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電子書籍と「紙の本」はカニバらない

本日6月22日土曜日、愉快な経験があり、表題のような私見について確信を深めたので、シェアしたく存じます。

まさかのAmazonトップ20返り咲き

高井さんの朝は、寝床でのツイッターのタイムラインチェックで始まる。
ニュースや話題のハッシュタグをざっと見ると、「おカネの教室」と「高井浩章」でエゴサーチをする。ネットへの寄稿の読まれ具合のチェックや、本の感想への返信が目的だ。
下の投稿のように、私は「読者コメントに全レス」という遊びを続けている。レスすると「おわ!?著者がきた!!」ってなるから、楽しい。

今朝もそんな調子で、二度寝するか迷いながらエゴサしたら、どうも様子がおかしい。
botのツイートが妙に多いのだ。
いつもは読み飛ばすのだが、「何だろう?」とチェックしてみたら、「本日限り Kindle日替わりセール!」の文字が目に飛び込んできた。
一気に目が覚めた。
「キタコレ!久々に『祭り』だ!」

Kindle事情に疎い方(が大半ですよね)にご説明すると。
「日替わりセール」というのは、Amazonが毎日3つのKindle本を選んで半額にしちゃうというものだ。
Kindleのトップ画面で、こんな感じでイチオシしてもらえる。

半藤一利さんの名著と並んでの、イチオシ。恐れ多い……。
しかも図々しくも「上座」にいるし。

これに選ばれると、Amazon公式がSNSやメールでも拡散してくれるので強烈なマーケティング効果がある。
どれぐらい強烈かというと、24時間前に8000位ぐらいだったKindleストア総合ランキングが一気に20位以内まで跳ね上がった。
販売数で言うと、おそらく一桁から三桁にジャンプアップしているはずだ(著者にはリアルタイムではわかりません)。
ちなみに、Amazon様は偉いので、選ばれたことは、事前にも、事後にも、ご連絡等はございません。Amazon様は偉いので。
「毎朝、寝床でツイッターって、どうよ?」と反省するところもあったのだが、「祭り」に乗り遅れずに済んだ。
悪癖にお墨付きをくれて、ありがとう、Amazon様。

実は「おカネの教室」がこのセールに選ばれるのは2回目だ。
1回目は刊行して2か月ほど経った5月5日、子どもの日だった。この時はなんと、Kindleランキングで総合トップまで行った。
「おカネの教室」は2017年に個人出版した私家版で無料部門トップを取ったことがある。
そして通常の書籍版は、下の記事がバズった18年10月に総合トップに(数時間だけ)なった。
「Amazon三冠王」は普通の流通形態ではとれないので、おそらく空前絶後だろう。ドーダ!

「紙の本」は食われない

そんな自慢話は置いておいて、今回のテーマ、「電子書籍は『紙の本』とカニバらない」に移る。

今朝の「祭り」が始まった時点で、私はこのチャンスにある疑問を検証したいと思いついた。

「安い電子書籍が出ちゃったら、『紙の本』は売れなくなるのか」

これである。
「おカネの教室」は普段は税込みで「紙」が1728円、Kindleが1555円、価格差は170円ほどだ。
この程度なら、媒体の好みで読者はどちらを買うか選択するだろう。
ちなみ拙著は、他の書籍と比べるとKindle版の販売比率が2倍ぐらい多い。「それって『紙』が売れてないだけじゃ……」とか気づく子は、先生、嫌いだぞ!
わき道にそれた。
「日替わりセール」ではKindle版は699円と超お買い得価格になる。「紙」との価格差は一気に1000円以上になる。これだけ差があれば、私ならKindleを買いそうだ。

さて、実際はどうか。
本日のAmazonランキングのグラフを見てみよう。

青がKindle、赤が紙の本。Kindleは早々に2桁に跳ね上がり、20位内をキープして最高17位まで行った(22時現在)。

(このあともう1つだけ、ランクアップしました)

注目すべきは赤の「紙の本」だ。最初、Kindleと反比例してズルズルと順位が下がり、私は「あ、やっぱり安い方に流れるんだな」と解釈した。ここだけ見ると、Kindleに「紙」が食われている、カニバっているように見えた。

ところが。
ご覧のようにそこから「紙」も盛り返し、一時は1000位以内に入ったのだ。最近の居所は2000~6000位ぐらいなので、これは明らかにKindle版のセールによる相乗効果だ。
これまでの経験で言うと、1日の販売冊数は平時の2~3倍程度になっているはずだ。

たった1つのコンテンツ、たった1日というサンプルでしかないが、これまでにも何度か版元主催のKindleのセールなどを見てきた経験からも、電子書籍と「紙」がカニバることはないと私は感じている。
むしろ、今回のように、露出が増えれば「紙」にもプラスに働く。

「紙」は死なず

これは「巷間言われるほど『紙の本』というパッケージの寿命は短くないし、しぶとく生き残るだろう」ということを示唆しているのではないだろうか。

「おカネの教室」はKDPというKindleの個人出版から始まったコンテンツであり、私自身もKindle Paper Whiteを愛用している。
それでも、どっちが好きかと聞かれれば断然「紙」派だ。
Kindleの半額セールで本を知り、金額にして1000円、2倍以上の価格差を乗り越えて「紙の本」を買ってくれる読者がいる。
今日は、もちろん自分の本のKindle版をたくさんご購入いただけたのが嬉しかったのだけれど、それと同じくらいに「紙の本」が再注目されたのに喜びを感じた。

余談だが、今日は新潮社フォーサイトのマンガコラムでも、「よつばと!」を取り上げたら公式アカウントが拡散してくれてバズるという嬉しいハプニングがあった。こちらです。しばらく無料なので、ぜひ、ご一読を。

ああ、なんて素晴らしい週末だ。
と幸せに浸っていればいいのに、人間とはあさましいものでありまして。
今日、Kindleストアでトップをキープしていたこの本が気になって、いろいろ考えていた。

うーん……。なんだか悪い冗談みたいに似たテーマだし、価格、星の数は拙著の方が競争力ありそうなんだけど……。
やっぱり、地味なのかなぁ、「おカネの教室」……。
あ、でも、取り柄もあるんですよ。これ見てください。

2018年3月の発売以来のKindleのランキンググラフで、著者だけ見られるページの貴重なキャプチャでございます。
ご覧のように、何度も奈落に落ちそうになっては蘇生している。特に今回の復活は、我ながら、なかなかのミラクル。「不死鳥のように」なんていうとカッコいいのですが、私は自分で「ゾンビ本」と呼んでおります。

これからも、「ゾンビ本」らしく、しつこく生き残っていきたいと思う所存ですので、ご支援のほどよろしくお願いします!

あれ……でも、今気づいたんだけど、生き残るもなにも、ゾンビって、死んでますよね……。

ま、いいか。

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