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つれづれな草 ~梅干しのすっぱい思い出

祖母(母方)が亡くなって、もう5年近くになるでしょうか?

小さい頃は祖母と一緒に住んでいたので、必然食事も祖母にあわせたもので、野菜の煮つけや魚がメインなります。

子どもの好きなハンバーグやカレーって、あんまり食べた記憶がないんですよね。

カレーはカレーでも、魚のカレイの煮つけやイワシの煮つけ、イカと大根を一緒に煮たもの、金平ゴボウに卯の花、ひじき、ほうれん草のお浸し、なます大根……

いまからすれば、酒の良いツマミになって結構なごちそうですが、当時は(今日はハンバーグが良かったなぁ~)なんて思うことも多々ありました。

まあ、それもいまでは良い思い出です。

食事は、祖母と母が一緒に作ってました。

この祖母 ―― 結構何でも作る人でした。

おせち料理は当たり前です。

おせち料理といっても、そんなに豪華なものではありません。でも、祖母の黒豆は美味しかったですよ。

家でおせちを作るのが当たり前だったので、おせちを注文するっという話を聞くと、(えっ、何で? もったいない)と思うこともありました(いまでは、買うのが当たり前になってしまいましたが)。

お彼岸のおはぎや正月の鏡餅も自分の家で作りました。

まあ、昔の人からすれば、作るのが当たり前なんですがね。

祖母の作ったもので美味しかったのは多々あるのですが、なかでも『梅干し』と『梅酒』は別格でした。

確か6月ぐらいに梅を買ってくるかして、梅干しと梅酒を作ってました。

祖母の梅干しは、梅干しの入った小瓶を開けただけで、鼻の奥がつんとなり、少し齧っただけで全身がブルブルと震えてしまうほどすっぱかったです。

なので、市販の梅干には物足りないところがあります。

ちなみにシソ漬けでしたので、色は鮮やかな赤でした。そのシソも、また美味しかったです。

この季節は、夏バテで食傷気味なところに、お茶漬けと梅干で……ということもありました。

梅酒も、市販のものよりも琥珀色して、濃厚で、ドロリとしてました。これを水か氷で薄めて飲んでました(私が梅酒を飲むようになったのは20歳を過ぎてからです(笑))

ちなみに私は水や氷で薄めることなく、原液でチビチビと飲むのが好きでしたが……

その祖母も亡くなったので、あの梅干しを食べることも、梅酒を飲むこともできなくなりました。

あの味は、祖母との思い出の中だけ……ということでしょうか。

お盆で祖母のことを思い出したので、ちょっと書いてみました。

ちなみに、梅は春の季語ですが、梅干しと梅酒は夏の季語になります。

というわけで、梅干しと梅酒の俳句を一句ずつ……

   梅干や 口にふくんで 祖母にじむ

   思い出は グラスの向こう 梅酒色

お粗末でした。

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