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[旅行記] 栢島の美しい海を見ようと

四国をあちこち巡ってきた。

一番訪れたかったのは、四国南端にある足摺岬、の近くにある栢島。海の色がとても綺麗で、およそ日本とは思えないような海が広がっている、という話を聞いて。沖縄なら同じように綺麗なところはあるだろうけど、四国にもそんな透き通った海があるらしく、ぜひ行ってみたいと思っていた。

ただ、せっかくその海を見に行くのなら晴れていないといけない。飛行機を予約してしまうと日程がFixしてしまって、天気に合わせられない、という難しさ。そんなわけで直前まで天気予報とにらめっこしながら、なんとかなりそうな週末にGo。新幹線で岡山まで行き、そこからレンタカーで四国へ。かなり長いドライブになってしまうけれど、臨機応変にいくならこれが良いだろう、と。

1日目は雨模様からの上り調子な天気、ということで途中あちこちに寄りながら栢島付近を目指す。栢島は2日目に訪問。天気は予報通りバッチリ。おかげで素晴らしい海を堪能することができた。夏でないと綺麗な色は出ないかも、と思ったりもしたけれど、この時期でも透き通った美しさを見せつけてくれた。

目的はそれだけといえばそれだけで、あとは地元の美味しいものや他の名所などを見るだけの道中かと考えていたのだけれど、思いもよらず印象深かったのは、なんだろう、人の優しさや暖かさ、そして、昭和的なノスタルジーを感じさせるような光景の連続だった。

例えば、栢島付近で泊った民宿。ホテルなんて数えるほどしかなかったので、それならと地元らしい民宿に泊まったら、まるでじいちゃんばあちゃんの家に泊まりに来たかのような気持ちになった。決して綺麗とは言い難い建物はお風呂もまるで昔の親の実家のよう。そこのご主人の手料理は、料理屋ではあるものの家庭料理のようで、でもちょっと手が込んでいて。そして食事しながらご主人と話したり、同宿のお客さんといろいろな会話をしたり。

例えば、飲食店や道の駅で。高知のペラ焼き、香川のたこ判やうどん、どの店も30年40年といった年季が入った店ばかりで、内装から人柄から、どこをとっても昭和だった。悪い意味ではなく、良い意味で。衒わない、自然体で、懐かしくて暖かい。都会ではもうほとんど味わうことのできない感覚。店に入った瞬間からそういう空気に包まれて、食べ方とかちょっとした気配りとか他愛もない話とか。すべてが暖かい優しさでできていた。

そんな空気も瀬戸内海に近づくにつれてちょっとずつ薄れていき、橋を渡って本州に入る頃にはほとんどなくなった。いつもの都会的な空気へ。まるで別の国から自分が知るいつもの日本に戻ってきたみたい。同じ国なのに、まるで別の国だったかのようだった。ちょっとした異国感。

日本という国は、結構広い。世界のなかでも60位ほど、ヨーロッパの国々と比べると、割合大きいことが良く分かる。やや細長い形状も、地域性を発揮しやすい特徴なのかもしれない。同じ国の中でも風習や文化の違いがたくさんある。そんな大げさなことを言わなくても、単に生活様式が違うといえば良いだけか。それぞれの土地で、何を食べていて、どんな仕事があって、どんな生活をしているか。その違いを見るだけでも面白い旅になる。その違いが、今回は思ったよりも大きくて、まるで外国に来たみたいだった。

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