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《④十人十色の自己決定》北欧留学に学ぶ障害者福祉の在り方《デンマーク人にインタビュー》


デンマークのフォルケホイスコーレの中で
障がいを持つの学生と健常者の学生が
寝食を共に過ごし、学んでいる
デンマークでもただひとつの「特別な学校」
エグモントホイスコーレン。
詳しくは以下の記事を読んでいただきたい。

エグモントで約1年
学生アシスタントを経て、
ヘルプティーチャーとなったシモン。

休みの日には
フットサルを楽しむという彼の仕事は、
障害を持つ学生の
ハード面のサポートだけではない。
ソフト面もサポートするのが
ヘルプティーチャーである。

障害の程度によって
サポートの仕方も変わり、
柔軟な対応が求められる。

エグモントの学生が
充実した生活を過ごすために
重要な役割を担う
彼らヘルプティーチャーの考える自己決定とは。

『それが彼の歩き方。』

《障害を持つ学生をサポートするにあたって
気をつけていることは?》

まずはこの質問を素直に聞いてみたかった。
「1年前、アシスタントだった頃、
僕は二人のアシスタントをしていた。
一人は脳性マヒの男の子。
もう一人は電動車椅子を
足で器用に操作する女の子。
二人とも言葉を話すことは
難しかったから、電子機器を使って
コミュニケーションしていたよ。

うまく話せないからこそ、
僕は彼らの表情をすごく意識して
見ていたと思う。

サポートするにあたって、
気をつけていたことは、
車椅子の前を歩かないようにしていた。
そして車椅子を考えないこと。
それ(車椅子)は彼らの一部であって、
それが彼らの歩き方だからね。」

この言葉が強く印象に残った。
また個人をサポートする上で
対話しながらガイドをしていくと話す。

「自己決定って自分自身に耳を傾け、
決定した選択を
自分自身でやることだと思う。
だから、時々それはグッドなアイデアか
そうじゃないか、
僕の意見を言うこともある。
時々リマインドさせてあげたり、
いつ必要?何が必要?と
自身で気づいてもらえるような
声かけをしているよ。」

シモンの話を聞いていると、
舵を切っているのはいつも
本人であって
サポートする側が誘導するわけではない
という印象を受けた。

前までの僕は車椅子ばかり見てた気がする。

優しい笑顔のシモン。フットサルになると人が変わったように情熱的でパワフルになる。

《エグモントにきて
あなた自身が変わったことは?》と
最後に聞いてみた。

「今まで街で車椅子の人をみかけると、
ぼくは車椅子ばかり見てた気がする。
でもエグモントに来てから
今は車椅子が見えていないんだ。

それは、ぼく自身が
彼らの外側じゃなくて
内側を見ているからだと思う。

アシスタントや、ヘルプティーチャーは
障害を持つ学生にとって必要な存在。
でも僕らも
彼らから学ぶことがたくさんあって
それは
お互いにとって良い関係性だと思った。
それが自分の中で変わったことかな。」
と話してくれた。

障害者に関わらず、
人種や国籍、性別を理由に
不等な偏見や差別が
まだまだ蔓延るこの世界。

大切なことは
当事者と向き合おうとする心や、
歩み寄ることから始まるのかもしれない。
そんなことを彼から教わった気がした
インタビューだった。





今シリーズの記事について

《十人十色の自己決定》は
「健常者と障害者」
という目には見えない隔たりに
疑問を感じながら飛び込んだ
北欧デンマークにある
エグモントホイスコーレンでの学生lifeは
「環境さえあれば、障害なんて越えていく」
まさにそんなワクワクドキドキが
止まらない日々だった。

エグモント卒業間近にふと考えた
「障害のある人の自己決定」について
障害のあるユーザーをサポートする
様々な人にインタビューした。


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