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心と霊と脳の関係

心と霊と脳の関係と構造について自分の理解している範囲で述べてみます。

心ほど妙なものはない(松下幸之助)

「人間は気分が大事です。気分が腐っていると立派な知恵才覚を持っている人でも、それを十分に生かすことができません。しかし気分がいいと何ら今まで考え付かなかったことを考えつく、というようにだんだん活動が増してきます。そこから成功の姿、発展の姿が出てきます。それで更に気分が良くなるというわけです。

こういうように人間の心は希望が持てたり将来性が考えられると『よしやろう!』という気分になります。そこに考えつかないような発展性が生まれたり、発明心が起こったり、あらゆる仕事の遂行にいい方針が見出される。それに反して気分が腐ってくると別に悲観するようなことでなくても、悲観と結びつけていく。だんだん気が縮んでいき、おもしろくない。仕事を捨てようという気分が出てきます。著しい場合にはそれを通り越して自殺するような極端に悲観的な気分も湧いてきます。」

Wish or Appreciation

以前イランで建設中の大寺院グレートモサラプロジェクト御一行を京都の金閣寺にアテンドした。その時、団長のシャリアトマダリ師に聞かれた『多くの人が、本堂で手を合わせてお祈りをしているが、あれはWishかAppreciationか? 』と。考えてみると、この二つは心を快にして人生を豊にする要素であり、イスラム教シーア派の教えと松下幸之助の経営哲学が脳科学的に共通点があると感じた。

心の多重構造
知性 : 後天的に身につけた知識や論理
感性 : 5感や感情などの精神作用の心
本能 : 肉体を維持するための欲望など
魂  : 真我が現世での経験や業を纏ったもの
真我 : 心の中央にあり核をなすもので神の分け御霊とも言われている

人間が生まれ、成長していく過程で心は中心から外側に向かってだんだん重層的になる。反対に歳をとって老いが進むにつれて外側からだんだんはがれていく。例えば痴呆が進むとまず知識や論理的な推論など知性の働きが衰え、子供のように感情がむき出しになりますが、やがてその感情も鈍くなり、本能がむき出しになる状態を経て、ついにはその本能(生命力)も薄れてしだいに死に近づく。

ここで大事なのは真我ですが、真我は文字通り中核をなす心の芯、真の意識の事であり、仏教でいう智慧の事です。ここに至る、つまり悟りを開くと宇宙を貫く全ての真理がわかる。神や仏、創造主のレベルに達するのではないかと言われています。

脳を快調にする

いつも無理難題をふっかけてくる上司に対して『勉強になります、ありがとうございます!』トラブルメーカーの部下に対して『よくやってくれるな、ありがとう!』こういう調子で乗り切っていくと『どんな問題も、それが必要なことだから起きたのだ。自分にとって必要なことは起こる。必要のないことは起こらない』と楽天的で安定した気持ちが得られます。こうなって初めて脳はストレスフリーで快の状態で稼働できます。

快の脳は起きている間も寝ている間も、より快適により豊かになっていくために役立つ情報を検索し続けます。そしてある時ボーンと答えを送ってきます。いわゆるピーンと閃くものが訪れるのです。快の脳は行動の変化を促します。ふと気がついたら前向きに行動できるようになっていたという変化が起こります。なんとなく足が向かう方向に進んでみたら長い間ずっと探し続けていたものと出会ってしまった、というような不思議な出来事が頻繁に起こるようになります。行く先々でその時最も必要な情報、必要な人物、必要なものなどが、次々と姿を現すようになります。

脳が不快モードになったら『ありがとう』の言葉で快に切り替えましょう。

脳の多重構造

ハードウェアとしての人間の脳はどの人も大差ありません。パソコン10万台位の能力と言われています。
ただし、ソフトウェアには違いがあり、成功する人には成功するソフトウェア, 失敗する人には失敗するソフトウェアが入っています。

旧い脳 :脳幹 魚類・爬虫類 生命維持

中間脳 :大脳辺縁系 爬虫類・哺乳類 本能・感情
    (自律神経―潜在意識)

新脳  :大脳新皮質 人類 知能(考える・判断する・記憶する)
      (顕在意識)

勝ち組遺伝子(成功するソフトウェア)

身体を構成する約60兆個の細胞それぞれに遺伝子が搭載されていますが、その遺伝子にインプットされている最大の情報は『より快適に生き、生き残る』という目的を叶えるための勝ち組遺伝子情報です。進化の過程で獲得した勝ち組遺伝子は今も私たちの体に脈々と受け継がれています。

地球に生命が誕生して20数億年、そして人類が誕生して700万年という長い時間をかけて継承されてきた遺伝子情報が私たちの中に内蔵されています。勝ち組遺伝子の中には私たちの頭で考えつくことなら何でも実現してしまうような情報がストックされています。ところが遺伝子の情報は様々な要因でオン・オフに転じてしまいます。通常は10〜15%しか働いていません。普段は鍵が掛った状態なのです。

ではどうしたら勝ち組遺伝子の情報を引き出せるかというと脳を快調に働かせる事です。『快の言葉』を注ぎ込んでやることです。『ああ、良かった』『ありがとう』『私は本当に幸せだ』『ついている、ついている』というような快の言葉が引き金になって脳が快の状態になります。

ドーパミンと強化学習

脳にはドーパミンというホルモンの一種があります。何か行動をした結果、脳が『嬉しい』と感じた時に報酬物質としてドーパミンが出ます。そして、ドーパミンが出る直前にやっていた行動を学習し、その行動が強化されます。この報酬物質は易しいことをやってもあまり放出されません。難しいことを達成するとたくさん出ます。例えば数学の問題を解く時に、難易度を調整する方法として、制限時間を決めます。制限時間が60分の問題があったら、20分でやってみようと自分自身と契約を結ぶ。できるかできないか半々位がちょうどいい。そういう条件で勉強を続けるとドーパミンが一番出易くなり、脳は成長します。

ミラーニューロン

脳の中の鏡、他人の行為をあたかも自分の行為のように映し出す特性を持った神経細胞。例えば目の前の人が手を伸ばして何かをつかむのを見ると、同じ行為を自分がしているかのようにミラーニューロンは活動します。ですからこのニューロンは人間のコミュニケーション能力に大いに関連しています。感動で胸がいっぱいになっている人を見ると、こちらまで自然に感極ってくる。傍若無人な人を見ているとこちらまで気持が荒々しくなって苛立つ。どちらも他人の姿を映したミラーニューロンのなせる技であり、『共感する』という脳の大切な特徴はこのミラーニューロンによって支えられている。

落ち込んでいる人を励ましたいのなら自分が『幸せの鏡』になればいい。いらいらしている人を落ち着かせたいなら、『穏やかな鏡』になればいい。毎日を活き活きと楽しそうに過ごしている人や好奇心旺盛で遊び上手な人の近くにいると自然に学んでいることが多い。

網目状神経

脳の内分泌機関である松果体のあたりに、毬状の神経線維があり、これを網目状神経と言います。もともと自律神経は目的を達成するという機能があり、脳に必要な情報が入力されると、それを実際の行動に移そうとします。この機能に網目状神経が関わってきます。

例えば電車で本を読もうとする時、脳には本を読むという情報が入力されます。すると本を読むということ以外の情報、つまり電車の騒音や隣の人の話し声は頭に入ってきません。これは本当に必要な情報以外, 脳は拾っていかないからです。また目の前にいる人と長時間話し込んでいたとしても、話の内容に気をとられて相手の顔だけを見ていればその時相手が何を着ていたか、どんな髪型だったかなどという事は覚えていません。目の前にいるからそれに気づくとは限らないのです。

これはどういう事かというと、人間の脳は自分に必要な情報とそうでないものを無意識のうちに選り分けているという事です。選んでいないものは切り捨てられ、切り捨てられたものは脳の記憶装置には入ってきません。この選りわけをしているのが、網目状神経です。私たちが強い欲求を持って深く考えることにより、それは潜在意識の領域に達して自律神経に作用します。すると自律神経の作用により、網目状神経が働いて目的達成機構が機能します。

『やる気の脳』

やる気の脳は側坐核(通称NACC)という脳の一部でこの脳が刺激されると人々はやる気が湧いてきます。この『やる気の脳』が表情・態度の脳である大脳基底核を刺激する。それによりやる気のある人は表情が引き締まり、目に輝きがあり、当然動作も敏感で、全身に溌剌としたものを感じさせる。『やる気の脳は快感・覚醒を生じるA10神経によって強く駆動される。

快感・覚醒はやる気に重要である。』A10神経はいわゆる快感神経で、その神経によって私達は面白いとか楽しいといった快感を味わいます。やる気が触発されている時は体がてきぱきと動き、表情が変化に富み、目に輝きがある。そして寝ぼけたような精神状態でなくて目覚めてきびきびとした活気あるある精神状態にある。

目が生き生きと輝きだして周りの人から『今日はなんか嬉しそうな顔をしているね』などと言われた時に自分が何をしたかメモしておきましょう。自分の『やる気の脳』が充分に刺激されている時はいつなのか。それを掴む事が自分を活かす仕事が何なのかを知るひとつのヒントになります。

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