中国映画舐めてた「サンザシの樹の下で」
「サンザシの樹の下で」チャン・イーモウ監督作品
アマプラで配信切れ間際なので、せっかくなら普段見ないような映画を見てやろうということで、「サンザシの樹の下で」という映画を見ました。シンプルイズベストというか、心苦しいというか、色々な気持ちになりした。
ネタバレを一部含みます。
サンザシの樹とは
日本軍が対中戦争(日中戦争だと思われますが)で中国の地で戦い、中国兵がサンザシの樹の下で戦死し、白いはずのサンザシの樹は赤い花を咲かせるようになったというエピソードから始まります。
主人公である静秋(ジンチュウ)という女学生は、文化大革命の中、共産主義の教材となる話を探しに村にホームステイします。サンザシの樹を愛国主義のための教材にしようと考えていました。
そこで孫建新(スン・ジェンシン)という地質調査隊の青年隊員に出会います。二人は恋に落ちるんですが、ジンチュウは家庭が貧しいので教師を目指すためにスンとの関係を絶つべきだと母に諭されます。しかし、二人は会うことを密かに続けます。。
最後のシーン
ジンチュウはスンが白血病で入院していると聞き、お見舞いに行きます。スンがいうには単なる健康診断だと言います。二人は3日間病院でいっしょに過ごします。しかし、スンがジンチュウに手を出すことはありませんでした。
その後、ジンチュウの友達が中絶するから付き添いとして来てほしいとジンチュウに頼んできます。
ジンチュウは、単なる体を目的としていたのではないスンの行動を振り返り、病室に戻ろうとします。
そこに彼の姿はもうありませんでした。
ネタバレになりますが、
しばらく経ってから、スンがやはり白血病であったことが発覚します。地質調査の仕事の中で被爆したのだと思われます。ジンチュウは急いで病院に向かいます。もう風前の灯火でした。
動けなくなったスンが見上げている天井には、二人で撮った記念写真が貼られていました。
ジンチュウに看取られてスンは亡くなります。
その二人が暮らした町は、ダムの建設で水没しました。実在する三峡ダムだとWikiに書かれてました。
ダムで水没した町にはスンが眠っています。
ジンチュンはその場所を訪れ続けます。
感想
閉ざされた日常の中で、スンとジンチュンの中が深まっていくのは温かい気持ちになります。
昔の時代だからこそのピュアさというか苦しさが丁寧に描写されていました。
二人の思い出を見てから、最後のシーンを見ると、自然と感動してきます。
中国共産党とこの映画
文化大革命や三峡ダム建設(保守派の李鵬による強引な建設)などの中国共産党を背景とする物語です。その辛さを暗に示していると言えます。
チャン・イーモウ監督は文化大革命を描く作品が多いですが、中国映画界では文化大革命をタブー視する風潮が強いようで、挑戦的な姿勢だと言えます。
一方でチャン監督は「金陵十三釵」という南京大虐殺を描いた映画も作成しており、一方的な日本軍批判となる映画ではないものの、プロパガンダ的な作品になっています。チャン監督自体には政治的に反日思想はそこまで感じません。
そうとは言っても政治的立場よりも、純粋に人間ドラマとして感動する王道作品でした。こういうのでいいんだよ、ということです。
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