クリフハンガー
前述の「物語の三層論」に書いた、クリフハンガー(Cliffhanger)について補足します。
クリフハンガーとは、絶体絶命のシーンで物語を終了し、その後を想像させ、期待させる技術です。その歴史は古く、ヴィクトリア朝時代の連続小説で広まり、特にチャールズ・ディケンズの連続小説で有名になった手法のようです(日本語版Wikipediaのクリフハンガーの項は少し変)。
映画が普及すると連続活劇に、またTVが普及すると各週ドラマの終わりに、クリフハンガーは技術として多用されました。現代においてストリーミングのドラマでも、各シーズンの終わりにクリフハンガーが使われる事があります(個人的にはシーズンエンドのクリフハンガーは嫌いです)。
連続モノではなく、一本の小説、ドラマ、映画においてもクリフハンガー的な手法は使われます。もちろん、連続小説や各週ドラマで、その間に期待を高めるような効果は出ないのですが。
次のものが一番使われる手法でしょう。クリフハンガー・オープニングと呼んでもいい手法です。
オープニングで主人公Aが絶体絶命 -> 過去に戻って、(全体の50〜80%ぐらい要して)絶体絶命に至る物語 -> Aの絶体絶命に戻る -> Aの危機脱出
次のものもクリフハンガー的な手法に思えますが、効果時間は短く、クロスカッティング、フラッシュバックの編集手法と考えた方がいいでしょう。
登場人物Aの危機 -> 登場人物Bの危機 -> Aの危機脱出 -> Bの危機脱出 (クロスカッティング)
登場人物Aの危機 -> 危機と脱出方法についての情報 -> Aの危機脱出 (フラッシュバック)
拙著「臨終師フォン」 においても、0x09章のバンブーウォールからの脱出の部分で、フラッシュバック的な手法は使っています。しかし、単に説明的に終わってしまい、残念に思っています。
「小説家になろう」、「カクヨム」などのWeb小説投稿サイトでは連続小説で投稿する方が多い割には、あまりクリフハンガーが使われていない気もします。古臭い手法だからでしょうか。
ちなみにクリフハンガー、またはCliffhangerで検索しても、1993年シルヴェスター・スタローン主演映画「クリフハンガー」ばかり出てきてしまいます。
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