真空

絵を描くようになって四年が経った、来る日も来る日も絵を描いて来たが1日とて同じ日はなかった、同じ日があったら逆に嫌でも忘れはしないだろう

絵を描いているということは少なからず僕も自分の中を見る者なのだろう、そうでなければ絵を描こうなんて考えは湧き起こるはずもない、しかし自分を見ない者なのどいはしない、自分の事を棚に上げている人はいるが自分の立場を危ぶみ棚に仕舞おうとするという事は自分を見ている証拠でもある、直視はできないが圧倒的に意識していることに違いはない、結局この世界は自分という人間を見ている

極端な話自分以外の人は実際にはそこにおらず自分しかいないのでは?と僕はちょいちょい心から思う時がある、自分に対しての感情が自分に当たり跳ね返ったものが外に出る、それは発言や行動として現れる、そういう風にできていると言われればそんな気もするだろう

こんな根も葉もない事を考えながら僕は30年も生きてきてしまったのだ

同世代の人たちは社会の一部として確かに機能しているように見える、僕はというとどうも噛み合わせが悪く違和感を抱きそれが次第にストレスに感じ弾ける、正に落伍者である

子供の頃から抱いていた違和感は根拠も無いのに平成が終われば無くなるだろうと考えていた、実際に平成という時代は僕には教科書で学んだ事のように感じてしまうほどだ

しかし思い変わらず気づけば令和になっているではないか

こんな風に、こうなれば、何かが起きれば、変わるだろうという他責が僕の本能にあるのかもしれない、しかし僕も黙って待っていたわけではなくいろんな事を試みた、だってあの頃の僕がまさか将来油絵画家を目指しているなんて想像がついたであろうか?確かにあの頃から憧れはあった、何より絵を描くことが大好きだった僕はなぜか訳もわからず絵を描いていた、何を描いていたのかというと対象があった訳じゃない、鉛筆が勝手に線を引いたとしか言えない、鉛筆のせいだなんてこれもある意味他責だろう、呆れて面白くなってきた。笑

このような感じで、僕は自分の中の何かを掴みたかったのだ、しかし掴めた試しはなくむしろ虚しくなって行く、自分の中にあると思っていた何かは何かではあるが何かはわからず、結果なんだかよくわからない、これはもう無いに等しい、そう、最近絵を上手く描き進めて行けない原因はここにあると僕は踏んでいる

振り返れば油絵を始めようとまず描いたのは自画像だった

僕は自分のことがてんでわからないのだ

さっき頭に浮かんだ言葉は「自己消失」である、しかし消失とはあったものが無くなっていることである、果たして本当にそれは有ったのだろうか?いつも残り香だけを残して跡形も無く消えている、僕の心は今なぜかとても空虚な気がする、空っぽなのに密室、真空空間のような、まぁー宇宙と言ってもいい、永遠に広い、際限がないのに広いという表現はおかしいか。

話は少し回り道をして行くが、僕は夢を覚えている確率がかなり高い、随分と記憶に残っている夢がいくつもある、この夢というものも掴みどころが無く、中身が空っぽな気がする、そう僕は寝ても覚めても夢を見ている、正にそうなのだ、これは今発見した感覚だから書き留めておく

そう、夢の話だが僕はとてつもない恐怖の夢を見たことがある、お化けやモンスターや襲われる夢や死ぬ夢よりももっと静かで恐ろしいものだった、しかしその恐怖感はとことん静かで本来人間とはそういうものなのではないか?と思わせるような不思議な夢だった、安心感に満ちる事に慣れる前のちょっとした拒否反応のようなものだと僕は感じた

その夢とはとてもシンプル、目を閉じると真っ暗になる、するとそのままその暗闇の中に落ちて行く、落ちているのか上がっているのか右から左から前か後ろかはわからない、とにかくその闇の中にこの身一つで浮遊して行く夢である、遠くの方に白いチカチカするものが見えた、多分あれは星だった、寒くも無く暖かくも無く、ただ360度何にも触れず暗闇の中にいる、私はその夢を醒め方の知らない夢と題して絵にしたことがある、その絵は銀座で展示したが誰にも見向きもされずまるで無いかのように扱われてしまった、その絵は塗りつぶしてしまいもうお目にはかかれ無い、残念だが正に真空のように何もない。

この前仕上げた「不安な家」という絵も似たものを感じる、そこにただあるという空虚が恐ろしく怖いと僕は考えその絵を描いた、いや、逆だ、白い家を眺めていたら不安になってきた、その原因を探っていたら真空にぶつかったのだった。

僕の中に何かある、それは真空空間のようなものだろうと僕は今思う、何もないのにむしろそこにはなんでもあるかのように感じる、あの宇宙ですらまだ人間が全く説き明かせもし無い、全体を把握することもでき無い、全くの理解の外、想像の範囲を出ない世界である、そこには全てがあるような気がするものだ、しかもその考えは間違っていないだろうと思う。

僕は自己消失しているのだ、だから絵が描けず、その消失した穴埋め、真空空間に色々詰め込んでみはするけれど全て飲み込まれていってしまう、だったらここで改めて初心に戻りそんな自分を題材に自画像を描いてやろうと思った

結局僕の芸術は自分を解き明かすためのものなのである、そんな芸術家の絵が誰かの心のためになるのか?どうか?僕は自己満なのだろうか?エゴイスト?

とにかく到底絵なんてものはかけない気がしてくる、だから自分の事を描くしかない

no art no life

芸術が無ければ僕なんていないも同然である、落伍者の僕は芸術によって救われている

だからせめて僕がやっている事がこの先誰かのためになるかもしれない!そう信じて描くしかない

芸術も何かを探している、それはちょうど宇宙のようなものなのだろうなと思う。

描こう!矛盾してはいるが、自己消失の自画像を👨‍🎨

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