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製薬業界デジタルトレンド2021年予想①

皆さんこんにちは!

ヘルスケア業界(CRO業界)で新規事業企画の仕事をしている、ヒロシズといいます。

今回は、製薬業界って今後どんな事業が盛り上がっていきそうか?を、自分の解釈で紹介してみたいと思います。

なお、今回の紹介にあたっての参考情報は、自分がここ約10ヶ月毎日見てきた、ヘルスケア関連の新聞記事約1700記事となります。(この毎日記事を見るという作業は、語ると長くなるので今回は割愛します笑)

「この分野面白そう!」なんて思いつくだけで10個程度あるのですが(笑)、今回は最初ということで、皆さんが聞いたことがありそうな2つトピックを紹介させていただきます!

2021年ヘルスケア×デジタルトレンド①:治療アプリの市場形成が加速

世の中の治療手段(モダリティ)は、今までは大きく分けると2つでした。

・医薬品による治療:薬理学的なアプローチ

・医療機器による治療:解剖学的なアプローチ

この2つに加えて新しく出てきたのが、アプリによる治療:行動変容によるアプローチです。

この分野は、デジタル技術を用いた疾病予防、診断・治療を行う「デジタルセラピューティクス」(DTx)といわれます。

このDTxですが、米国で2010年にWellDoc社が開発した糖尿病向け自己管理アプリ「BlueStar」がFDAに承認されたことが始まりといわれております。

このDTx市場形成に向けた動きは、日本でも広がっております。

2020年は非常にたくさんの動きがありました。

では、なぜ2021年にこの市場形成が加速するかと考えると、2つの記事から考察できます。

①CureApp社の禁煙治療向け治療用アプリが保険適用

2020年11月11日、CureApp社が兼ねてより治験を行っていたニコチン依存症治療アプリの保険適用が認められました。

治療用アプリとしての保険適用は、本件が国内初です。

CureAppが治療用アプリにも保険適用がつくことを証明してくれたおかげで、DTx市場への注目度が一気に上がりました。

②規制改革推進会議ワーキンググループにて、プログラム医療機器の審査の迅速化が検討

現状、治療用アプリ含めた医療・ヘルスケア用ソフト承認の課題になっているのが、デジタルヘルスに特化した薬事承認の体制が整っていないことといわれております。

この体制整備に向けて、規制改革会議医療・介護ワーキンググループにて、承認の迅速化に向けた検討が始まっております。

2021年は、このDTx市場の盛り上がりに注目が集まります!

2021年ヘルスケア×デジタルトレンド②:AIを活用した創薬基盤の構築

医薬品の創薬段階には、候補化合物の探索というプロセスがありますが、この作業には多くの時間と労力がかかると言われております。

そこで、ここにAIを活用することで、探索プロセスが短時間かつ少ない労力済むと期待されております。

具体的には、AI×創薬が実現することで、以下のようなことができます。

・既存のある疾患に有効な治療薬から、別の疾患に有効な薬効を発見

・薬のターゲットになるたんぱく質の発見から、候補となる化合物の探索の短時間低コストでの最適化

この分野には非常に多くの製薬会社やIT企業が参入しており、2021年も盛り上がること間違いなしと考えております。

なお、AI創薬にて発見された化合物が治験の段階にもきている事例も出てきております。

大日本住友製薬と米Exscientiaが共同開発を通じてAIを活用し創薬された強迫性障害の治療候補薬「DSP-1181」のPhase1治験が、日本で実施されております。

上記ニュースのAI創薬は、従来だと4年半かかる探索研究を12ヶ月未満で完了させたと言われております。

ここまで創薬過程を劇的に変えていくAI技術ですが、創薬プロセスの効率化を図ることで、最終的には新薬開発の成功率が上がることも期待されております。

さいごに

今回は2つの分野のみの紹介でしたが、両方に共有して言えることがあります。

それは、どちらもデジタルを手段として活用していることです。

デジタルの導入は、現状の課題解決や足りていない部分を埋めるためのあくまで「手段」として使われます。

今後紹介予定の他分野でも、デジタル技術は手段として使われています。


次回のトレンド紹介もお楽しみに!!

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