2020-6-22 日記. ベンチャー企業の研究者: メガネ屋でメガネを買うと、意識の研究と似たようなことをしている

最近メガネを壊してしまった。5年近く使っていたメガネで、一番のお気に入りだった。だから、久々にメガネを買いにいった。とても楽しかったので、書いておく。

その中で、赤と緑の色がどちらがより見えやすいだとか、どちらの方がぼやけて見えるかなど、レンズを切り替えながら他人が見ている経験の報告をもとに相手の経験を修正している。

不思議なもので、他人が見ている世界は僕たちは見えない。見えないのだが、あるかのように振る舞う。痛みだって、本当に相手が痛いのかどうかはわからない。

これは他人の意識経験を前提とした行為で、当たり前のように行われている。

意識の研究で、ヘテロ現象学と呼ばれる考えがある。メガネ屋さんはその知識を使って商売しているわけだ。そう考えると胸が熱くなる。

もう一つ面白いことがあって、利き目を探す作業だ。手で円を作って、自分の視界の真ん中に掲げて、目印がその手で作った円の中に入るようにする。そして、右目を閉じたり、左目を閉じたりする。そうすると、どちらかの目を閉じた時に、目印が視界から消える。

僕の場合は、右目を閉じると視界から消えた。ということは真ん中にある物体を見ていたのは、右目ということになる。つまり、利き目は右目だ。

翻って考えてみると、右目と左目で入ってきた情報を脳は組み合わせて、僕らの意識経験を作る。しかし、それには非対称性みたいなものがあって、それが利き目に現れてくる。

つまり、右目の情報を処理する脳が、優先的に真ん中の情報を取得するようになっているというわけだ。

ここからいろんなことが考えられる。

1. 利き目を閉じた状態で長い間過ごしてもらったら、もう片方の目に利き目が変化するかとか

2. 右目と左目に異なる視覚刺激を与えるとどっちが見えるようになるのか(実はこれは両眼視野闘争という現象として知られている)

3. 右目と左目の情報を脳のどこで組み合わせているかなどだ。

実際にこれらの実験はやられているし、暫定的な回答も与えられている。しかし、日常の例としてメガネ屋さんで科学のもとみたいなものがあることに気づかなかったので驚いたというわけだ。

当たり前のことだけど、研究の発想が日常に溢れていることを思い出した良いエピソードになった。

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