見出し画像

詩小説『引越物語』㉒お願いされたから

凪は声をあげて泣いていた。


三日かけて書き上げた敬愛する作家の全集後記。


とても良いねと担当編集者から返信を無事にもらい、昨晩は久しぶりに五時間ぐっすり眠った。


今朝メールをチェックしたら、同じ編集部から再度の依頼が来ていた。


もう一度、練習にどうですか

練習…。仕事ではなかったのか。
凪は震える手で返信した。


大きな仕事につながると思う
任せて

平行線のままだ。これは断るしかない。
叩きつけるようにして送信する。


そんなこと言って大丈夫なのw



涙は出ても出てもなくならないものだと知った。

足元を見てみれば、土砂降りの雨のせいで水たまりができている。


凪は、その水たまりが深いものだと知らなかった。




#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門


次のお話ですU^ェ^U


一話から最終話までおさめたマガジンです。



前回のお話はこちらです👫

サポートありがとうございます。詩歌、物語を生み出す素に使わせていただきます。