【note限定】全社員に共通の情報と理解を。「風通しのよい職場」を築く秘訣は?
株式会社CyberOwl(以下、サイバーアウル)では、「風通しのよい職場」を重要なポイントとして働く環境の整備に努めています。それは”社内コミュニケーションが多い”“上下関係が厳しくない”“意見が言いやすい”…といった単なる“居心地のよさ”ではありません。
社員が役員と直接対話する機会、目標や戦略を提案してフィードバックを得る機会などを多く設けることによって、役員から社員までが共通の情報を持ち、同じ方向を向きながら意見を言い合い邁進できている状態こそが「風通しのよい職場」と考えています。
そんな職場の実現を目指した理由やそのために実践していることについて、代表取締役社長・田中啓太が自身の経験談を交えながら話します。
仕事において大切なのは年齢ではなく“その人自身”
――サイバーアウルにおける“風通しのよさ”とはなんでしょうか?
役員と社員が同じ方向を向いており、それに向かって互いに率直な意見を言い合い、またサポートし合える環境、それがサイバーアウルが目指す「風通しのよい職場」です。
そのために大切なのは「相互理解」。その人が得意なもの、不得意なものを社員同士がちゃんと理解し合えているかどうかが重要なポイントだと僕は思っています。
――その考えに至ったきっかけを教えてください。
僕が子会社の社長に抜擢された時は、サイバーエージェントに入社してわずか7ヶ月。いわゆる社会人経験というものがほぼなかったので、自分自身への理解も他人への理解も足りていませんでした。
例えば、年齢が上の社員に対して“年齢が下の僕がやってる仕事は、年齢が上の人はできて当たり前”と勝手な解釈をもって接してしまい、社員といい関係を築くことができていなかった時期がありました。
でも、年齢に関係なく自分が得意なことと人が得意なことって違いますよね。蓄積してきた経験も違いますから。それに気づいて、社員の年齢や年次に関係なく、自分が得意なことは自分がやるけれど、相手が得意なことは相手に任せるようにしたら、仕事の歯車がかみ合ってきた感覚がありました。
そのような僕の経験を踏まえて、サイバーアウルでは相手の得意な分野や仕事についての考え方を知る「相互理解」の場を多く設定しています。
――例えばどのような場がありますか?
1つが「ギルド」という施策ですね。ギルドは、役員メンバーや所属部署の垣根を越えて「斜めの関係性」を作ることを目的にしています。真島(取締役・真島典哉)の発案で作られた施策で、役員メンバーと異なる部署の社員たちでチームを組み、経営課題や社内活性化のための施策などについて、課題の解決案を考えます。
これまでも真島とは事あるごとにそのような場を設けてきたのですが、ギルドのように施策化したことで、定期的に年齢、社歴、部署などを超えた社員同士が交流でき、またさまざまなジャンルの議題を設けているため、それぞれの得意分野や仕事への考え方をより深く理解し合えるようになったのではないでしょうか。
――サイバーアウルでは“年功序列”という言葉をどのように考えていますか?
そもそも僕が社長になった時点で最年少だったので、社内には初めからそういうものはまったくありません。それに、自分より年上だからとか年下だからとか僕自身もまったく意識していません。大切なのは年齢ではなく、「その役割をまっとうできるか」どうかなので。
とは言え、やはり若手社員が先輩社員に「言いにくい」っていうのはもちろんあると思います。「言いたいことを言えない」みたいなことは、0にはできないですよね。特に若いマネージャーや管理職の社員は年上の社員に遠慮している様子が垣間見れる時もあります。
――では、若手社員はどうしたらよいでしょうか?
年上の社員に遠慮してしまう気持ちは僕もわかります。ただ経験上、遠慮して言ったことや遠慮して言われたことは、やっぱりお互いに齟齬が生まれてしまうので、どこかで歯車はうまくかみ合わなくなる。だからと言って「まったく遠慮するな」と言っているわけではありません。
遠慮するしないではなく、どんな時でも大切にしなければならないのは、お互いに尊敬しているポイントを忘れないこと。特に若いと役割をまっとうしようと結果優先になりすぎて、相手への尊敬の念を忘れてしまいがちになります。
でも、相手の尊敬ポイントさえしっかり押さえておけば、仕事において年齢は関係ない、その意味が必ず掴めると思います。
「根拠のない否定はしない」通せない提案こそ慎重にアドバイス
――反対に経営陣や先輩社員が若手社員に対して意識して接していることはありますか?
「根拠のない否定はしない」これは必ず意識していますし、マネージャーや管理職となる人にもそれを必ず話しています。
人が意見を言えなくなる時って「どうせダメって言われてしまうから…」というのがあると思うんです。だから、社員が出した案を通せない時こそ、「なぜ否定しなければならないのか」それを考えてから言わないといけないんです。
その日の気分で「その案はちょっと難しいんじゃない?」とか「それはできないかな…」みたいな否定は絶対しないようにしていますね。それはただ相手の自信を奪っているだけにすぎません。
数字や過去の例などを見たうえで、「こういうリスクがあるけれど、そこはどういうふうに考えてる?」って聞いてみるなど、自分の考えやさらによいアイデアを生みだせるきっかけを与えられるようなフィードバックを必ず出しています。
――他にも、若手社員を育てるうえで意識していることはありますか?
また「任せる」ことも意識しています。それは「丸投げする」とはもちろん違います。
若手社員から出てきたアイデアに対して、僕たちなりの目線を伝え、そのうえで再度できるかどうか尋ねます。
そう尋ねるとみんな「できます」って大抵言ってくれるんですが、「できないだろうな…」と思う場合でも否定はせず、こちらで不安点を探して並走しながら任せるようにしています。
――それらを通して社員たちの変化を感じましたか?
ポジティブに働いてくれている社員が多いなと、感じています。もちろん個々に悩みとかはあると思うのですが、全体を通して目指す方向性が違っていると感じるなど、違和感のようなものはなくなりましたね。
組織ってダメな時は負の連鎖みたいなものが起こりやすいのですが、今はそれがなくなった感触はあります。
――この状態こそが「風通しのよい職場」なんですね。
もちろんどこまでいってもなかなか意見を出しづらいっていうのはあると思うんですが、できるだけ“意見を言いやすい環境を作る”というのは、経営を含めて常に考えていかなければならないと思っています。
ただ、勘違いしてほしくないのは「言いやすい環境=全部の意見が通る」というわけではないということ。意見は言いやすいけれど、その意見に対してフィードバックがなされることで発言の質も上がっていく。「風通しのよい職場」を通してそんなよい循環を生みだせるように常に努めています。