妄(みだ)りに畏懼(いく)すること有り、知りて寝黙するを得ることなかれ (貞観政要 政体篇)
(意味)
むやみに私を恐れて、重要なことを知っていながら黙っているようなことはあってはならない。
自らの戒め
これは臣下に対して「べからず」と言っていますが、臣下がそのようなマインドに陥らぬよう、威圧しないように、と自らへの戒めをこめているのではないかと推察します。
得てして上下関係、特に人事権を持つ上司と部下の関係である場合、すでに部下は上司に暗黙的に威圧を与えているのです。上司が権限を持つこと自体は、韓非子のような法家思想においても必要なこととされていて、統治する上で必要なことです。
そうなんですが、それは役割上与えられている権限。それがあるが故に、反対意見やネガティブな報告を控える、という流れは断ち切らなければなりません。
上司が物事の判断を公正な基準で行うことを実践していても、部下によっては反対意見を避けるもとしたら、どうすればよいのでしょう。
ではどうする?
よっぽど気を遣って心理的安全を確保するべきです。そのためには、まず上司は部下に敬意をはらうこと、礼儀をわきまえることが第一だと私は考えます。
繰り返しますが上司と部下という関係はあくまで役割が異なるだけ。人格の優劣ではありません。それぞれ役割を誠実に果たしているだけなのです。へりくだるわけではなく、あくまでフラットに。そして敬意を持って接する。人格がどうあれ、仕事のプロとしてお互い認め合う姿勢で付き合うことです。
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