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【東大生からテレビ記者に質問④】「うまく周りの人々を巻き込むためのコツは何でしょうか?」

良いチームを作ろうと思ったら、まず第一は「多くの人々を巻き込もうとしない」ことだと思います。言い換えればチームの「小回り」を大事にすることです。まずはチームを作るにあたって<1チーム=5人>ぐらいで検討してみてはいかがでしょうか?長年いろんなバンドをやってきた経験知から推計しているのですが、記者の取材チームだったり、様々なプロジェクトチームにも当てはまる気がします。

なぜ<1チーム=5人>をオススメしているのか?
まずチームにとって必要なことは、「生き延びること」と「士気を高く保つこと」の二つだと思います。そのために、チームの「小回り」、つまりチームという「生命体」の「代謝が良さ」が大切です。<5人>が最適だと言っているのは、その「代謝の良さ」を実現するために必要な役割が<5つ>あると考えているからです。<5人>ぐらいにメンバーの数を抑えると、おのずと以下のように<5つの役割>に分担されていくことが多い気がします。

①責任を引き受けるリーダー
②現場を牽引するエース
③さくさく処理するイエスマン
④方針によく反発する中堅
⑤ちょっと頼りない若手

僕はこの<5つの役割>分担が理想形だと思っています。そして大切なのは、<5つの役割>を持ったメンバーを「誰も仲間外れにしない」ということです。メンバーが<5人>ぐらいいると、④=みんなで決めた方針に反発するメンバーや、⑤=相対的に頼りないメンバーがそのうち必ず出てきます。これはネガティブなことではまったくなく、むしろチームの「代謝の良さ」を保つチャンスであり、チームが「生命体」として強くなっている証でもあるのです。もしチームが行き詰ったり、置かれた環境が激変したりした時、それまで生意気に反発してきた④のメンバーは、一躍①や②となり、チームの救世主となり得ます。逆になんだか鼻につく④のメンバーを追放してしまったら、そのチームは変化に対応できぬ「絶滅危惧種」となっていくでしょう。

そして!チームの「生命力」そして士気を保つために、圧倒的に大切な存在が⑤の「ちょっと頼りない若手」です。この若手を「絶対に排除しない」と他のメンバー4人が心に誓うことが、チームの士気を最大限高めるとともに永続的なチームになることを可能にすると思います。たいした戦力にはならないけれど、他のメンバーを応援し活躍を見てくれている⑤の存在は、他のメンバー4人の「あきらめない気持ち」を刺激し、潜在能力を十二分に引き出します。

さらに、⑤の存在を許容することではじめて、チームは後継者を見つけていくことができます。⑤の役割は、いわば動物で言えば「子孫」にあたります。チームの中で頼りないメンバーを見つけては順番にクビにしていくような、⑤のポジションがないチームは「一代限り」となってしまうでしょう。

東大生の質問に戻りましょう。「うまく周りの人々を巻き込むためのコツは何か?」です。<1チーム=5人>というご提案をしましたが、その上でコツをひとつだけ絞るとするならば、「チームに頼りないメンバーを見つけたら、絶対に仲間外れにしない」です。このメッセージの強さは、チーム内を鼓舞するだけでなく、チーム外にも伝わってチームの存在価値を高めることでしょう。

以上が、あの頃、随分と頼りなかった僕の実感です。