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そのブランディングは未来のあなたにとって相応しいか?

多くのスタートアップにとって、ブランディングは二の次。明日死ぬかもわからない中で、ブランディングという数字の評価がしにくいものに、労力を割くのはなかなかハードルがあります。

実際に僕たちRECOTECHも同じ状況でした。初めて外部からの資金調達を行い、スタートアップ化した2020年末からはとにかくPMF(プロダクトマーケットフィット)に向けて、ひたすらに事業を推進してきました。

出典:https://www.shoeisha.co.jp/book/article/detail/362

スタートアップとして事業立ち上げから約2年が経ち、ようやくSPF(Solution Product Fit)が見えてきた一方、RECOTECHの対外的な見られ方とソリューションとのギャップを感じ始めました。目指す世界を実現した未来側のRECOTECHから今を見つめ直した時に、このブランディングは相応しいのか?そんな問いかけから、リプランディングプロジェクトを開始しました。


背景 - 環境コンサル会社としてのRECOTECH

2007年5月に創業し、廃棄物に関連するコンサルティングを展開してきたRECOTECH。RECOTECHは、Resource / Ecology / Technologyを掛け合わせた造語であり、コーポレートアイデンティティ(CI)に、ごみ箱とテクノロジー、そして”グリーン”をブランドイメージとして打ち出してきました。

従来のロゴ

創業以来ずっと環境対策コンサルティングがメイン事業であり、ap bank fesの環境対策支援や、廃棄物処理機械の導入コンサルなどを行ってきました。当時は環境/廃棄物はニッチな領域であり、サステナビリティに特化していること自体が差別化になるため、上記のグリーンを押し出したCIでイメージギャップはありませんでした。

チャレンジ - サステナビリティが前提となった時代に何を表現するのか

2020年末に初めて外部から資金を調達し、第二創業としてスタートアップ化させたタイミングから、コンサルティング会社から事業会社へとRECOTECHの事業形態を変革しました。(ちょうど僕がRECOTECHに参画したのがこのタイミング)

以降、事業ドメインはサーキュラーエコノミーを実装するためのクラウドサービスであるpool事業となり、2021年からサービス開発に本腰を入れて、事業作りに専念してきました。

一方、世の中の動きも大きな変化が訪れていました。日本では学校教育にも取り入れられたSDGsから始まり、サステナビリティが注目されるようになりました。あらゆる大企業がSDGsを掲げるようになり、今では”サステナブル”なイメージだけでは何も語ることができなくなっていると考えます。

サステナビリティが前提となった世の中で、事業会社としてのRECOTECHはリブランディングを通して哲学と行動をどのように一致させた表現に昇華するのか。これが僕たちにとってのチャレンジでした。

実施したこと

データドリブンなClimate Tech Startupとして、RECOTECHを体現する新たなコーポレートロゴ、ブランド/サービスロゴ、MVV、コーポレートサイトの刷新を行いました。

リブランディングパートナーとして、原宿発の独立系クリエイティブエージェンシー、Ultra Super New (通称USN)に伴走していただきました。個性的なタレントが集まるUSNのデジタルドリブンでグローバルな表現力が、今後グローバルに展開していくRECOTECHにマッチしたことと、実は僕が学生時代にインターンで1年ほどお世話になっていて、いつか一緒に仕事がしたいと思っていた念願も叶って実現しました。

① Corporate Identityの刷新

時代と事業の変化から、グリーンなイメージからデータドリブンなClimate Tech Startupとして、ミニマルかつデジタルファーストな印象をもたらすロゴに刷新しました。フォントに以下の特徴のあるFounders Groteskを採用しました。

Founders Grotesk
_クリーン、シンプル、幾何学的、現代的
_デジタルデバイスに最適
_ミニマルな要素 – シンプルで飾り気のないデザイン

② Brand&Service Identityの刷新

RECOTECHはあくまで企業ロゴであり、世の中に浸透させていきたいのは、このサーキュラーエコノミーを実装するクラウドサービスであるpool。(イメージとして、Alphabet社とGoogleのような関係性)

あらゆる資源を循環させるためのデータプラットフォームとして、ロゴには、自然と調和する黄金比をベースデザインに据えながら、複数のステークホルダーが有機的に連携し、循環型サプライチェーンをイメージさせる♾️を用いたロゴを採用しました。

ちなみにこちらはUSNからの一番最初の案でした。複数案いただきましたが、僕のイメージを超えたものが1発で上がってきて、未来に対するワクワクが止まらなかったのを覚えています。

③ MVV(Mission / Vision / Value)の策定

Question – 私たちは何のために存在しているのか?

「世代間責任」は、あまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。現在の経済システムは自分たちの利益を最大化することを目的に、次世代に対して負債を残している仕組みであると私たちは考えています。例えば廃棄物問題などはその最たる例で、埋め立てや償却によって、とりあえず"今"はいいけれど、100年、1000年先の問題として解決を先送りしています。

このような状況に終止符を打つために、自分たちの世代のことは自分たちが責任を持って解決していくこと。次世代に負債を残さない仕組みを作ること。これがRECOTECHのミッションです。

Question – 私たちは将来、どのような景色を作り出したいか?

従来の”ごみという概念のない社会をつくる”から、”ネイチャーポジティブ*な経済発展ができる社会をつくる”にVisionを更新しました。サステナビリティが前提となった今、マイナスをゼロにすることは当たり前。だとすると、サーキュラーエコノミーの実装によってごみという概念がなくなった先に、RECOTECHは何を目指すのか。そこで私たちはネイチャーポジティブという表現を用いて、経済活動と自然回復を両立させた世界をつくることをVisionに置きました。

*ネイチャーポジティブとは
人類の存続のために必要な自然生態系の損失を食い止め、回復させていくことを意味する言葉です。自然資本や生物多様性の観点から、経済活動による自然への負の影響を抑え、プラスの影響を与えることを表す概念です。

Question – 私たちがこだわりたいことは何か?

私たちは、今までこだわってきたポイントを3つに絞って言語化しました。

Get to the Root.
資源循環を考える上で、部分最適ではなく、全体最適な視点で物事を考えることこそ、本質的であると私たちは考えます。「その施策は本質的なのか?」これをいつも問いながら、日々の事業活動を実施する。

Start Small, Act Now.
どんなに素晴らしい戦略や計画を描いたとしても、実際にやってみないことには、何も前に進みません。行動を通してのみ、リアルな課題に直面し、新たな解決策を見出します。小さくてもいいから、とにかくまずはやってみる。

Be Disruptive.
社会の仕組みを変えるには、まずは既存の枠組みを知る必要があります。そうしないとただの妄想を言っているに過ぎません。それらを熟知した上で、必要な変革を起こすために、前例がないことに挑戦する。

④ コーポレートサイトの刷新

従来のナチュラルな雰囲気やグリーンを前提にしたコーポレートサイトから、ダークモードをベースにして、ELECTRONIC GREENをアクセントカラーに活用したデータドリブンなClimate Tech Startupにふさわしく、グローバルでも通用するデザインに刷新しました。

データによってサーキュラーエコノミーを実装するためのステークホルダーを有機的に連携するイメージを3Dアニメーションで表現。USNの素晴らしいデザイン!

終わりに

リソースが限られているアーリーフェーズのスタートアップにとって、今回のリブランディングプロジェクトは、本当に大きな決断でした。その中でもこの実行を後押ししたのは、以下の質問でした。

数年後にグローバルに事業展開しているRECOTECHの未来から見たときに、今のブランドイメージは相応しいか?

未来側の視点に立って、今のブランドを見つめ直すこと。これは企業であっても個人であってもどちらにとっても大切なことだと思います。

RECOTECHは、ようやく来たるべき未来に向けたレールに乗り換えることができたと実感しています。サーキュラーエコノミーを実装するための新しいインフラ構築に向けて、社会に対するより大きな役割を担い、世代間責任を果たすために邁進します。ここからさらに加速度を上げて、サーキュラーエコノミーの先駆者として、駆け抜けていきます。

この10年がターニングポイントだと考えています。少しでも気になった方は気軽にご連絡ください!


[CREATIVE CREDIT]

Executive Producer : Hiroki Omura
Creative Production : UltraSuperNew

Producer : Alexander Watanabe
Account Manager : Asumi Yamayoshi
Account Manager : Hikaru Yano
Art Direction & 3D Motion Design : Rodrigo Marinheiro
Graphic Design : Belle Sim
UI/UX Design : Yerai Zamorano
Copywriter : (JP) Hiroki Omura / (EN) Nana Ito



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