スローイン・ファストアウト

 前述の「物語の三層論」に書いた、スローイン・ファストアウトについて補足します。

 スローイン・ファストアウトは、スポーツ走行で有名な言葉ですが(私は「頭文字D」で知りました)、物語の世界では、シーンにはゆっくり入って、素早く抜ける、という表現技術になります。

 シド・フィールドの脚本術3「最高の映画を書くためにあなたが解決しなくてはならないこと」(The Screenwriter's Problem Solver)の第19章「ゆっくり入って、早く切り上げる」(Enter Late and Get Out Early)があります。この中で、ウィリアム・ゴールドマン「脚本家業の冒険」(Adventures in the Screen Trade、残念ながら未読)に、シーンにはできるだけ最後のポイントで入った方がいいと、と語られているとあります。一般には、これの解釈はなかなか難しいです。

 また、シド・フィールドは"可能な限り最後の瞬間にアクションを開始するのがベストだ"と語っています。

 以上から、これを平易に解釈してスローイン・ファストアウト、つまりシーンにはゆっくり入って、素早く抜ける、と考えるのがいいように思えます。

  • 前半60%で、背景、人物、前提

  • 中盤30%で、緊張、対立などアクションを起こす理由

  • 後半10%で、アクション

 というようなスピード感でシーンを作り上げるのがベストと個人的には考えています。もちろん、場合により変化しますが。

 これらはシーンの話ですが、チャプター、ストーリ全体においても、スローイン・ファストアウトは有効です。


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