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教育の力③現状を打破するには?

これまでの「教育の力」について

教育の力①どの方法が唯一無二かという、二項対立から卒業して、「自由の相互承認」(お互いの自由を大切にし合う)の感度を高めよう!
教育の力②時代に応じた「学力」を捉えよう、それに合う方法を探そう!

というような内容が示されていました。

各方面の批判から考える現状

これまで主に公教育に対して、次のような批判がなされていました。

・学力テストのスコアが下がっている、学校が社会的な格差(親の収入格差と学力格差に相関がある)を助長する

学校が社会的格差を助長することについては、1970年代に出版された「脱学校の社会」(イヴァン・イリッチ著)でも触れられていました。

学力テストのスコアが下がっていることに関しては、

①学力とは一義的なものの見方では測定ができないものであるにも関わらず、「できた/できていない」点数で測定できる観点のみ捉えている点。

②点数という、短期集中的にトレーニングすればある程度カバーできそうなものを基準にするため、教育の成果を短期的な見方をしている点

学力格差が開いていることから、現在の公教育の場でも(いわゆる測定可能な学力が)高位の子もいるが、下位の子も増えた結果として、平均的な学力が下がっていると、苫野氏は述べています。

これらのことからも、現代までの教育が、それぞれ個々の家庭や子どもという個別の責任に、孤立的に求められているということが言えそうです。

社会的な責任を負う公教育として

制度面の今後の方向性として

・学校の過度な「一斉」が、かえって子どもの「孤立化」を進めている  →孤立から「ゆるやかな協同」のある学びの場を作る(苫野氏)

個々人の取り組みとして

・子どもの育ちを一面的な学力観で捉えるのではなく、子ども全体を長期的な視点で捉える                           →「子どもとはどのような存在か」「子どもをどのように捉えるか」について、これまでの先人の知見に学ぶことで、自分の子どもに対する見方(子ども観)、教育のあり方に関する考え方(教育観)を深める

教育の方向性=哲学+先人の知恵+??

苫野氏は、教育のあり方について、哲学的な側面から常に示してくれています。私は、教員として働いていた経験や、先人の実践記録を読むのが好きだったこともあり「先人の知恵」の深さも体験してきました。

あと1つの側面は、「科学的なアプローチ」だと考えています。

今回の学習指導要領改定には、最初は教科部会が存在しなかったそうです。それは、学習の大枠・方向性をこれまでの学習科学的な知見から整理したかったからだと言えます。

実際に今回の改訂には、多くの学習心理学や発達心理学などの専門家も多く関わっています。

近年は、インストラクショナルデザインなど、科学的根拠に基づいた学習方法なども提案されています。このような知見についても、活用していきたいものですね。

まとめになるかな…

これまで述べてきたように、時代に即して公教育に求められること、教育のあり方が変わっていることは明らかでした。昨日使えた実践的な知識が明日使えなくなっていた、ということもありうるでしょう。

教育に関わる人間として、いろいろな情報を目にし、これからの教育の方向性(内容だけでなく、哲学的にも検討して)に活かせることを学び続ける姿勢が求められていることは、言うまでもありません。



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