「こわれる」2019.12.09



世界が一度壊れなければ創りなおせないなら、元は醜くあったほうが良いのかもしれない。何の感慨もなく、トンカチで潰せるくらいに何も無いほうが良いのかもしれない。そうして再構築される世界は精緻な構造で夢に沈み、薄い霧のかかる街灯は泣いてゆく。間違っていたのではなく、今の為にと、死んだ鳥を数えながら、くだらない銃で叫んだ二本足らの羽を毟り。渦巻く黒に風穴をあけて、霞んだ空から涙を落とす。今の為に。虚しく在る眼前をあいするのは、今の為だと。いずれ「こわれる」のだとしても、悲しい答として息をする。積木のように崩れてしまうから、見ておく、ほうを選ぶのだろう。目蓋を開け続ける理由を見つけるため、眠らない夜が過ぎていく。夢に沈めた終末を、指の隙間から失くしてしまった。





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