2020-6-30 日記. ベンチャー企業の研究者: プロジェクトを進めるために考えていること1

研究プロジェクトが開始して, 終わるまでには段階があって, この段階をいかにスムーズに行うかが生産性を左右すると思っている.

さらに, プロジェクトに関わるステイクホルダー(関係者)の認識も変えていかないといけないので, 多くの点でコミュニケーション能力が求められる. プロジェクトの進行とともに必要なコミュニケーション能力についても具体化したい.

研究のプロジェクトにはいくつか段階がある. 下のものが大まかに存在している.

1. 研究背景を元にまだ調べられていないことについて考える.

ここら辺で専門的な知識があると, どこを攻めると面白そうな成果が出てくるかの勘所が掴める.

2. まだ調べられていない領域に関連しそうな分野の論文や研究背景の論文を調べる.

1.と2.はすでに様々な研究をしていれば, その結果としてそれ自体で出てくる場合がある. 今回は

3. 1.と2.をもとに検証したい仮説や, その仮説を実験検証が可能そうな研究を提案する.

4. 研究の背景と, 調べられていない領域, 研究提案をボスに行なったり, 同僚にプレゼンしたりする.

受け入れられれば, 5.に進むが, 1-3.を何度も繰り返して, 4.を行うこともしばしばである. また関係者が予算を出すという観点から, 関係者が興味を持てる内容であるかどうかも大きなポイントになる. 構造的には, 上司にビジネスプランを提案するビジネスマンと何も変わらないように見える. 予算の決定権は, 彼らが持っているので, アピールできる内容&自分が意味があると思えるものを選ぶ方が良い.

正直ここでオッケーをもらう段階に来れば, あとはやるだけなので精神的には楽になる.

5. 実験と解析のプロトコルの詳細を具体化しつつ, 実行していく.

4.に承認がもらえたら, 5.にすすみ実験を組んだり, 検証したい仮説をより細かい粒度にしていく. それらを検証できる実験かどうかを常にチェックをもらう. ここで必要になるのが専門的な技術や知識となる. ここを怠るといつまでたってもプロジェクトの成果が出てこない.

6. ボスに実験の詳細や進捗を報告しつつ, 随時研究テーマを共有しておく

関係者やボスは他のプロジェクトがあり忙しいものだ, 基本的にいつも同じことを言っていても納得しているかわからないことも多い.

議論の経緯は, プロジェクトの主導者が持っている必要がある.

7. いくつかクリティカルな証拠が出てきたら論文執筆の段階に入る.

アウトラインを書いて, 関係者と共有しつつ妥当な結論の大まかな合意を取る.

9. 書き, 分析し, コメントをもらう.

一気に書き進める. かけないところはかけない理由があるはずなので, そこを明確にする. コメントをもらいつつ, 修正が必要な部分を明確にする. ここで, 再解析が必要なことはあるかもしれない.

10. 最後論文を雑誌にサブミットする.

以下略

他にも考えていることがあるので, まとめて【研究の研究シリーズ】に記事を書いておくつもり.


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