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詩や、遊んだ文章など

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特殊な感じで書いた文章をまとめます。暗いのもあります。
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#ミニポエム

『祖母』2020.5.1

幸福でいてください。床下に、貴方へ。 埋めておきましたからね。紙風船、桔梗。 春は来ました…

『サソリ、星屑』2019.11.11

神経毒みたいに 切なさを、擦り込む 落ちてきた星は、かんたんに せかいを壊しては、すぐに再…

『銃殺』2019.10.24

マーガリンを塗りたくる夜のダンス、白鳥の羽を表現した淡い広場、くるみ割り人形が踊り嘘つき…

『汚れないで、男の子』2020.3.21

洗濯物が干してあるアパート プライバシーロス、君の生き様 玄関前で聞こえる君の声 スウェッ…

『斜陽』2020.3.10

待ってた 君を 指と指 溶け合う 心に触れてみたい 透明に 響き合う 暗い海の そこにいる …

『記憶を正にする√』2020.1.29

硬化した心臓に、流れ込む微かの 忘れたい過去へ、呼吸を放り込む箱 風化した構造に、霧裂ける…

「迷惑と思ってくれたら」2019.12.10

やってしまった、と妹から連絡が来た。その手編みのマフラーは被害者男性の自宅ポストに押し込まれたらしい。あの人は悪くない、と繰り返す妹は明らかに、振り向かない彼に不満を持っていた。じゃあ諦めたら、と言うと、既に諦めていると返ってくる。気持ちが欲しいわけではない、嫌がらせをしたいわけでもない。何も求めない、と妹は繰り返す。それならやめなよ、と僕が返すと、だって首元が寒そうだったから、と健常な善人が他人へ親切するような物言いで、妹が呟く。だからマフラーなんか編んだの、と聞くと、そう

「少女と花と殺人」2019.12.09

溺れた花を燃やす少女の背中に骨が浮いている。「私はどうして泣かないのかな」「どうしてだろ…

「こわれる」2019.12.09

世界が一度壊れなければ創りなおせないなら、元は醜くあったほうが良いのかもしれない。何の感…

『集中』2019.12.02

苛立つ明滅する灯を一つずつ消してゆく, さようならさようならを唇で紡ぎながら, 一つずつ忘れ…

『抹消』2019.12.1

忘れ泣く刃物と人間の末端. 一つ一つ果物を潰すように, 滲出液は指の傷へ滲み痛み, 皮を剥く眼…

『世界に溶ける』2019.11.30

体を壊すほど感情に囚われた経験は, 人生で一度しかない. あ れは . 溜まり切った膿みを吐…

『曲』2019.11.26

溶けると刺さるが両立する 世界のうろこを剥がした。 不味い、と吐きだした舌の先 滴る金の粒…

『寝ぼけ眼の寒トンネル』2019.11.24

かなしみは花を咲かせている。 鮮やかでめだつ、わすれられない色で。 わたしはあなたをまっていた。 凍えた街に、しろくなった息が、かわいそうを雪みたいに わたしをつつんで、むなしさでころされて しまいそうな道路だった。 どうしてあるのかも、わからないレンガ造りの、 雑草の生えたトンネルが、あなたをその中心に映していて 悲しみの花が、その右足の下で潰れていた。 わたしは、あなたが、すきだった。 このせかいは、こういうせかいだったから、 あいすること、わすれないでいられるのでしょう