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試着の時間は冷静な判断を下せない

洋服が好きで、お店に行ったりネットでよく買っている。だが試着の時間が苦手で、ここ最近お店を訪れる回数が減っている。

自分の試着と、人の試着に付き合うパターンと両方ともあるけれど、まず1人で洋服屋に入るのが少し気合いがいる。服好きなのに。。

高校生の頃、部活動に明け暮れていた僕は、引退してすぐに緊張しながらも少し背伸びして服を試着したとき、セレクトショップの店員さんに「んー、無しじゃないっすねー。」と言われて以来、試着恐怖症が治らない。一向に。

ただ、お店には試着室という個室の聖域が。ここはショップの中で唯一の安全地帯であり、即席のマイルームでもある。本当の理想は、自宅に1度服を持ち帰って、部屋の鏡でコーディネートを何パターンか試して、友だち数人に見てもらうことだけど、試着室の中は自分のイマジネーション次第で、それに近い環境に持っていくことができる。

ただ、個室が狭くて鏡までの距離が近すぎたり、ズボンを穿いたものの合わせるスニーカーが外にあるとき、扉を開けて何が起きるかわからない大海原に飛び出さなければいけない。そして、ひとたび外に出ればものすごい勢いで店員さんが寄ってくる。その瞬間、鏡をじっくり見ている自分を、じっくり見る店員さんという構図になり、視線に耐えられず本当に判断したい時間の10分の1くらいの時間で鏡チェックを切り上げたりする。
あとは鏡に全身が映らず、後ろに下がっていたら、いつの間にか別のカップルが僕と鏡の前に割り込んできて、180センチある僕の存在に気付かず、盛り上がってしまう''鏡泥棒''という事故も起きたりする。


もうひとつは、友人や彼女の試着があまりにも長すぎて少し憂鬱。待つことには慣れてるほうだけど、それでもどーしても長いときがある。早く買い物を終わらそうとして、全てに「いいね!」サインを出していると、すぐに見破られ、「そういうとこあるよね。」とまぁまぁな喧嘩に発展してしかねない。

さらに友人や彼女が試着室に入っている時間、担当してくれている店員さんと待機する数分がキツかったりする。お互い興味が無いのに、試着待ちの同士として、コロナワクチンは2回目より3回目のほうがヤバいらしいとか、宮迫は地上波に戻ってくるのか、とか当たり障りのないトークをしたりもしないといけない。仮にちょっと盛り上がったとしても、着替えを終えた彼女が登場した瞬間に店員さんの頭から僕という存在は消え去り、それはそれで、なんだか切ない。

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