コスプレさせられた、カルロス・ゴーン
うーん、やっぱり何度見てもインパクトある画ですよね。
ここ数日はゴーンさん保釈祭りのマスコミ。保釈金10億円はどうやって払うのかとか保釈金を立て替えてくれる協会があるなんて話で盛り上がってましたね。僕もいざとなったらお世話になろう。
そしてこの瞬間ですよ。
最初コントかと思いましたよね。ゴーンを探せ!的な。あまりにも話題になり過ぎて発案者の弁護士さんが謝罪してましたけど。
一般的な感情とすると、ワイドショーで元地検特捜部の若狭勝さんが言っていた
「無罪を主張するなら正々堂々と出てくればいいのに、いきなり変装では監視付きの生活も誤魔化して何かするんじゃないかと考えてしまう」
という感想に集約されてると思います。若狭さんはコメンテーターとしてはいい仕事しますよね。コメンテーターとしては。
スタイリスト的な観点から見ると、やはり弁護士さんは言説でのイメージ戦略以外には興味がないのかな、と思ってしまいましたね。
だって、考えてもみてください。
例えばトランプ大統領やAmazonのジェフベゾスが逮捕されたとします。いや全くないとも言えない人選だぞというのはさておき、いざ保釈となった時に「作業員の格好で出ましょう」と言われて「グッドアイデア!」ってなりますかね?
そもそも「俺を誰だと思ってるんだ!」と一蹴するでしょうが、万が一作業員の格好で出てこようものなら、おもしろコラとか風刺漫画のネタにされまくるのは火を見るよりも明らかです。それをクライアント自身が喜ぶでしょうか?
きっとゴーンさんも「何で?」とは思ったでしょうが、ここは日本だし保釈に導いてくれた弁護団の言うことだからとりあえず聞いとこうという配慮だったんだろうと思います。でも結果、イメージアップにはならなかった。
今回の事件の真相は分かりませんが、カルロスゴーンといえば経営者としては辣腕でフランス政府とも太い繋がりを持つ権力者でもあり、キャリアを築き上げてきた人物です。そして本人は無罪を主張して諦めていない。
そんな彼の人生でも最大級とも言える世界中の視線に晒される瞬間の格好が「作業員」で良かったのでしょうか?
庶民派なイメージや”やつれた”感じをを演出したかったのならグレーのスーツでノーネクタイでよかったし、毅然とした感じで行くならネイビーのスーツにブルーのネクタイでよかったと思う。いくらでも選択肢はあったのです。
結果として無罪を勝ち取れればいいんでしょう。もちろんそれが弁護士の仕事です。でも世論もまた大事だと思うのですよ。そしてその人の功績や格に相応しい格好というものがある。それまでの人生を投影していない格好をした途端、イメージが切り替わってしまう。
僕も含め、大多数の日本人がそんなにゴーンさんに詳しくて親しみがあるとも思えません。日産を立て直したこととベルサイユ宮殿で結婚式をしたことが印象に強いくらいでしょう。いかにも汚職してました風な報道をすれば「そうだったのか!」となってしまう程度の距離感。だから、さらにイメージが大事だと思う。
元サッカー日本代表監督の岡田さんも、以前はリラックスできるからとジャージで指揮を採っていたのですが、そのせいもあって今ひとつ威厳がなかった。そこで周囲が「箔が付かないからスーツにしてほしい」と懇願して渋々スーツで試合に臨むようになったそうです。実は岡田さん、身長もあってスタイルもいいので実際スーツを着てみたら格好いいしメガネが知的なアクセントになった。するとイメージが反転して「知将」としてのキャラが確立。南アフリカ大会での成功もあって、今では解説者としてだけでなく各種番組、イベントの大物ゲストとしてもお馴染みですよね。
ちょっとイメージが変わるだけで扱いがガラッと変わってしまう。いい加減なもんなんです、世の中は。でもいい加減だからこそ、誰でも変えるチャンスはあるし大事にしないといけない。
ファッションで奇をてらうのはNGです。
真意が伝わらなかったり邪推されてネタとして消費されてしまうから。その人の個性や意思、姿勢が伝わるものでなくては。それを改めて感じた出来事でした。
余談ですが、変装して追跡から逃れさせたかったとか言ってますけど「完全にバレバレやん」というのは全国民が思ったことでしょう。それよりモノマネの神無月さんとか替え玉にした方がよかったんじゃないか。いい仕事してくれそうな気がします。
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