💙受験国語　テストB　小説文　清拭

題＜清拭＞　＜テスト対策　小説文解答のポイント＞　初めからシラミつぶしに読んではいけない。時間が足りなくなる。最初と最後の三行をチェックする。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〇本文を読まなくてもできる知識問題から解いていこう。（漢字・指示語・接続語）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〇場面・時間の変化に気付くこと。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〇出来ごと→心情の変化→身体反応・態度の変化　　　　　　　　　　　　　　　〇主旨（作者が表現したいこと）

💗題　＜清拭＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
普通は文章の後にかならず書いてある。ここでは「清拭について話が進む」と予測される。

　九十二才の夫の母が、老衰ので亡くなる直前のことである。義母（はは）と同居している義姉（あね）が介護疲れだという。清拭しに訪ねた。
　姑は骨と皮ばかりになり、浴衣を着て横たわっていた。小柄な義母が、さらに小さく見えた。胸元を拭き、横向きにし、背中を開けたとき、ハッと息を飲んだ。薄緑色の文様が、肩から腰に広がっているのを認めたからだ。
　背中を拭きながら、様々な思いが交錯した。病院で診察室に一緒に入れてくれなかった事。旅行に行っても一緒に温泉に行かなかった事。義母が6才の時幼い妹弟と共に両親に捨てられたこと。新婚以来、常に私の事を気にかけてくれて、台所に控えていると、必ず「道子さんに.....」と言って、おまんじゅうや、おせんべいが、皆の手を渡ってきた事。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　    お下をていねいに拭き終えてそっと布団をかけると義母はつぶやくように言った。
「新婚の時から、お父さんの背中を流してあげるのが日課でね。あるとき、  お前のも流してやるって聞かないので『背中にアザがあるので見られたく  ない』と言ったんです。そうしたら『な～んだ。そんな事か～』と言って    流してくれてね.....」
　しばらく遠くを見るように目を泳がせていた義母の口から一言もれた。
「ああ、お父さん.........」　　　　                                                                         夫を亡くしてから十二年間、どんなに寂しかったろう。私は呆然としたまま涙だけはこぼすまいと、必死にこらえた。
　義母はそれから間もなく、深夜に義姉の横のベッドで次第に呼吸が浅くなり、夫のもとへ召された。

😀漢字
老衰（ろうすい）
義母（ぎぼ　ここでは親しみを込めて「はは」と読ませている）
義姉（ぎし　ここでは親しみを込めて「あね」と読ませている)
清拭（せいしき　清らかに拭くこと）
訪（たず）ねた
姑（しゅうとめ・夫の母）姑（しゅうとめ・夫の母）
浴衣(ゆかた)
紋様（もんよう）
様々（さまざま）　　                                                         　　　　　　　　　　　　交錯（こうさく・いりまじること）
診察室（しんさつしつ）
日課（にっか　毎日すること）
寂しい（さびしい）
呆然（ぼうぜん　おどろき、気がぬけること）                 　　　　　　　　　　　　　　    　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

😀指示語　
そんな事　アザがあること
それから　道子が清拭に行った日から

😀場面   題名と、最初と最後の二行をチェックすることによって、お嫁      さんが夫の母親の体を拭きに行った時の話だと分かります。

😀出来事→心情→態度・身体的反応

ハッと息を飲んだ →義母の背中に、薄緑色の文様を認めて、驚いている       

様々な思い が交錯した →義母がアザを隠そうとしていた事、幼いころから苦労したこと、嫁である他人にも優しく接していた事 など、めまぐるしく考えてあわせていた。

お下をていねいに拭き・そっと布団をかける→義母に対するいたわりや尊敬の気持ち

なーんだ、そんなことか→おおらかで、思いやりのある性格

しばらく遠くを見るように目を泳がせていた→亡くなった夫のことを思い出し、考えている

「ああ、お父さん...........」→亡くなった夫に対する強い感情が言葉になって出た

呆然としたまま、涙だけはこぼすまいと、必死にこらえた→初めて知った義母と義父の強い愛情に結ばれた人生。また苦労の多かった人生にもかかわらず、思いやりのあった義母に敬意を示すために、軽はずみ に泣いてはいけないと、がまんした。　

＜注＞ここにある回答は、一例であって、特に最後の問題は、すべて一字も違わず、この通りでなくてもOKです。