PARALLELS///infinity
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あなたはいま
地下鉄をおりて地下通路を歩いています。
前方の柱を左から抜けるか、右から抜けるか
普通なら無意識に選択します。
でも、ちょっと待ってください
右へ抜けた先のあなたの未来、
左から抜けたあなたの未来、
この先、大きくかわってゆくのです。
時間と云う概念は、
実は人間が作った言い訳にすぎません。
すべての出来事は同時に存在し、
その中をあなたの意識が
通り抜けているだけなのです。
まるで、
量子レベルで位置を確定できない電子のように、
すべての、出来事は同時に存在し
選択の可能性ごとに世界が分かれてゆくのです。
平行世界、パラレルズ•インフィニティ
前方の柱を左から抜けるか、右から抜けるか
普通なら無意識に選択します。
ところが何かのきっかけで
とんでもない可能性へまぎれこむことがあります。
あなたは、大丈夫ですか？
あなたは、
あなたの可能性の世界から逸脱してはいませんか？
設定
現実と微妙にずれた平行世界、パラレルズにまぎれこむ。
そこでは、現実世界の延長上の可能性、
風俗、習慣、科学、災害、歴史、宗教などの
わずかな違いからはじまり、
生物生態系の異なる世界、
まるで別種の人類や地球などを表向きのモチーフに
その内側に現実の世界に対する警鐘や批判を
エッセンスとして盛り込んでゆく。
テーマ
地球温暖化、
水面が30m上昇し、人間の水棲化実験をしている世界。
アンビエントIT社会、
体にインプランとされたIDチップで管理される世界。
環境ホルモン、
恋をする力がなくなってしまった、出生率ゼロの世界。
クローニング、
臓器スペアのために生まれ育つ
クローン人間工場の世界。
エデンの園、
別種族に飼育される家畜化された人間の世界。
嘘、
隠し事という人間の心の裏表のない素直な世界。
妖怪、
少数民族として追われる人々の世界。
大阪v.s.東京、
内戦、日本が内戦をしている世界。
家族、
地域単位で子供を育て、集団で暮らしている世界。
究極の選択、
たった一組の男女になってしまった世界。
シェルター、
地下で暮らす人々の世界。
溶解する人々、
私とあなたの境がなくなり融合することで増殖する世界。
鉄都、
世界が一つになり工場国となった日本と
生産性向上のための娯楽の供給。
非高齢化、
２０歳以上の人間が育たない子供だけの世界。
戦争、
何百年も戦争を続けている世界。
弱虫、
戦うこと、自由を勝ち取ることをあきらめた世界。
原始人、
博物館で展示される人間の世界。
ハイブリッド、
DNA注入で強引に進化する人間の世界。
森、
植物として生きる選択をしてしまった、人間の世界。
王様、
世界征服をしてしまい
すべての世話をしなくてはならない支配者の世界。
未来、
パラレルズの秘密を知った人々、
何度でもやり直しの出来る世界。
食物連鎖、
異種タンパクを摂取できなくなった人間、食人世界。
太陽、
太陽の変動で寒冷化してゆく、経済が破綻してゆく世界。
メモリー、
磁力兵器の実験で、
世界中のデーターが消去されてしまった世界。
テロリズム、
世界の敵にされてしまった日本、
立ち上がるか否かの世界。
海、
生物がまだ生まれる前の原始地球、
そのきっかけを誰がつくったのか。
夢、
夢の中でおこることは、パラレルズへの接触なのか。
言語、
まるで鳥のような言葉で話している世界。
大当たり、
確率が異常な分布を示す世界。
５７３７２７１８、
パラレルズを行き来する特異点の暗号。
消えた少女、
セキュリティカメラに記録されたその瞬間、特異点。
神隠し、
古い民話にのこされたパラレルズの痕跡。
確率変動ディテクター、
特異点を探知する装置。
記録、
消えた少女たち、生還した少女。
カンブリア大爆発、
地層から発見される異性体元素。
578.825.116.333.238
acqua pazza
地球温暖化、
水面が30m上昇し、人間の水棲化実験をしている世界。
名高由香１６歳、夏休みを利用した
オーストラリアホームステイからの帰りの便、
機内食にacqua pazzaとbeefを迷った。
彼女の場合その選択がパラレルズへの特異点だった。
彼女の頼んだ機内食はえらのついた何かの胎児のacqua pazza、
驚いて声を上げる由香、やってきたキャビンアテンダントの首筋には同じようなえらが、そして隣のシートの友人にも。
―上空から見る東京、成田、海面上昇により陸地はわずかになり高層ビルが水面から顔を出している。
空港の救急医療センターで目を覚ました由香は、自分のいる世界が信じられない。
海面が30m上昇した地球、
人々は水棲可能な後天的部分遺伝子処理を施され、次世代の子供たちは先天的に水棲化で生まれる。救急医療センターから国立水棲化局に保護観察のため輸送される由香は、隙を見つけ脱走する。
私鉄を乗り継いで実家のある狛江へ、
世田谷の海を渡る小田急線。
水面には水棲化を選んだ人々がくらしている。実家へ向かう坂道は海の中へ、やっとこの世界が自分のいた世界ではないと理解して途方に暮れる由香。
夕暮れ、水際で泣き疲れた彼女に懐かしい声が聴こえる。
母の声、由香と呼ぶ。
由香を抱きしめる水から上がったばかりの母、
水棲化が進んだ姿、
泣き叫び後ずさる由香、母ではない化け物にしか見えない。
その時、背中に何かが刺さった、
国立水棲化局の捕獲員が放った麻酔針。
意識が遠のく、次に目を覚ましたのは見知らぬ場所。
さあ、順応しよう！と
局員が何かどろっとしたものを飲ませようとしている。
大きな白いおたまじゃくしのようなものがチューブのなかを由香のマウスピースへ流れてくる。
目を見開いて泣き叫んで拒否するも拘束されて動けない。
局員が再び麻酔を打つ、遠のく意識のなかで、それを飲み込み受け入れる自分がいた。
後日、狛江付近の海に放流される由香、
そして、再会を喜び仲良く泳ぐ３人家族が。
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くるくるちゃん
小子部(ちいさこべ)音響心理研究所に警視庁から届けられたDVD、
それは新宿大地下通路の防犯カメラの記録映像だった。
小子部教授に依頼を頼んだのは大学時代の友人、警視庁の矢作である。そこには延々に人々が行き交うだけの映像、
”君が興味を引くと思ってね”
２時間見終えて、小子部は８倍速で頭からもう一度見始める、
人々が早回しで流れ川のように見える。
これは、何だ、
地下通路の柱を回るひとりの若い女性が
ある瞬間ゆらっと歪んだかと見えると掻き消えた。
彼女はくるくるちゃんと呼ばれていたホームレス、３年前からこの地下通路に暮らしていた。
小子部と矢作は彼女のダンボールハウスを訪ねた。
”突然やってきて、変わった子だね。ちょっといっちゃってたね、ずーっ泣いていたけど、あるときから難しい本ばかり集めだしてさ、それからさ、くるくる仕始めたのは、”
ダンボールハウスの中は、数字で埋め尽くされていた、それも数列と数式、さらに何冊もの高等数学の研究本、天文年鑑、電波時計、GPS、
写真で数式を撮影する小子部、
そして書きなぐったノートの置くから不思議なものを見つける。
金属製で、細かい数字が何千も刻印された手のひら大のボール、縦横の数列が自在に移動する。
”何だろうこれは、何に使うのだろうか？”
撮影された数式は、友人の数学者に意見を求めた。
”誰かね、こんなものを書いた奴は？”
彼はつづけた、
”多元宇宙論、それも時間の概念を導入せずに描いている、同時に存在する世界だ。天才だなこれは”
ーもっと詳しくきかせてくれ、
小子部がパラレルズの研究をはじめるきっかけである、
そして驚くべきことに似たような失踪が
多発していることを知る。
DVDに残された、
くるくる柱を回り回る彼女の
軌跡と数式の一致に気がつくのはもう少し先になる。
違った世界から迷い込んだものが、
再びもとの世界に戻るための痕跡がすべてそこにある、
そのことを理解できるものはこの世界にはいない。
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戦争
” 日本の皆サーン、お待たせしましたぁ！
戦争がはじまりますよー！“
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16年前の企画書より、
なにか微妙にかすっているのもあったりしてすこし怖いですね。
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