『曲』2019.11.26


溶けると刺さるが両立する
世界のうろこを剥がした。
不味い、と吐きだした舌の先
滴る金の粒が、葡萄色の
発酵させる菌を集める。樽(タル)
の中、はじめての発明品

彼を、
頬を紅潮させうずくま
らせた。明日になれば、きっと
世界の中心に立つ。
視線を集め、剥がされたうろ
この
痛みを
一枚一枚
読み上げる。「歌」に酔いしれるのは脳みそを失った、水の中の
ニンゲンたちだけ。踊るのはニンゲンたちだけ。
中心で、
内側から込み上げる疼きを、
音にして、既に沈んでしまった、
沈んだこの世界。
外部から眺めなが
ら。沈む内部の僕、息のできない。
指先と指先を、
触れ合わせる、気泡。
音を発酵させる、蛇口をひねれば、
丸い滴になり葡萄色の菌を
まとってこぼれ、僕の世界に、上から
一つ一つ、音が積み上げられ、完成する。



わたしは音楽ができないので、音楽で何かを表現できる人はすごいとおもいます。できない故に音楽を美化するのだとおもいます。美術館いきたい。

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