見出し画像

「わらしべ長者」・35歳でフリーのカメラマンになったら時に大事だったこと(1)

こんにちは、写真でメシを食ってる人、滝川です。
何度か書いてますが、いまの仕事を始める前は、13年ほど前まで某県の地方公務員(福祉専門職)をやってました。そこから何を思ったか、いきなり転職してフリーのカメラマンになったわけですが、まあそれはたいへんでした(どうたいへんだったかは、みんな同じ境遇になれば同じようにたいへんだと思うのでここでは割愛します)
辞める2年くらいまえに長男が生まれたのを機にカメラを触り出して、辞めると同時に師匠に入門してました。その当時は弟子入りして修行期間が終わると同時に作家デビュー⭐︎とか甘いことを考えていたんですが、そんなにスルスルとうまくいくわけなんかないですよね。

今日は、ふりかえってみてフリーのカメラマンとしてやっていくのにいちばん役に立ったかを書いていこうと思います。職業カメラマンとしてやっていくのに必要なのは、何でしょうか?
いいカメラ?いいレンズ?有名スタジオでのアシスタント経験?資格?しっかりしたカリキュラムの専門学校で学ぶこと?

ぼくは何よりも撮影の経験を積んで撮った写真を残しておくことだなって思っています。どんな経歴を積んできたかじゃないです。有名スタジオで働いていたとか、有名写真家のところで下働きをしていたとかいうのは、仕事をもらううえでの信用を得るのにはプラスにはなるけど、それだけじゃダメ。
カメラマンじゃなくても、就職活動でどんな仕事の経験や技術を積んできていたのか事細かに聞かれる代わりに、あなたのお客様になるかもしれない方はあなたの撮った写真から「この人に頼んだら大丈夫そう」というのを選ぶわけですから。

経験というと仰々しく聞こえるんですが、要は自分が撮りたい写真ではなく「使ってもらえる」「気に入ってもらえる」写真もたくさん撮って残しておくということです。「も」というのは、もちろん、その過程で遊んでみたり工夫してみたり「自分が好きな写真」を撮ることもきっとみんな喜んでするんだけど、それは不思議なことに(誰に言われなくても)だいたいの人が後生大事に保存して残してるんですよね。そして、残しているそれはきっといつかは役に立ちます(すぐではないかもしれない)
でも、その写真以外の写真も残しておく事がもっと大事。そうすると、その写真が自分の撮影の実力を証明してくれる何よりも大きな営業ツールになるわけです。
写真家・カメラマンは自分の顔を売るのではなく撮った写真を多くの人に気に入ってもらうことが何より大事で目指したいところですよね。「わかってくれる人や気に入ってくれる人は一人でもいい」って書くとかっこいい感じはしますが、食っていくためにはそうも行きません。商業写真撮影でも写真作家活動でも同じです。

だから、もし、プロカメラマンというものになりたいと思ったなら、あとあと独立した時のことを考えてとにかく自分が撮った写真を残しておくことがとても大事ですね。商業写真なら商業写真の、写真作家なら写真作家としての「作品」を可能な限り消えないように、HDDやSSDがクラッシュしても大丈夫なようにバックアップを取る、とにかくたくさん残す。これが後々とても大事な財産になります。まとめるのは後でも良いです。後からでもできる。
これまで読んだことは当然のことのように思うかもしれませんが、意外にも現役の職業カメラマンでもやってない人が多い気がします。クライアント(お客様)に納品したら、ゴミ箱に入れて削除。もしくはDVDやブルーレイのディスクに保存して引き出しにしまい込む。二度と見返さないし使わない。

でもそれではダメ。
特に僕のように異業種で働いてきた人たちは、写真を撮って稼いできた実績などほぼないですから、人に見せられる写真が一枚でも多くあるというのはとても有利なことなんです。「こういう写真を撮るんだな、撮れるんだな」という(ポートフォリオ)のを見てもらうと、自分の写真を必要としてくれている人によりわかりやすく伝わるからです。

副業して収入を得ている人は、たとえ目的外使用で見せるなと言われていてもコツコツと撮りためて残しておく(見せるなとは言われてても残すなとは言われないわけですから)、100%仕事としてビジネスとして写真を撮っていない人は、例えば友人に頼まれて撮った七五三、結婚式、成人式のスナップ写真を撮りためておいたり、子どもの運動器で撮影した写真、家族の記念写真やスナップ撮影したものも残しておく。あるいは教本やYouTube動画を参考にして商品写真撮影練習をした写真でも上手く撮れたものは捨てないで残しておく。趣味でポートレートを撮っているのなら、お気に入りのものなんかを撮影会で撮った写真でもいいので撮って残しておく。これだけでも100%写真で仕事をする時の一番の武器になってくれます。

とにかく次の仕事につなげるためには、写真を撮り溜めること。Webのポートフォリオやホームページなんかの公に見られるようなところに載せないかぎりは、どんな風に撮りためてきた写真を使うかは誰にとっても自由なはずです。表に出ない営業ツールとして他にない唯一無二の財産として可能な限り活用させてもらいましょう。そして、それらの写真を気に入ってもらったお客さんのために撮った写真がまた一枚一枚と溜まっていき、それを見てもらって引き換えにまた仕事をもらい、また写真をらせてもらってそれを見てもらいまた撮らせてもらって・・・仕事の規模も大きいものを任せてもらえるようになったり、より高い技術を求められる仕事を任せてもらえるようになったりして報酬も上がっていく、結局その繰り返しでお仕事を継続的にもらえる機械が増えていく。
ほんのちっぽけなわらしべのような1枚の写真が縁をつなげて次の仕事に次の仕事につながってくれる。結局、写真でメシを食っていくってそういうことなんだと思うんですよね。だから、撮った写真はどんな写真であっても財産。僕はそう思っています。

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,645件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?