見出し画像

移住はしない方がいいです

田舎に移住とか地方に移住とかが消費され始めてここ数年、私もその波に乗るように5年前の2015年に吉祥寺から長崎の超田舎の漁村に移住をしました。世間では「田舎に移住して豊かな生活」とか、「都会を離れてスローライフ」とかの押し売りが半端じゃないですよね。移住生活5年を迎えた身として「移住はしない方がいいですよ。」の視点でまとめたいと思います。


地元の人との関わりがしんどい。

移住をしない方がいい最大の理由はこれです。移住してきたよそ者に対して最初は優しかったりするんですが、とにかく、何かと干渉していきます。自治会長的な人は「自治会に入っていない人はゴミを出させない」とか結構どこの地域でも未だに聞くし、こっちの都合を考えずに突然家に来たりします。来て何すんのかなーってちょっと付き合ってみるととりあえず1時間ほど喋って帰っていきます。私は今移住した長崎の田舎で住みながら家でデザインや服作りの仕事をしています。この地域にいる人は年金暮らしで午前中ゲートボールしかやることがない老人が9割りです。そんな老人と私とでは根本的に時間の使い方が全く違います。仕事中に突然家にやってきて何時間も喋られても、こっちの仕事は止まるし、時間も浪費するし、いいことありません。あなたたち老人は年金もらって時間を資産に変える作業は必要ないかもだけど、私たちはそうではありません。時間の使い方が違う人がいるコミュニティに属するのは本当にしんどいです。


車がないとまず生きていけません。

吉祥寺にいる頃、中央線や井の頭線の時刻表なんて見たことがないくらいに都市は交通インフラが整っています。しかし私がいるこの長崎の地区ではまず車がないと生けていけません。JRは通っていませんし、バスも国道しか走らないので最寄りのバス停まで歩いて行こうと思うと30分はかかります。最寄りのコンビニまでもそのくらいです。地区を走るコミュニティバス的なやつはありますが基本老人しか乗っていないのでこの昨今老人と密室、密接になる状況は極力避けます。私たちは夫婦2人なので車は一台でまぁ不便ありませんが、これで親とか子供とかがいると車一台ではまわりません。田舎は1人一台の車が必須だし、若者の車離れなんて全く感じません。しかも田舎道は結構痛んでたりするんで小石が飛んできたりとか、車が結構摩耗します。車で走っている時に猫や狸、イタチが飛び出してきて轢いてしまった。。なんてことも数回あります。


生活コスト、安くないです。

移住して念願の庭付き一軒家に住める!なんて結構幻想だと思ってください。運良く月5万円くらいで庭付き一軒家みたいな物件があっても、庭の手入れとかめっちゃ大変だし、家は結構痛んでいきますので修繕も必要です。電車代が浮いてもその分車代や車のメンテ(オイル交換、タイヤ交換、車検など)やガソリン代がかかります。田舎は基本的にプロパンガスなので都市ガスの頃よりもガス代は絶対に上がります。唯一お得だと感じるのは水道代です。私たちのいる地区は水道代が安いです。二人暮らしで月2000円くらい。でもよくよく考えると飲む水は湧き水を汲んでくるし、温泉街が近くにあるので家で湯船を溜めません。家にいる時はシャワーボックスでシャワーなのであんまり水を使っていないのかな?っても思います。生活コストは安くないです。むしろ都会の方が安いかも?って思うこともあります。吉祥寺にいる頃より減ったコスト、、あ、都民税はないですね。


田舎や地方は経済がまわっていません

移住して起業しようと考えている人も少ないくないともいます。私は移住して起業するとは思っていませんでしたが結果的に起業し、今はアパレルブランド2つの運営とショップの運営、イラストやアートディレクションの仕事をしています。(運営しているショップについてはこちらからどうぞ)ただ、やっぱり作っている服の卸先やディレクションの仕事は長崎市や空港がある割と栄えた街にあります。田舎ではアパレル商品やディレクションの仕事の価値はあまり高くありません。(一次産業は盛んです。)田舎は必然と老人が多くなるので老人をターゲットにした商売が多くあります。病院、薬局、JAのスーパー、大衆居酒屋、斎場などなど。これは需要と供給の関係があるのでどうしようもありません。よく移住してシャッター街の商店街にカフェをオープンしたみたい話を聞きますが、僕の経験上このようなカフェはうまくいきません。そもそもなぜその商店街はシャッター街になったか?なぜこの地域にはカフェが今までなかったのか?という視点が抜けています。必要が無くなったから商店街はシャッター街になったし、必要がないから今までカフェがなかったのです。最初はうまくいったとしても数年経つと老人のお客さんの体に変化が出ます。足が上がらなくなったり車椅子になったり柔らかい物しか食べられなくなったり。その客層とニーズに合わせてたら商売なんてできないですよね。もしこのカフェがうまくいったならそれはお店として魅力があり、どこでもやっていけるとお店ということになると思います。


「移住先には理想の生活がある」という勘違い。

移住を志す人の大半はこれです。移住先に自分の理想とする住まいや環境があると思い込んでいます。残念ですがこれは間違いです。移住候補地に数回行く分にはまだ旅行気分が抜けないので楽しいですが、その楽しいまんまの気分で移住すると基本挫折します。住むのと旅行は違います。

ではどうすればいいか?それは自分の理想の住まいを「作っていく。」という考え方になるべきです。自分の自己実現をするために移住という手段を使い、移住先の地域を利用するべきです。私もこの姿勢で移住をしました。この移住先で自分は何ができるか挑む感じで移住をしたので決して「田舎でスローライフ」的な考えは持っていませんでした。そのおかげで今の自分の満足する生活を送れていると確信しています。なので、移住先で自分の生活を作ることができれば田舎でも都会でも関係なくどこでも理想の生活を作れると思うのでわざわざ移住はしなくてもいいんじゃないかなーと思います。実際私は3年間地域起こし協力隊だったので他の隊員が自分の生活を作ることができずに、移住先で馴染めずに都会に戻っていく人もたくさん見ています。都会に戻っていく人は決まって「いい人」です。いい人ほど「地域」という不特定多数の声を聞いてしまい、自分を見失い、周りの声に負けてPTAの役員とかになってしまいます。この点から私は移住を使って自己実現を確立したいなら「まずはいい人をやめろ」とアドバイスします。


以上が移住はしない方がいい理由のまとめです。このnoteは同じくnoteで記事を書いていた坂口惣一さんの「移住で後悔する前に考えておきたい7つの想定外ー軽井沢日記」

を読んで私自身の考えや経験を言語化するためと、移住を考えている方などに少しでも参考になればと思い突発的に書きました。私自身移住して完全に自己実現を形にできている身ではありますが、わざわざ移住しなくても今自分が置かれている状況をなんとか工夫することで絶対に状況は改善すると思っています。「移住っていいよねー!」みたい押し売りもすごく嫌いなので、移住をしない方がいい観点からまとめました。

一応、私がいるこの地区や長崎の名誉を守るためにも日常のワンシーン、生活圏内の写真もいくつか貼っておきます。とてもいいところですよ。


画像1

画像2

画像3

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?