【受賞作発表】第1回ひらづみ短編小説コンテスト ~お題「二刀流」~
【優秀賞】ショジ状につき転校生の諸都は書字障害かもしれない。
教員免許を取得してから初めて小学三年生の担任を任された蒲田がそう思ったのは、初めて提出された漢字ドリルの宿題ではなく、お手本を見て書く書写の授業中だった。小学三年生の字であるから、どの生徒もまだバランスの悪い太い真四角な字であって当たり前の年だ。それでも諸都だけが特別、書字障害だと思ったのは、蒲田なりの理由があった。
諸都の初の宿題を見た時はむしろ、綺麗だとすら思った。その漢字ドリルはなぞり書きをして覚える体裁