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【歴史】「ゼロからナポレオンを考察」第二回

#ヴァンデミエールの反乱 #テルミドール9日のクーデター #ナポレオン  


シリーズ二回目の今回は、クーデターにより左遷させられたものの、暴動が発生したため軍隊に復帰。驚きの発想で見事暴徒の鎮圧に成功したナポレオンの偉業を紹介する。


「ルミドール9日のクーデター」概要

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1974年7月、「テルミドール9日のクーデター」により、恐怖政治を敷いていた独裁者、マクシミリアン・ロベスピエールが処刑され、ロベスピエール派は一掃された。

当時ナポレオンは、イタリア方面軍の砲兵司令官となっていたが、ロベスピエールの弟、オーギュスタンとつながりがあったこと、イタリア戦線での方針対立などにより、逮捕、収監されることになった。

短期拘留であったものの軍務から外され降格処分となり、その後も公安委員と対立したために、ついには予備役とされてしまった。

予備役とは、一般社会で生活を過ごし、有事の際や訓練の時には軍隊に戻る役種の一つである。(Wikipediaより)


「ヴァンデミエールの反乱」概要

1795年、フランス、パリにおいて王党派の蜂起「ヴァンデミエールの反乱」が発生する。

国民公会軍司令官となったポール・バラスは、予備役まで降格していたナポレオンを副官として登用した。そして、実際の鎮圧作戦をナポレオンにほぼ一任したのだった。


「ヴァンデミエールの反乱」の背景

「テルミドール9日のクーデター」により、恐怖政治のロベスピエールは処刑され、主導権はテルミドール派に移ったものの、フランス経済は悪化し、民衆は困窮していった。さらに、風紀の乱れにより、テルミドール派の人気は最悪なものとなってしまった。

人気回復の対応策として、国民公会の選挙に確実に自派の議席を確保できる「三分の二法」と呼ばれる法案を提出、可決し成立させた。

「三分の二法」とは、選出される750議席の内500議席、つまりを全議席の2/3を、旧国民公会議員の中から選ばなければならない、という法律である。

当然、不利となる王党派は大激怒。「三分の二法」に不満を持つ王党派を中心にした民衆の暴動が発生し、テュイルリー宮殿にある国民公会を襲撃した。


ヴァンデミエール将軍

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国民公会軍司令官に一任された、副官ナポレオン・ボナパルトは、常識外れの大胆な戦法を実行する。

『ぶどう弾』を、暴徒鎮圧のために使用したのだ。

ぶどう弾は、本来、帆走軍艦の索具破壊と人員殺傷を目的とした、海軍用の近接射撃兵器であって、陸軍が使うことはない。

通常、陸軍砲兵が使用する対人用砲弾は、『キャニスター弾』だ。ぶどう弾同様、射程距離が短い近接射撃兵器だが、散弾の数は段違いである。


ぶどう弾とキャニスター弾の特徴

ぶどう弾:
⇒ 小弾が詰まっている様がブドウに似ていることが名称の由来
⇒ 対艦用砲弾。帆走軍艦の索具類破壊と人員殺傷が目的
⇒ 海軍が使用
⇒ 帆布製の袋へ子弾を9発詰め込む
 (発射と同時に子弾はバラける)
⇒ 前装滑腔砲(前装式大砲)を使用
 (砲弾を筒前から入れる、ライフリングのない大砲)
⇒ 帆布袋にボルトや鉄くずなどを詰め込んだ改良型がある
 (フランス海軍が愛用、ラングリッジと呼ばれる)
⇒ 炸薬を含んだ榴弾や榴散弾の開発により衰退

キャニスター弾:
⇒ キャニスターとは容器のことである
⇒ 筒状の容器内へ大量の散弾を詰め込む
⇒ 発射後に容器が飛散、散弾が広範囲の敵を殺傷
⇒ ぶどう弾とおなじく有効射程距離は極端に短い
⇒ 陸軍が使用
⇒ 対歩兵近接戦闘や敵突撃騎兵の排除が目的
⇒ ライフリング砲や後装砲にも対応
⇒ 榴散弾の零距離射撃が可能になった事により衰退
⇒ 第二次大戦ではM3 37mm砲で歩兵突撃阻止に使用

ナポレオンの指揮する砲兵は、『ぶどう弾』を首都パリの市街地、サントノレ通りのサン=ロック教会界隈へ向けて撃ち放った。王党派をあっさり抵抗を止め、暴動はすぐに収まった。

国民公会は、暴動鎮圧の功績により、ナポレオンを国内軍の総司令官に任命して、反徒に対しては寛大な処置を取った。

暴動で流血した革命広場は、融和を意味する「コンコルド広場」と名前を変えることになった。以後、パリは軍の制圧下に置かれた。

ナポレオンは、中将相当の師団陸将に昇進。国内軍副司令官、ついで国内軍司令官の役職を手に入れ、「ヴァンデミエールの将軍」と異名を取った。ナポレオン・ボナパルト、26歳の出来事である。

ヴァンデミエールとは革命暦の葡萄月(9月22日〜10月21日)のことである。


あとがき

一つ疑問が残る。ナポレオンは、葡萄月だったから、キャニスター弾ではなく、あえてぶどう弾を使用したのだろうか。

単純に、大虐殺を避けるため、小弾が少ないぶどう弾を選んだのだろうが、葡萄月だからぶどう弾、と彼は閃いたのかもしれない。

「ヴァンデミエールの将軍」という異名だとカッコいいが、実際は、ナポレオンのことを「ぶどう弾将軍」と民衆や兵士たちは呼んでいたかもしれない。

まぁ、真相を知った所で面白くなるわけではないので、疑問のままにしておこう。


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