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幸せな「気」、ほっかほかお持ち帰り

ついさっき、住宅雑誌の取材を終えて、帰ってきた。
家を出たのが9時、今、11時半。なんという早さ!!現場が近いうえ撮影が絡んでいなかったこともあり、取材時間はいつもの半分。もう家でぬくぬくしているなんて不思議な感じもするけれど、なんだかとっても気分がいい。それは単に「早くて嬉しい」ということじゃなく、「余韻が心地いい」のだ。

うかがったのは、30代のご夫婦と小さなお子さんが暮らす住まい。シンプルながら落ち着きがあり、品もある。つくりもとても丁寧で、他人でも「あ、いいな」と感じる心地よさがある。
それは多分、デザインがいい、素材がいい、というだけじゃなく、家がいい「気」を持っているからだと私は思う。

実際、長く住宅建築に携わっていると、現場に入った瞬間家の持つ「気」を感じることがある。「あ、たっぷり愛情を受けてできたんだな」とか、「なんか、揉め事でもあった?」とか。ひとの顔色や雰囲気から気持ちを察知するのとちょっと近い。

家は色々な人の力でできている。施主、設計、現場監督、営業担当、大工さん、電気屋さん、内装屋さん…。挙げだせばキリがないが、それだけたくさんの人がそこで真剣勝負をしたとすれば、そこに「気」が宿ったって不思議じゃない。「もっと良く」と心を配ればそういう雰囲気をまとうし、「面倒だ」「腹が立つ」と思えばやはりそういう雰囲気をまとう。もしかしたら、気持ちが仕事の細部に現れたと言うことかもしれないけれど、いずれにしても、良い方・良くない方、どちらかに強く寄った場合は、他人が肌で感じるほどによくわかる。
この家は、それで言うところの「いい気」を感じたのだ。私は。

取材終わり、終始言葉少なだったご主人がこう言った。
「僕、家ってお金払えばできるもの、手に入るもののように思っていたんです。でも、そうじゃなかった」。

「営業の人も、設計の人も、大工さんや職人さんも、いつも本気で一緒に悩んでくれたんです。この家を良くしようとする気持ちがすごく強くて。それが本当に嬉しかったし、感動したし。
家って、お金でできるものじゃないんだな、たくさんの人の愛情をもらってできていくものなんだなって思いました。だから、大事にしようと思ってます。皆さんの思いに応えるためにも」。

じーんときて、心がぽっと暖かくなった。
やっぱり、いい「気」でできていたんだなぁ。

実際、皆が皆、こういう思いを持てるわけじゃない。
それはつくり手の姿勢でもあり、見極める施主の力量でもあり。だからこそ、こういう場面に出くわすと、ものすごく幸せな気持ちに満たされる。
「お施主さん、いいところに出会ったじゃない!」と思うし、「建築会社さん、いい仕事したじゃない!」と思う。

いいお話が聞けて、いい「気」に触れて。幸せな取材。
取材が長引かなかったおかげもあり、この幸せな気持ちをほっかほかのまま持って帰ることができた。
お裾分け、いただきます。


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