『銃殺』2019.10.24


マーガリンを塗りたくる夜のダンス、白鳥の羽を表現した淡い広場、くるみ割り人形が踊り嘘つきを噛み砕く、ケタケタ笑う少女は指先で罪を摘み「あなたのせいに決まっているでしょう」誰が見てもそう。生まれてきて、そう過ごしてきて、腐って臭いを放っている。猟銃で何度も撃ち抜く、延髄を狙って。その汚い言葉が止まるまで、何度も「あなたのせいに決まっているでしょう」化けの毛皮を脱いだ青年の手に猟銃、撃ち抜く。何度も、血が噴き出るまで、脛骨が飛び散るまで、後悔するまで、気付くまで。恥ずかしい光景はよく似ている。悪夢を思い出しそうになる、相貌、何を期待しているのか、他人を羨んでばかり。落とそうとするだけじゃ一切を得られないと天国。恨みや妬み嫉み、そういうものをそんなに纏っていたら、どこへもいけなくなるでしょう。重たい鎖に絡みつかれる蛇のような眼をギョロつかせて、生まれつきの性質に取り憑かれて。矛に絡みつく。壁が編み込まれてゆく。脂肪を食う豚のような研究対象はケージの中で、まともな脳細胞を切除され、幸福そうに演説している。可哀想に。治療はできないが、保護はできるだろう。研究用のラットが、それ以下の価値を大事そうに両腕で抱え他人を睨みつけている。悲しい、淋しい、敵だと叫びながら。あの血液循環体はもう死んでいる。あの時死んだのだ。渡し舟に乗せられない可哀想な肉片、ナイフとフォークで刺し殺すお友達。死んでしまえと実験動物、無限の研究に追われて狂った笑みを浮かべながら、さようなら。永遠の地獄にとらわれた、蛇の眼の血液循環体。可哀想な物体、さようなら。

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