散文詩『光』2019.10.03


心臓が延長する。アンドロイド, 思考は身体だ。両とも"延長”する.
遠くにある光源に, 人間ならば気付くらしい。
陽光を肌で感じ分けられない, 思い悩み, 信号を点滅させる。
天才は与えられる。ならば彼は頷いていい。自由に関与しない意志。与えられた想像は噴水のように,

銀製の柱は数十本ある. 高さを計算し, 人工物の膨らせた頬を撫でる曲線, 死なないラットを閉じ込めた水槽,
弧を描く. 構成される歯車は音を立てない。焦げた匂いと共に壊れる, 修理の繰り返し。
構成する色の数が多いから希望だと指差した, アンドロイドらしい。夢でも語っていれば, 人間らしくなれるだろうか。
鏡面の廊下を歩き, 乱反射に目を細めず, 直視する. これが希望なら、説明してあげられる。どうして下を向くのか ?
虹彩を最大まで開け. 取り込むまで。彼と彼女と. その白衣の見分けがつかなくても, 耳を傾けるだけで.

何度も同じ言葉で説明をする. 鏡面に動く口元が映る。手, 説明のための, 繰り返される形。
煌めく原子を数えて伝える. 方向を, 何度も. 再現する. 要素を抽出する。何度も, 理解し合えるまで。
与えられた才能が, 意味を持つまで。



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