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#掌編小説

【小説】いつかまたどこかで

【小説】いつかまたどこかで

幸せな毎日でした。一緒に居れるだけでよかったのです。でも私のそんなささやかな幸せは一瞬にして奪われてしまいました。

今日は私のそんな話を聞いてください。

私はそのころ大介という人と付き合っていました。大介とは高校時代から数えて、八年も付き合っていて、一番心を許せる大切な人でした。傍に居れるだけで幸せで、私はこの人と結婚するんだと決め込んでいました。それは大介も同じだったようで、私の誕生日が近づ

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【短編】夕暮れの街で

【短編】夕暮れの街で

コンクール前のホール練習も終わり、あさひは自分のクラリネットにスワブを通しながら明日の本番のことを考えていた。10年連続県大会金賞がかかった明日の大会は、あさひにとって中学生活最後のコンクールでもあった。

2003年の夏。15歳の夏。二度と来ることない最後の夏。今年の課題曲は課題曲Ⅱ『イギリス民謡による行進曲』自由曲は『大阪俗謡による幻想曲』

あさひは自由曲の中間部にあるオーボエのソロが好きだ

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