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「変わってるよ」と言われる当店の運営方法

こんにちは。

オープンして約5年経つ私たちのショップ「portsidelaborartory」ですが、謎多きショップとして有名で、5年経ってもどんなショップなのか全貌が掴めていない方が多いです。(実際どんなショップなんですか?って今でもめっちゃ聞かれます。)そこでportsidelaboratoryがどのようなお店なのか、どのようなポリシーの元運営しているのかまとめたいと思います。portsidelaboratoryがオープンするまでのなんやかんやは前回まとめたこちらからご覧ください。


完全招待制です。

当店は田舎ではちょっと珍しい完全招待制のセレクトショップです。この店を始める上で大切にしたのが「どうやったら自分が満足、納得するお店が出来るか?」です。普通、一般的なセレクトショップを始めようと思うとまず店舗の家賃、設備投資、従業員の雇用、仕入、製造などが必要です。一番ネックなのはやはり大金がかかる家賃と設備投資です。まずはここをクリアする為に家賃がかからない自己所有(正確には妻のりの母の持ち物)の土地と建物を利用することにしました。これでかなりのお金が浮きます。従業員は雇っていません。自分たち2人で運営しています。仕入の大半はNikeのスニーカー(NikeLabやSNKRSで割とすぐ売り切れるモデルメイン)とウェアで、これは私がインターネットを駆使して世界中から仕入れます。製造に関しては私がデザインを担当し、のりおが縫製を担当して自社製品を作っています。ロットも最小限もしくは注文が入ってから作りますので生産管理会社などを使わずに商品を製造できます。在庫も0に近い最小限です。

これらのネックをクリアして、最後の難題が営業です。portsidelaboratoryに来店されたことがある方なら分かるかと思いますが、当店がある立地はもう田舎も田舎で、視界に入る人が基本いません。視界に入ってもゲートボールの老人数人です。人よりも野良猫と蟹の方が道にいます。なので例えば毎日11時〜20時まで営業しても、多分来客数は1日1人いるか居ないかです。週末になると噂を聞きつけた変人が数組来店、くらいです。そんな状態なので毎日お店をオープンしているのが辛くなってきます。人が来ないのにオープンしていても意味はありませんので、オープンした当初は土日のみの営業で運営していましたが、結局来店される方はインスタのDMとかで連絡をしてくるので、

「それならもう予約制でいいんじゃね?」ってなりまして予約制に変更したのですがこちらの都合とお客さんの都合が合わないこともあって、しんどくなってきて「もう招待制でいいんじゃね?」になりました。それ以来当店は招待制+1年に1日くらいはオープンを頑張ろう。の営業スタイルになっています。


現金お断り&駐車場はありません。

今でこそキャッシュレスは地方都市でも当たり前になりましたが、当店がオープンした当初はまだPayPayがなく、田舎にはキャッシュレスに対して不信感を持っている人が大多数の感じでした。私たちはオープン時からクレジットのみの決済、現金でもいいけどお釣りは出ませんよ。のスタイルでやってきました。そして駐車場がありません。都会だと「駐車場がない」はあまり気にしない項目ですが、田舎や地方都市にとって「駐車場がない」のインパクトは物凄いものがあります。「駐車場がない=行けない」になります。ただ、招待したお客さんや一年に1日だけオープンする日にはちゃんと駐車場を用意しています。当店がある立地の地区は「駐車禁止」という概念がなく、空いている場所にみんなが気を遣って車を停め合っています。


(特にファッションデリカシーやクリエイティブデリカシーがない)騒ぐ子供や泣く赤ちゃんは入店拒否です。

当店は買い物をするためのショップです。保育園ではありません。ですので基本的に子供(小学校低学年くらいまで)や赤ちゃんは入店を拒否しています。基本的に田舎って「女性は子供を産んで育ててなんぼ」みたいな風潮が強くあります。その風潮もあり、基本的に20代から40代の我々がターゲットにしている客層の大半の方にはお子さんがいらっしゃいます。当店の雰囲気を守る為や可能な限り上質なショッピング体験を提供する為に騒ぐ子供や泣く赤ちゃん、イキる変な人とか小汚いおっさんとかは入店を断ります。

言葉だけみればかなり強く厳しい印象を受けるかもしれませんが、逆に言うと日頃子育てや家事、生活そのものをがんばっているママさん旦那さんに子供や赤ちゃんを実家やヘルパーさんに預ける口実を当店が提供しているとも言えます。数時間でも日頃の生活から一線を退き、ゆっくりお茶ができて、服が買えて、スニーカーが買えるお店です。子供を預けるのは難しいです。難しい空気感を日本社会は出しています。それでも子供を預けて来てくれた人の時間と勇気と決断を守りたがゆえにノイズの入店拒否を実施しています。


嫌なお客さんが、どうやったら来ないか?

基本的には、お店の運営は「どうやったらお客さんが来てくれるか?」を考えますが、僕の考えは全く逆で「どうやったら嫌なお客さんが来ないか?」だけを考えています。来店してほしいイメージに合うお客さんは放っておいても勝手に来ます。ちゃんとインスタのDMとかで問い合わせをしてきます。そうではなく、せっかくの自分のお店なので、嫌な客を遠ざけるにはどうすればいいか?を考えたときに嫌な客を篩に掛ける為に上記のポリシーを設定しました。それは来てくれた良いお客さんの時間やショッピング体験を守るためでもあります。そうやって約5年間、運営を続けています。


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これらのポリシーの元、当店を運営しています。せっかく時間と労力と金をかけて自分のお店をオープンさせたのに、営業が気持ち的に辛くなったりしたら本末転倒ですよね。そんなに儲けたい訳じゃないし、話題になりたいわけでもない。心から満足する自分のお店を「とりあえず」やってみたいと思っている人の参考になれば私としても大変嬉しいです。


やりたくて始めたお店ではない

よく「お店をやりたくて東京から田舎に移住したんですか?」とか聞かれるのですが、そーゆー訳ではなく、寧ろportsidelaboratoryはやりたくて始めたお店ではありません。アパレルブランドも2つ運営していますが、これもやりたくて始めた訳ではありません。じゃあなんでportsidelaboratoryを始めたかと言うと、私は移住したタイミングで3年間「地域おこし協力隊」という仕事をしていました。3年間限定の契約社員の公務員でした。この隊員の仕事2日目にして公務員や行政という仕組み絶望し、クビにならない程度にやることをやって、もらえる給料をportsidelaboratoryの投資にあて、生活するための生活費を服を作ってマーケットなどに出店して稼いでいました。それが今アパレルブランドをやっている原点であり、portsidelaboratoryをショールーム的な感じで整えた意味合いもあります。実際に当店に来店された同業者からは

「これだけかっこいいお店を作れるならパッケージとかウェブサイトのデザインとかグッズとのエプロン制作とか出来ますか?」なんて当時の自分たちからすれば無茶振りも無茶振りが沢山来ましたが、来た仕事は断らないがモットーなので全て引き受けました。パッケージ制作やウェブサイトのデザインのノウハウなんて全くありませんでしたが、仕事を受けたからにはやらないといけないのでまぁなんとか対価をもらえるモノを作れるようにはなりました。


よく巷には「人は28歳前後の時の仕事が一生の仕事になる」なんて通説がありますよね。その通説もあり、なんとなく私たちは服とかお店とかで生きていくんだろうなーって感じ始めていた時でした。なので地域おこし協力隊の給料はベーシックインカムと捉え、自分たちが価値を生み出せる服やお店をやっていこうと決め、なんとなくちょっと真面目に今でも服作りには取り組んでいます。ありがたいことに今では卸先もあります。


以上が当店のポリシーになります。どんなショップなのか、少しはお分かりになるかと思います。地域おこし協力隊の方で契約終了後の人生に悩んでいる方や自分のお店をしたいと思っている方、漠然と28歳前後で今後の人生に悩んでいるけどついつい考えることを先延ばししている方々の参考になれば幸いです。

2020.3.13

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