのは彼のおかげですし、そのきっかけをくれたのも彼でした。

そして上京してからは、ありがたいことに友達がたくさんできました。
僕自身が精神的に成長できた部分もあったのだと思いますが、地元にいたときのような人間関係の悩みはなくなりました。

上京してよかったことがたくさんあります。

次回以降の記事で、上京してよかったこともまとめていきたいと思います。

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