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顧客に向き合った18ヶ月に及ぶプロダクト開発と教訓〜顧客の声は聞くな〜


こんにちは、ECPowerの増田です。パワー!
ECPowerは2023年7月に創業3周年を迎えました。

3年前にボディメイクの分野で起業し、

2年前に、ピボットを繰り返し、ECストア事業に辿り着き、社名を変えて、ECの世界で勝負することを決めました。

そして1年前、ECの中でもLTVグロースの分野に特化することを決めました。

現在は『ECマーケターのためのセグメントツール|ECPower』の開発・提供をしています。この1年半はとにかく顧客と向き合いながら、課題探しをして解決策の提供をして、それらを行ったり来たりしながら、愚直にプロダクト開発に取り組んできました。

その中でもがきながら得た、プロダクト作りの極意は、

顧客の声は聞くな。

でした。より厳密に言えば、

顧客の声は聞くな。観察せよ。

です。我々は常に顧客ファーストにプロダクト開発を進めてきました。

顧客の声を聞いて大失敗。

2023年4月、ECのデータを自動で連携し、ダッシュボード化するサービスの提供を開始しました。

このプロダクトには大きな反響がありました。

そんな中、あるEC企業の方が『このデータが表示されたら絶対に使うし、周りの人にも紹介するよ!』と言ってくださり、我々は意気揚々と、新たなECカートとデータ連携をする仕組みを構築し、データを何十種類もの形で可視化する機能を1ヶ月以上かけて開発しました。

しかし、顧客に何度見せても「ここがダメだ」とフィードバックをされるだけで、一向に導入に進みません。さらに1ヶ月粘っても導入してくれませんでした。2ヶ月間をその顧客の言葉を信じてチームの全てを注ぎ込んで開発し、結果としては何も得られませんでした。

また、ある顧客が『こんなデータも出してくれ』と毎週のようにリクエストをくださいました。我々は必死にデータを抽出し、可視化しました。それを3ヶ月間繰り返しました。毎週、出したデータを見せると「次はこれを出してくれ」とリクエストをもらえました。『顧客の声を聞いて、反映している』と言う感覚がとても気持ちよかったのです。

しかし、徐々に「プロダクト開発をしているのではなく、専属のマーケターになっているだけではないか」という感覚に襲われるようになりました。プロダクトは自分たちが作りたいものではなく、顧客の毎週のリクエストを積み重ねただけのもので、ぐちゃぐちゃで統一感がないものになっていたからです。

顧客の声がプロダクト開発には一番大切だと聞いていたから、、とにかく毎日毎日顧客の声を聞き続けて、プロダクトを作ってきたのに、、、数ヶ月でチームはかなり疲弊しました。

顧客の声は正しくないことが多い。

どうすればいいんだろうと、打ちひしがれる中、この本に出会いました。

この本の中の以下の図をみて、自分が何を間違えていたのかが分かりました。

人間が言語化できる意識は5%しかないそうです。「私はこれに困っている」という課題や「それをこうやって解決したらいい」という解決策がすでに言語化されているならば、すでに解決されているはずです。まだ解決されていないのであれば、その課題は潜在意識の中にあり、言語化されることはなく、顧客の心のどこかにモヤモヤと漂っているだけです。

例えばこんな例はどうでしょうか?「アル中の人を救いたい」という思いで解決策を提供しようと考えているとします。
アル中の方は「そんなのどうでもいいから、酒を持ってきてくれ」と言うでしょう。あなたは言われた通りに酒を持っていきますか?
そうではなく「なぜアル中になっているのか」「辞めたいのになぜ続けているのか」などまず観察して仮説を考えるはずです。

顧客の声は正しくないことが多いのです。正しい声の大部分は潜在意識に埋まっています。顧客は課題を言語化できないし、解決策を想像することもできないのです。

もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。

ヘンリー・ フォード

課題を発見すること、解決策を創造することは、プロダクト作りをする人の専門領域であり腕の見せ所です。

私のミスは、
顧客に課題と解決策を直接聞いて、鵜呑みにしていた。
ことにありました。

顧客の声を聞けないならどのようにプロダクトを作り始めるか

顧客の声を聞きすぎて、気づいたらプロダクトの形が自分が望んでいるものと全然違う形になっていることに気づいた時、この本を紹介してもらいました。

理想から始めよ。

プロダクト作りをする人として、解決されていない課題を見つけて、今までにない方法で解決することが求められる中、一番大切なのは『理想』です。

私は、ECの構築受託をしていた頃「何百万もかけてECを構築してもほとんどの人が稼げない」という事実に気づき、大きなフラストレーションを感じていました。また、優秀なマーケターがいなければ稼げないという事実にも気づく中で『誰もが当たり前に稼げるようなソフトウェアを作りたい』と思ったことが原動力になっています(これは現在の弊社のミッションにもなっています)

だから、プロダクト作りのプロの(になりたいと思う)僕たちが「これが理想なんだ!」と信じられるサービスから提供を始めてみればいいと思うのです。

顧客の声は聞くな。観察せよ。

顧客の声は正しくないことが多いです。しかし、答えは顧客しか教えてくれません。

その答えとは、顧客の行動です。

買ってくれた。使ってくれた。使い続けてくれる。
買ってくれなかった。使ってくれなかった。解約された。

顧客の顕在化された声は正しくないことが多いです。しかし、顧客の潜在意識は嘘をつきません。しかし、潜在意識は言葉になりません。では何になるか、行動に反映されます。

拙い手書きの図ですが。

顧客が言語化できる課題に対して解決策を提供するのも立派なビジネスですが、あっと驚くプロダクトにはなりません。

だから、声ではなく行動を見るのです。顧客がやっていることを見て『あれ?これは課題なのではないか』と思い、そこに自分たちの強い理想だったり仮説だったりを当ててみて、顧客は反応するのか、行動するのかを観察するのです。

顧客の声は聞くな。観察せよ。

これを繰り返すことこそが、正しく顧客に寄り添ったプロダクト開発です。

顧客を観察しながら作り上げたサービス

「LTVって当然あげたほうがいいよね」という浅い解像度で始めたサービスですが、顧客と対話するうちに『ファンに愛されるECは素敵であり、そのようなECを運営・サポートしたい。最終的に高いLTVで収益を上げられることは素晴らしいことである』と、自分たちの理想が徐々に言語化されてきました。

理想を考え → 顧客にぶつけてみて → 反応を観察する

このサイクルを何十回、何百回と繰り返し、徐々にプロダクトを形作ってきました。

それが、ECマーケターのための顧客セグメントツール|ECPowerです。

我々は、ソフトウェアの力で誰もがECで稼げる世界を作ることをミッションとしています。その中で、一番大切なことは『誰もが自社ECの顧客解像度を上げてファンを作り出せること』だと考えています。それを「ソフトウェアの力」で提供しているのがこのプロダクトです。

顧客がいなければプロダクトは作れません。顧客のおかげでプロダクトが作れているし、プロダクトで満足してもらいたいのは、他でもない顧客です。

これからも我々は顧客に寄り添いながら、プロダクトを開発していきます。

最後に

株式会社ECPowerは、

  • ECの顧客解像度を上げてLTV向上を共に目指したいEC事業者の方

  • クライアントのLTVを向上させたいShopify Partnerの方々

  • 共にプロダクト開発をしたい方

を探しております。少しでも興味がありましたら、是非ご連絡ください!

Twitter → https://twitter.com/hiromu_bdy


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