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ユニクロ“で”いいやじゃなくて、ユニクロ“が”いいのである 【ユニクロ】#とは

ファッションが大好きな、ライターの山田です。

ひと昔前のユニクロといえば、安価ではあるが、デザインに面白みはなく万人受け。どこかファッションに興味のない人がコスパ重視で選ぶイメージが付いており、ユニクロを着ていることが、「ユニバレ(ユニクロを着ているとバレる)」とも言われ、おしゃれではないと一般的に思われていたように感じています。

長らくそのイメージは付きまとい、私が“近年の”ユニクロの良さを力説したところで、いまだに「所詮ユニクロでしょ。」「ああ、物はいいよね、でもおしゃれじゃないよね」と言われることが多いです。

それでも私はユニクロが“今”日本で最高のブランドだと思っています。なぜならここ数年のユニクロはいい意味で、あきらかに“やばい”からです。
今回は私がユニクロに心を奪われている理由と、いかにユニクロがあなどれないブランドなのかを伝えたいと思います。

まず私は、服に関して高い関心を持ち、好きなブランドも多いです。シーズン毎にトレンドを追いたい、いつでも流行りのかっこいいものを着ていたいと思っています。そんなアパレル好きの私は、ここ数年ユニクロにいつも驚かされ、毎シーズンとても興奮させられています。なぜならユニクロが「アパレルオタクからしてみれば、とんでもないことをしている」からです。

ユニクロのハイクオリティ化の歴史を語るうえで外せないのが、2009年にスタートした「+J」シリーズ。ドイツ人の著名デザイナー、ジルサンダー氏とタッグを組んだこのシリーズの発表は、当時アパレル好きに大きな衝撃を与えました。インナーや、下着、防寒着が安く買えるかな程度で、ハイブランドとは対極にあった日本のブランドが、ジルサンダーとコラボ…。

「素材は?」「クオリティは?」不安を抱きながら、店頭に並んだ商品を手に取ると、従来の量産的なイメージとは打って変わって、圧倒的に洗礼されたデザイン。これがこの価格で?と驚かされる商品でした。たちまち、「+J」はちょっとすごいぞ、ユニクロがすごいことやっているぞという口コミがアパレル好きの間に広がっていきました。

のちに、ユニクロとして、このコラボレーションは失敗だったとファーストリテイリング会長の柳井氏は語っていますが。そんなことはありません、「+J」は確実に私たちの意識に一石を投じ、ユニクロすごいかもしれないぞ、と思わせてくれたターニングポイントになったと思います。このシリーズを契機に私の中でユニクロが従来イメージではなくなり始めたと思います。

ユニクロはまず、デザイナーやブランドとのコラボで私の認識に大きな風穴を開けていきました。+J以降も、アレキサンダー・ワン、ティム・ハミルトン、クリストフ・ルメール、アンダーカバー、J.W.アンダーソン、昨年度にはエンジニアド ガーメンツなど国内外の名だたるブランドやデザイナーとコラボを続けるユニクロ。たとえるならば、吉野家で一流フレンチのシェフが料理を作り、それを牛丼の価格で味わうことができるような状態なのです。これってすごいことだと思いませんか。

ユニクロがすごいのは、それを当たり前のようにやっていること。美食家が興奮して食事をしている店内で、仕事の合間に何気なくランチに来たビジネスマンが「あっこれおいしそう」と同じ料理を食べているようなもの。家族で気軽に訪れて何の気なしにカートに入れたものが、ファッションに無頓着な人が、適当にオンラインで買ったものが、著名デザイナーの手掛けた逸品であり、トレンドを敏感に押さえた、とんでもないクオリティの商品なのです。

下記に私に多大な影響を与えたユニクロ商品と共に、ユニクロが“やばく”なっていった遍歴を挙げていきたいと思います。

+Jスリムフィットシャツ(長袖)

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/158389-70

先に書いた「+J」シリーズのなかで、特にこの白シャツは圧倒的な名作です。いまだに、この商品を初めて手にした時の衝撃を超える服には出会えていないかもしれません。4000円余りでハイブランドの服が着られるというインパクトは革命的でした。
生地の光沢、スティッチの細かさ、ボディの形状から、襟の形、ボタンの質まで、すべてが完璧。カジュアルからフォーマルの場までカバーできるクオリティでした。人生で一番リピート買いしたボタンシャツであり、“ユニクロ史上最高のボタンシャツ”だと思っています。

ただ、当時は+Jをはじめとするコラボラインには惹かれていましたが、ユニクロの定番商品に関しては、正直そこまで評価をしていませんでした。この段階ではまだユニクロは、コラボラインのみを買いにいくブランドに留まっていました。

ブロックテックパーカー

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/414189/

「ユニクロのマウンテンパーカーが良いらしい」。+J以来、コラボ商品のみをチェックし続ける私の耳に入ってきたユニクロ情報がこれでした。マウンテンパーカーが、おしゃれ着として定着したのはまだ最近のこと。そのため、このジャンルは大手アウトドアブランドの一強でした。他ブランドから出ている、低価格帯のマウンテンパーカーはどこか生地も安っぽく、野暮ったいシルエットで敬遠していました。

そんな矢先に登場した、ユニクロのブロックテックパーカー。1万円を切る価格ということもあり、まあ雨具になればいいかなという感覚で手に取った際、それまでの低価格帯のマウンテンパーカーとは明らかに違う生地の光沢に「こいつできる…」と思いました。生地感以外でも、当時のユニクロにしては珍しく、赤字のロゴが前面に出ていない洗練された「■■」のロゴ。フードの立ち具合、縫い目が表面に見えない当時のトレンドをしっかりと押さえたデザイン。機能的にはアウトドアブランドに敵いませんが、街で着るには十分なスペックと、ツボを押さえたデザイン。これで1万円切るのは破格すぎると驚きました。価格以上のことをサラッとやってのける姿勢。この時期から、ユニクロ定番品も、なにか変わってきているかもしれないと感じるようになってきました。

ビッグシルエットポケツキT

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/196273

2000~2010年代のアパレル界のトレンドは長らくジャストサイズでした。スケーターファッションの復興と共に、トレンドのオーバーサイズ化が進んだのが2010年代半ばであったと記憶しています。そのタイミングで登場したのがこちらのTシャツ。「ユニクロに売ってるTシャツが、めちゃくちゃ“今っぽい”」とおしゃれな友人に誘われて店舗に訪れた私。正直当時の私はユニクロの定番Tシャツに全く期待していなかったのですが、トレンドを押さえた“ダボめ”のシルエット、「こういう無地のTシャツが欲しかった!」のど真ん中を打ち抜く商品がそこには並んでいました。

価格は破格の1500円。白を1枚買ったあと、あまりのクオリティに、その夏中に全種類を買い足したことを覚えています。また、このシャツの生地のタフネスさが、従来のシャツとは全く違いました。何年前に買ったかわからないこの商品が、いまだに着ることのできる状態でクローゼットの奥から発掘されます。トレンドに対して、圧倒的にスタンダードな型を、“最高クオリティ”で、“最安値”で出してくるユニクロとんでもないぞと思いはじめました。

シームレスダウン

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/409330

個人的にユニクロに一番“やばい”と思わされた商品です。ある種の恐怖すらも感じました。シームレスダウンがファッション界を席巻したのは、私の記憶では2010年代半ばから後半。最新の技術で縫い目を無くしたダウンは、従来とは違うスタイリッシュなフォルムで瞬く間にアウター界の新しいトレンドとして流行しました。
ただ、シームレスダウンにはひとつ大きな問題がありました。それが価格。当時、大手ブランドから発売されていたシームレスダウンの相場は大体10万円超え。「欲しいけど…手が届かない」、「来冬こそはこのトレンドアイテムを…」という憧れの存在でした。

そんな時に、ユニクロから発売されたシームレスダウンの価格はなんと、1万円台。大手アパレルの1/10の価格で市場に颯爽と登場しました。その後、ユニクロの冬の定番品となったシームレスダウンは、ウルトラライトダウンや定番のダウンとの価格差から、「ユニクロのダウンのくせに高すぎる」と敬遠されがちですが、とんでもありません。1万円台のシームレスダウンはアパレル界において本当にありえない価格なのです。ユニクロの中で最も価格破壊を起こしている商品だといえます。

個人的に、外国旅行時にヨーロッパのブランドショップで買い物をしていた際、現地の方に「君の着ているアウターはどこに並んでいるの?」と聞かれた経験があり、外国でもユニクロはクールなんだと思い知らされた商品でもあります。

Uniqlo U

ここまでユニクロのハイクオリティ化を、私に影響を与えた商品とともに振り返ってきましたが、そのノウハウが全て詰まったのが、現在展開中のUniqlo Uだと考えています。

https://www.uniqlo.com/jp/store/feature/uq/UniqloU/men/

世界的デザイナーであるクリストフ・ルメール氏とタッグを組んだこのシリーズは、デザインの秀逸性もさることながら、素材のクオリティも従来のコラボ商品よりも高く、まさにユニクロの最高峰ともいえるシリーズだと感じています。

最後にユニクロUの中で特に秀逸だった2作を紹介します。

ワイドフィットテーパードアンクルチノ

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/412359

残念ながら廃盤となってしまいましたが、こちらのボトムスはユニクロUのなかで圧倒的にお気に入りでした。太めのシルエットでスケーターブランドの定番品のような無骨なデザイン。太いパンツは硬くて厚みのある生地でなければ良さは出ません。この商品は文句なしの重厚感ある最高の生地でした。奇をてらわず、ベーシックでありながら、飽きの来ない絶妙なデザイン。復刻を強く願っています。

クルーネックT

最後に、ユニクロマニアの私が、今1番ユニクロで買うべき商品を紹介します。それがユニクロUのクルーネックTシャツ。

https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/422992-67

ユニクロを愛するのと同じくらいに、私は無地の白Tシャツが大好きです。最高の一枚を求めて数多のブランドから出ている白Tシャツを長年集めてきました。そんな私がついに出会った究極の1枚とも言えるTシャツです

まず、ぜひ一度実物を手に取ってみてください。手にしてみると、まずその生地の厚さに驚くはずです。その場で、ユニクロ内の他のTシャツと比べてみると明らかに厚みの違いがわかるはずです。外国メーカーのタフネスさが売りのTシャツ(1枚数千円)と比べても遜色がないほどのしっかりとした生地でありながら、価格はなんと1000円!
パックT(袋詰めで簡易包装された数枚入りの下着シャツ)の1枚換算程度の価格で、下着のようなペラさではなく、一枚での仕様に耐えうる品質を実現しているのはすごいことです。

そして、最後にデザイン。首元のリブの詰まりから、絶妙な丈感、太く見せすぎないボディラインのシルエット。1000円のTシャツという安価な題材でありながら、ルメール氏の匠としての息遣いが確かに感じられる逸品。デザインに関しては、私の言葉よりもまず、1枚着てみてください。そうすればわかるはずです。「あっ、なんかちょうどいいかも」と本能的に思わせる完璧な1枚です。

品質、価格、そしてデザイン、その全てに満足するアパレルはなかなかありませんが、このシャツはすべての項目で限りなく満点を出しています。ユニクロマニアの私が、今1番ユニクロで買うべき商品だと胸を張ってオススメできるものです。この記事を読んで、「ちょっと今度、ユニクロに行ってみよう」と思っていただけたら、まずはこのシャツを買ってみてください。「あっ今のユニクロちょっと"やばい"かもしれない」を実感できるはずです。

最後に

大前提として、この記事に挙げた私の心奪われた商品はすべて純粋に“かっこいい”です。ユニクロは「ベーシックな服を安価で大量に売るブランド」ではなく、「トレンドに沿った“かっこいい”服を高品質で販売しているブランド」だということを私は最も伝えたいです。消去法ではなく、数あるブランドの中から、選りすぐってかっこいいと考えて私はユニクロを着ています。

ユニクロ“で”いいやじゃなくて、ユニクロ“が”いいのです。


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