発想法については「ゼロからイチの幻想2 組み合わせの発想法」、「「ギルフォードの創造性テスト」と小説著述 」、「拡散的思考と収束的思考」と書いたので、ついでに「アイデアの三角形」という私の考え方を加えておきます。アイデア出しについては、息をするように出来ますが、その質については次のように考えています。 アイデアは、良いアイデア、悪いアイデアという一軸で考えてしまいますが、実は上のような三角形に分布するという様に考えた方がわかりやすいです。X軸は「ありきたり - 型破り」と
「当て書き」とは、映画や演劇などの脚本において、あらかじめ登場人物に俳優を想定して書く方法です。実際には、俳優のスケジュールを押さえ企画が成立した上で書く場合と、単にイメージとして俳優を想定して書く場合があるようです。 小説執筆で当て書き、というのはあまり聞かないのですが、やってみるとキャラクタがイメージしやすく、動かしやすく、セリフも自然に出てくる気がします。身長、体重、身長差、立ち振る舞い、声のトーンまで思い描けて、個人的にはオススメです。あの映画の、あのシーンの、あの
前エントリーの「ギルフォードの創造性テストと小説著述」でギルフォードについて書いたので、ついでに拡散的思考と収束的思考について書いておきます(好きな分野なので)。 ギルフォードは、拡散的思考(Divergent thinking)と収束的思考(Convergent thinking)という概念を提唱しています。自分なりに説明すると次のようになります 拡散的思考 Divergent thinking : 情熱的、主観的、創造的、アイデア 収束的思考 Convergent
前エントリー「ゼロからイチの幻想2 組み合わせの発想法」で発想法について書いたので、補足しておきます。 ギルフォードの創造性テストというものがあります。「レンガの使い道を3分以内にできるだけ多く考える」というテストはどこかで聞いたことがあるでしょう。冷静時代を背景に、IQでは測れない、創造性というものを評価する手法として米国で考案されました。現在、テスト結果と現実の乖離があるとして実用はされてないですが、考え方は参考になります。 このテストにはコツがあって、それを知って
前エントリー「ゼロからイチの幻想」の具体的な方法論です。 組み合わせの発想法は、次の三段階になると思います。MBAではお馴染みのロジカルシンキング、そのMECEの考え方からきています。 ただし、これは新規事業、新商品、新機能などに向けた、時間をかけて考える方法です。ちょっとしたアイデアなどには向いてませんが、応用はできます。私は慣れているので、著作にもこの技術を多く使います。 組み合わせの元を得る(入力ソース) 目的に沿って、元から組み合わせを考える 組み合わせを評価
新規事業、新商品開発をずっとやってきたきたのですが「ゼロからイチを作る」と安易に言う人がいます。そういうビジネス書も多く出ています。しかし、間違いなく「ゼロからイチは作る」というのは幻想でしかありません。すべてのモノは過去のモノの組み合わせであると思った方が正しいです。素晴らしいモノは素晴らしい組み合わせのモノです。「ゼロからイチを作る」という幻想を捨てて、「素晴らしい組み合わせを考える」という方が正しい道です。 これは電子機器、ビジネスモデルなどで有効な考え方ですが、小説
拙著「臨終師フォン」 を、日本SF大賞にNo.240でエントリーして頂きました。エントリー数342作品、重なっているのもあるので300作品ちょっとぐらいでしょうか。自分の基準ではSFには入らない作品も多いですが、読んだり見たりしているのは10作品ほど。面白そうなのは、これから読んでみたいと思います。 映像作品のエントリーが意外に少ないです。次回は自分でも好きな映像作品をエントリーしてみたいです。 エントリーを記念して、Kindle版「臨終師フォン」 、Apple Books
「羆嵐」、はるか昔に読んでいるのですが、最近の熊のニュースの多さから読み返してみました。 大正4年(1915年)12月、北海道天塩山の開拓村における一頭のヒグマによる日本獣害史上最大の惨事のドキュメンタリーです。熊に対する村人たちと老練なクマ猟師の銀四郎。特に猟師の銀四郎は、熊に対すると冷静沈着ですが、性格もかなり悪く、酔うとさらに悪くなるという印象的な人物です。 最初に読んだ時から記憶に残っている、人間が食べられる時の、骨が砕ける音のリアルさは一回読んだだけでも長い間忘
前述の「物語の三層論」に書いた、クリフハンガー(Cliffhanger)について補足します。 クリフハンガーとは、絶体絶命のシーンで物語を終了し、その後を想像させ、期待させる技術です。その歴史は古く、ヴィクトリア朝時代の連続小説で広まり、特にチャールズ・ディケンズの連続小説で有名になった手法のようです(日本語版Wikipediaのクリフハンガーの項は少し変)。 映画が普及すると連続活劇に、またTVが普及すると各週ドラマの終わりに、クリフハンガーは技術として多用されま
物語におけるキャラクタの役割、について初めて体系的に知ったのはDramaticaでした。 Dramatica、は90年代に作られた、物語を作るためツールのソフトウェアです。プロット、テーマ作成、ストーリ構成と段階的にガイドを与え、執筆プロセスを導いてくれます。 私自身、このソフトで物語を書いたことはないのですが、このソフトのマニュアルは大変楽しく読みました。特に、物語のキャラクタの役割について、スター・ウォーズで説明されていて、非常に納得性があり、それを自分なりに解釈し
前述の「物語の三層論」に書いた、スローイン・ファストアウトについて補足します。 スローイン・ファストアウトは、スポーツ走行で有名な言葉ですが(私は「頭文字D」で知りました)、物語の世界では、シーンにはゆっくり入って、素早く抜ける、という表現技術になります。 シド・フィールドの脚本術3「最高の映画を書くためにあなたが解決しなくてはならないこと」(The Screenwriter's Problem Solver)の第19章「ゆっくり入って、早く切り上げる」(Enter
前述の「物語の三層論」に書いた、マクガフィンについて補足します。 マクガフィンとは、物語を展開させる上でのキーアイテムです。しかしながら、ヒッチコックが「映画術」で書いた事が、誤解、拡大解釈されているように感じます。具体的には、「映画術」p125「海外特派員」、p160「汚名」の部分でマクガフィンについて多く語っています。p160から引用してみます。 実際、ヒッチコックはマクガフィンを交換可能と言っているが、単純にそう読むのは浅いでしょう。マクガフィンとは分かりやす
私は、小説の面白さを次のような三層で考え、また自分で書く時もこれを意識しています。 1) 表層的 2) 構造的 3 深層的 これらは単純に分離できるものではなく、当然、各層で関係しあっています。それぞれについて、簡単に解説します。 1)表層的な面白さ 表層的な面白さは数行、数ページでわかるものです。物語の面白さの本質ではありませんが、物語に集中させるために必要なことだと思っています。 文章においては、当然のこととしての読みやすさ(センテンスの長さ、
OpenGPTに自分の名前、作品を聞いても、かなりいい加減な答しか返ってこないのでがっかりしてました。最近の情報は学習されていないので当然ですが、村上春樹について聞いても、他人の作品名を自信満々に出してきたり、信用できないです。 最近、Microsoft EdgeのBingにAIチャットが搭載されたというので、エゴサーチしてみました。 (質問) 作家の廣亜津美について教えてください 廣亜津美さんは、日本の作家であり、近未来SF「臨終師フォン」を出版しています1。また、
「臨終師フォン」KDPセレクト終了に伴い、Apple Booksでの販売を再開しました。再開記念に10月中は100円で販売することにしました。(ついでにKDPでも99円販売にします) https://books.apple.com/jp/book/id6445328289 Apple Books発売再開記念で、KDPでも99円セールします(多分10月中) KDPセレクトをやめると、無料キャンペーンはできないで最低99円になってしまうのです https://www.a
前エントリーの補足ですが…。 前エントリーでは書き忘れていましたが、シナリオ・プランニングにおいて重要なのは、ドライビングフォースによる両極端のシナリオにおける状況を理解し、その行動を決定しておくことにあります。 なので、小説としては「理想シナリオ」の世界での物語を展開させましたが、実世界においては他の「楽観シナリオ」、「理想シナリオ」、「破綻シナリオ」、「衰退シナリオ」での行動を考えておくべきなのでしょう。「楽観シナリオ」は問題ないとして、特に「破綻シナリオ」を考えてお