見出し画像

子どもが増えない理由???

日本の子供の数が減っている事について、またまたこの時期になると悲観的なニュースが広がる。2023年も―5%の75万人、8年連続の減少。合計特殊出生率も1.21と最低、東京では0.99と大騒ぎ、”危機的”だというコメントが飛び交う。そして、この話になると、いつもの論説がここ20年以上繰り返される。子育て支援や働き方改革、婚姻数や婚活の話、妊活、住宅価格の話などなど。そして、「出生数の減少には、非常に複合的要因があり、先進国共通の課題であり、すぐに解決できるものではない」というような「まとめ」で終わってしまう。そして、どの番組でも街頭インタビューで、「やはり子育てはお金もかかるし、大変で・・・」みたいな話で終わり。ちょっと待ってほしい。街を見ると、楽しそうな家族やカップルというのは山のようにいるのに。

そんな中、ちょうどアメリカの知人が紹介してくれたあるビデオが気になった。Ken Burnsという映画監督・歴史家、結構有名な人らしい。彼がある大学の卒業式で行ったスピーチが秀逸と評判になったらしい。知人が紹介したのは、そのスピーチの中での、アメリカの現状への危機感とトランプへの痛烈な批判だったのだけど、面白かったのが、彼の卒業生へのアドバイスの一つ。

Ken Burns

「いつか、子供を作るといいよ。それはあなたの人生の中で本当にすごい事の一つになるから。それは、自分以外の人間について心配する、本当に心配するという、目を見張る、わくわくすることなんだ、これは本当のことだから信じて、そしてご両親にも聞いてみて」

こんなことを、若い人にうまく言って、背中を押してくれる大人が日本にいるだろうか? 

内閣府の調査では80%近い人がいつかは結婚したいと考え、また別の調査によれば、結婚した夫婦の70%は子供が欲しいという。
結婚や子育て支援を充実させるのは大事なのだろう、でもそれだけで結婚しよう、子供を作ろうなんてことになるだろうか。逆に、本当に子どもも持てないほど、皆「貧困」なんだろうか。因みに、今の日本の育休サポートは世界的にもかなり良いレベルらしい。また、中国や韓国のように子育てにお金がかかる超競争社会でもない。
どんなにロジック・左脳的に考えて対策を講じても、駄目なことがある。それは人の心理だ。大変だけどやっぱり子供っていいよ、という後押しや勇気づけのムードが、もっともっと世の中にあるといい。子どもが沢山いる社会は、活気があるし楽しい、たとえ自分の子でなくても。

子育ては楽しいなんて、政治家から言われるとドン引きだろう。また彼らだって、下手なことを言うといろいろな所から非難の嵐となる(「産めよ殖やせよ」!)。メディアも「人口減少」という悪い(=美味しい)話に飛びつきがち。職場でも「子持ち様」論争もあり、微妙。普通の人も、つい子供の話は気を使って、遠慮してしまいがち。皆、気を使い過ぎなのかもしれない。多様な生き方はいいとしても、素直に子どもという人生の素晴らしさを語ってもいい、たとえそれが「不適切」とされても。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?