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フレンチトースト

フレンチトーストが食べたい。

作る。

【材料】
・食パン(4枚切り)…1枚
・卵…1個
・豆乳…食パンがひたひたに浸るぐらい

前日の夜、食パンを卵液に浸す。
明日の朝が楽しみだ。

冷蔵庫を開くたびに、ちらりと卵液に浸る食パン達の様子を伺う。だんだんと減っていく卵液。染みてる、染みてる。しみしみをしめしめと眺める。

朝起きて、冷蔵庫を開ける。
彼奴等は、如何だろうか。

卵液はだいぶ減り、ふくふくに膨れた食パン達。

いいじゃないか。

焼こうじゃないか。

フライパンにバターをひく。
全体にバターを纏わせたフレンチトースト。
きっと美味しいだろうな…(にやり)。

フライパンを熱して温めたら、焦がさないように、弱火で焼く。

ほにゃほにゃの食パンたち。菜箸で挟むと、柔らかすぎて、箸の形が刻み込まれてしまう。それさえ、愛おしい。

ほにゃ食パン達をフライパンに並べ終えたら、浸していた容器に、少しだけ卵液が残っていた。

その卵液を食パン達に追いがけする。
染みろーーー。

しかし、残念ながら、もうひたひたの食パン達。水分を吸い込む余裕はなく、するすると食パン達を滑り落ち、敢えなくフライパンに広がる卵液たち。

はぐれ卵液。やむなし。

食パン達に美味しそうな焼き目がつくまで、じっと待つ。イメージはできている。ほんのり黄色くて、香ばしいバターの香りのする、ほわほわのフレンチトーストたち。ほわほわ。

まずは、食パン達を滑り落ちたはぐれ卵液が固まり出す。その塊を集めたら、柔らかいスクランブルエッグになった。

ひと口食べてみる。

バターの香るスクランブルエッグだ。これはこれで優しいお味で、悪くない。

食パン達は、まだ白い。

焦らない。弱火でじっくり焼く。

ひっくり返すと、焼き目がフライパンに付いてしまう。せっかくの焼き目が…!

食パン達はほやほやに柔らかすぎて、フライパンから焼き目を連れてくることができない。フライパンの方が、つなぎ止める力が強い。

自分のからだの一部をもぎ取られる食パン達。

フライパンに残る美味しそうな焼き目たち。

再挑戦するも、やっぱりフライパン強し。

ひっくり返すたびに、フライパンに焼き目を残し、食パンは白くてほにゃほにゃのまま。なんだったら、フライパンに焼き目を奪われているから、心なしか痩せていく。

フライパンに残る焼き目達をカリカリと剥がして食べてみる。

美味しい。

これ、フレンチトーストに付いてて欲しいのに。

もしかして。

はぐれ卵液にバターを吸われてしまったのかもしれない。はぐれ卵液改めスクランブルエッグはバターの香りたっぷりだった。

食パン達にバターを染み込ませて焼けば、違う結果が出たのだろうか…(疑心暗鬼)。

フライパンに増え続ける焼き目を、カリカリとつまみ食いしながら、まだフレンチトーストを食べていないのに、すでに反省会。

焼き目はつかない。

もう、食べよう!

脳内イメージとはちょっと違うけれど、食パン改めフレンチトースト達をお皿に盛り付け、蜂蜜をかける。

スプーンひとさじの蜂蜜を纏わせる。

スプーンから滴り落ちる蜂蜜。

美しい。

いただきます!!

柔らかくて美味しい…♡

食べたいものを食べられるって、幸せだ。当たり前にある幸せを、しっかりと味わう。自分を満たし、喜ばせる方法は、いくつあってもいい。

ごちそうさまでした!

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