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「そのままではダメ、変わらなきゃいけない」を前提にしたコミュニケーションに疲れた


「え? そんなお手入れしていたんですか? ダメですよ。だからお肌、乾燥しちゃっているんですね」

「せっかく元はキレイなお肌なのにもったいないですぅ。このクリームを使われたら、すぐに手触りが変わりますよ」

あるブランドの化粧品カウンターで、いきなりダメ出しを食らった。自分なりに頑張ってお手入れしてきたんだよ。なんだよその否定。と思った。

この人は、自分のことを絶対わかってくれない人だなと感じた。というか、こういう人に自分のことをわかって欲しいとも思わない。

「今までのやり方は間違っています」「これが正解です」

「え?まだそんなことをしているの?」「早くこれをしなよ」

「いつまでもそんなことをしていていいの?」「俺みたいな人生憧れない?」

みたいなモノの売り方はよくあるが、「否定から入る」コミュニケーションに疲れたなぁと私は思う。

それはダメ、あれもダメ、そんなあなたはダメ、いつまでもそんなことをしていてはダメ、

うるせぇよ。


「今のままではダメ」を前提としたコミュニケーションが多過ぎないか?


●ニューノーマルな暮らしでは、こういう働き方がベストです。え?まだそっちの世界で満足しているの?

●40歳を過ぎたら、似合う服が変わってきます。黒をトップスに持ってくると、肌がくすみます。ほら、そこのあなた!

●自己肯定感が低いと、仕事もパートナーシップもうまくいきません。まずは、自分を満たすことが大事なんです。

……できていないから変われ、のオンパレード。


あなたはデキていない、私はデキているから教えてあげる。 

お前はわかっていない。俺のいう通りにしたら成功する。

謎の上から目線。


相手の現状を否定して、このままではダメだと思わせて、「そんな時にはこれで一発解決!」と自分の商品サービスを持ってくる。

広告の常套手段だが、もう、そういうコミュニケーションに疲れた人も多いのではないかと思う。

広告だけの時はよかった。今はSNSで大量にその「否定の波」を浴びてしまう。だからしんどい。


かといって、「ありのままのあなたでいいよ」は物足りない


だからと言って、ありのままのあなたでいいよ、何もしなくていいよ。そのままを出していけばいいよ。と言われても怖い。

それもある種の洗脳だと思う。

お前は何もするな。そのままでいろ。俺のいうことだけを聞くイエスマンになれ。そんな裏の声が聞こえてきそうだ。怖えぇ


「あなたはそのままで素晴らしい。でももっと良くなれる」


「今のあなたではダメで、これをやらないとさらに悪くなる」
という売り方をされて嬉しい人って、今でもいるのだろうか。

確かにドキッとはする。でもそのドキッは、いいドキドキではない。


否定、ダメ出し、最悪を見せる。
そうやって買わせたお客様は、幸せになるんだろうか。


私は自分に関わる人に「今のままのあなたでいい。でももっと良くなれる」と思って接したい。

たとえば、私は毎日のように、講座の受講生さんの書いた
記事や、文章やビジネスのコンセプトや自己紹介などを20本ほど添削する。
添削は、簡単ではない。


私が思う「こうした方がいい」を押し付けるのは簡単だ。
でも、人にはそれぞれの「文体」がある。個性がある。伝えたいことがある。


私が大事にしているのは、
・その人の価値観を否定しないこと(否定されたと感じられるような添削をしないこと)
・その人の使う言葉を大事にすること
・その上で、今使っている言葉よりも、もっと伝わる言葉があるんじゃないかと模索をやめないこと

ベースにあるのは、
「あなたはそのままでいい。でももっと良くなれる」という気持ち。

完成形はない
どこまで行っても「途中」である。

その人が自分の力で「前に向かって進める」ことを心の底から信頼することが大事だと思っている。


相手がこれまでやってきたことを否定して、自分の商品を説明しても、信頼されない


文章で何かを売るときも、実際にお客様を目の前にしてセールスをする時も同じだと思う。

今のあなたはダメだから、もっとこうしたほうがいい、という売り方は簡単だ。実際にそういう売り方を教えている人も多いようだ。私も以前あるセールスライティングを教えている人に、「地獄を見せろ」と言われたことがある。

だけど、私は、その人がそれまでやってきたことを否定せずに、丸っと肯定した上で、「もっと良くなるにはこういう方法もあるんだ」と、その人が自分で気づくようなコミュニーションを取っていきたいと思う。

今のままのあなたはダメだ、これをしないともっと悪くなる、
ではなく、
今のままのあなたで素晴らしい、でももっと良くなることもできる。

その人自身の中から「これだ!」と力が湧き出てくるような、光を感じるような、自分の力で変われると自分を信じられるような、そういうコミュニケーションをしていきたい。文章も同じだ。


相手から信頼される文章の書き方を、この本に詳しく書きました。

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