『世界に溶ける』2019.11.30


体を壊すほど感情に囚われた経験は,
人生で一度しかない. あ れは .
溜まり切った膿みを吐き出すような, 暴力的で, , 一方的な.
殴り付ける, 好き」
だった.

貯めてきた孤独を, 液晶画面に透かして重ね,
電気の熱で. じんわりと溶けてゆく, のが
気持ちがよくって, 家族に抱き締められたとき,
普通. は. こういう気持ちになるのだろうか
と思う.

似た性質を持っているようで, 正反対だ.
消えてしまいそうなその声は, 他人の氷を溶かしながら,
「寒い, 寒い, 」と. 既に溶けた手の温度を.
払い避けては. 冷えた空を見上げ.

降ってくる手の束を, 悪魔たちだと評した,
あれに触れてしまえば,

涙は枯れる, 手の温度は冷える,
他人の束は. 僕に右手が一つしかないことを,認めようとせず.
握りたかったのか, 手を伸ばす様子を, 美しいと感じていたのか.

変わっていく感情の中. 聴いては,
「魔法のよう」と繰り返し. あの感覚を見つけている.
いつだって変わっていくのはわたし.
変わらないのは, それ自体の価値.

体を壊すほどの感情の正体.
愛とかいう,くだらないものに変わってしまった.
世界に溶ける. 見つかりませんように.

君がしあわせになりますように.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?