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日本国憲法と税:大人も読みたい!中学生からの租税教育④

 今回は、シリーズ『大人も読みたい!中学生からの租税教育』第4弾。社会科の授業でも出てきます日本国憲法の解説をしていきます。しかも税の視点で。ウクライナ情勢等で憲法改正の気運が高まっているように思われますが、今一度、税に関する部分を抑えたうえで、見直し検討の議論が出来れば良いですよね。
 ちなみに表紙は金閣寺。日本国憲法ということで、日本を代表する風景を表紙に出来ればと考え、チョイスしました。学生時代に金閣寺の近くで下宿していたので、個人的に思い入れが強いこともあります。

 振り返りですが、①から③で”国税四法”の概要を”ざっくり”見てきました。シリーズ『大人も読みたい!中学生からの租税教育』は①から始まり、前回③で基本部分はいったん終了になります。今回④からは中学生の社会科のテキストなどで出てくる個別論点を説明していく形で予定しています。”税を切り口に社会が分かる”ことを目的に、説明の続けてまいります。

前回③で”基本コース”は完了しました。

 想定読者は2種類。社会科を得意にしたい中学生(および親御さん)学び直ししたい社会人の方を想定しています。イラストを多用していますので、実務で税金に詳しい方も、気楽な気持ちでご覧頂ければ嬉しいです。

想定読者は、①中学生(および親御さん)と②社会人の方。

 よく税金は難しいと言われていますが、その理由は、1つの税目でもかなりのボリュームがあり、しかも日本では50種類の税金があるのでまとめて攻略しようにも無理があるからです。

50種類もある税金をまとめて攻略するにも無理がある・・・。

 50種類の税金の中で、ポイント(基本)となるのが、”国税四法”と呼ばれる4つの税目です。①~③の基本コースで攻略してきたという訳です。

 今回のテーマは日本国憲法。”国税四法”と呼ばれる4つの税目の上位に来る法律です。下図を見てみると、おやおや・・・最高法規である日本国憲法を差し置いて、先に”国税四法”が解説されたことに、憲法は不満を持っているようですね。
 ちなみに法律の世界では、①憲法、②通則法、③法、④施行令、⑤施行規則と階段状になっているんですね。この辺は次回、詳しく見て行きます。

今回は”法律の世界”の①憲法を見て行きましょう。

 憲法では税に関して、『租税法律主義』という考え方を定めています。租税法律主義の根拠条文は30条84条。条文を見てみましょう。

30条:国民は法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
84条:新たに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

租税法律主義が、近代の税の基本ルールです。

 『租税法律主義』30条と84条を見たので、ハイ、税に関する憲法の解説は終了!?・・・という訳ではありません。憲法の考えを理解する必要があるからです。よろしければ、社会の教科書にも立ち返ってくださいね。

憲法が税のルールの”おおもと”になります。

 上図で改めて憲法の考えを紹介しましたが、如何でしょうか?一部のマスコミでは、安全保障部分を中心に「憲法改正だ~」と叫んでいますが、大切に残さなければいけない部分も多くあるような気もしますよね。
 そこで日本国憲法のうち、税金に関係しそうな条文を落とし込んでみました。これら条文は、税について決める時にも遵守しなければいけない考えなんですね。各税法の規定では計算テクニック等、複雑な規定が沢山あります。でもおおもとの考えは、日本国憲法に帰結するということです。

税金について決める時にも憲法を順守します。

13条:すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
14条:すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
25条:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
29条財産権は、これを侵してはならない。

 以上、如何だったでしょうか?シリーズ『大人も読みたい!中学生からの租税教育』①~③で説明してきました、複雑怪奇な税法上の規定。おおもとは憲法の考えに則り、税のルールが決められるということですね。

 次回予告ですが、今回、日本国憲法の説明が終わったので、税法の体系について見て行きましょう。

次回は税法の体系について見て行きます。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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