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第2弾!「算数文章題が解けない子どもたち」~「学習性無力感」~

広島でプチ話題になってます

記事の筆者は広島県在住です。算数文章題が解けない子どもたち」(今井むつみ他著 岩波書店)は、広島県の一部の教育関係者で話題になっています。

よく話題になるのが「学習性無力感」の児童へのアプローチと「死んだ知識」を「生きた知識」に再生する方法です。

つまり、(広島県の)先生たちの懸念と願望

・「学習性無力感」の児童を減らしたい
・いつでも使える「生きた知識」を伝えたい

とも言えます。

このことを議論できるようになったのも算数文章題が解けない子どもたちが一般に分かりやすく解説してくれたからだと感謝しています。

定年退職した筆者ですが、高学年の担任のピンチヒッターを、数週間務めました。夏休みにある他校の先生との交流会で「どこのクラスも、目が死んでいる子がいる。」との意見がありました。
『ええっ、誰も否定しないのか?』と心の中でつぶやいたのですが、その学校の先生たちは同意しているようでした。

さて、閉会のあいさつで、その学校の校長先生は「私が経験してきたこれまで通りの繰り返し学習しか、学力を身につけさせる方法はないですよね。」と、変革を受け入れられない心情や事情を吐露しており、変革を進めようする他校との差を埋める言葉も思いつかなかったようでした。(昭和を思わせるこんな発言は、広島の一部だけであってほしい・・)

この本が「先生たちを突き動かした」背景

先生たちは、授業を変えたいと思っていますが、実際は、指導主事や管理職、管理職を退いた若手教員の指導者などの影響を大きく受けています。つまり「子どもを鍛える」という管理して体に教え込む手法に影響されています。残念ながら「子どもを知る」という観察して気付かせる手法は、「子どもを甘やかす」といって主体性をも管理したい先生の心情から、なかなか浸透していないのも事実です。黙って静かに先生の話を聞き、発言さえも先生の許可を求める授業のルール・・ルールを守らせても「死んだ目」が宙を見つめてる・・何か違う・・

「学習性無力感」の子どもを救いたい!

まず、同著における「学習性無力感」について簡単に抜き書きします。
(引用:2―6)「無回答の割合は、5年の下位層(注:全体の1/3ずつを上位・中位・下位とした)に突出して多い。・・文章題を解くのは自分には無理、と思い、取り組まずに無回答のまま提出してしまう・・・これは心理学では『学習性無力感』といわれるもので・・・」とあります。そして、「これは絶対に見過ごせない。なんとかしなければならない。」と結んであります。

この本を読んでいる先生たちに共通するのは、
・学力について困難さをもっている学校の先生(管理職含む)
・環境に特別な事情を抱えている児童の担任
・教え込んでも学力が上がらない児童の担任
です。

つまり、一定の指導の努力をしても学力向上の効果を与えられない先生たちです。「学習性無力感」と表現されている子どもたちの担任・担当教諭ともいえます。

賛同されている箇所としては、同著の「この本は、学力を上げるための書ではない」との趣旨の箇所と、「すべての誤答には子どもなりの理屈がある」との箇所だと感じています。筆者が思うに、先生に出来ないことを分かってほしいけど、それをうまく言えない子どもたちの思いを代弁した本なのだと思います。読んでいると、そうした子どもの顔が思い浮かび、「そんな思いを受け止めてあげられずゴメンね」という反省と「今度は、その思いを受け止められそうだ」という確かなビジョンから、「先生たちを『突き動かした』本になった」と言えます。

どんなフレーズが役に立ったのかは、次回に続きます。


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