水月

人の悟りを得る、水に月の宿るがごとし

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水と月について語る

地球に月があるのは、偶然なのか? 月は、半径が地球の1/4ほどもある、巨大な衛星だ。 こんなに自分に近い大きさの衛星をもつ惑星は、他にない。 太陽系最大の衛星ガニメデは、月よりずっと大きく地球に近い大きさだが、木星と比べると1/10以下でしかない。 なぜ、地球にだけ、こんなに巨大な衛星があるのか。 私は、海沿いの街が好きだ。いま住んでいるところも、窓から海が見える。 海岸を散歩して、遠い対岸の光に無心に吸い込まれるのが好きだ。 潮が波打ち際で呟く独り言に耳を澄ますのが好き

    • ピンハネ率は、なぜ50%になるのか

      会社員として仕事をするようになって、かなり衝撃的だったことのひとつは、これだった。 コンピュータ業界で開発会社に仕事を頼むと、エンジニア一人あたり、ざっと月80万円、年間1000万円くらいかかる。 しかし、開発会社がエンジニアに支払う給料、エンジニアの平均年収は、およそその半分、500万円くらいだ。 つまり、会社にとられるマージンは50%である。 マージン、とられすぎ。 この50%が、そのまま会社の純利益になるわけではない。 会社を運営するには、管理部などの間接人員も必

      • 心が動く、とはどういうことか

        人はなぜ、人と話をしたいと思うのか。 学校にいれば同級生に会えるのが当たり前だった学生時代、私は人と話すことについて深く考えたことがなかった。 社会に出て、毎日を孤独に過ごすようになってから、仲の良い友人がいるということ、そんな友人に、ごくたまにでも会えるということがいかに貴重なことか、身に沁みて実感するようになった。 話は、癒しなのだ。 数年に一度しか会えない人なら、会ったとき何を話したいのか、何日もかけて考えておく。 その貴重な数時間で、会話以外のことに時間を使おうな

        • 会社を倒産させた話

          私は、日本語が下手だ。 滔々と淀みなく話ができる人をみると、すごいな!と感嘆する。 私は、自分に自信がない。 だから、相手が基本的に自分の話に興味ないだろうと思っている。 興味をもってくれている人からしたら、失礼な話だ。 疑ってるわけではないんですけど。いや疑ってるか。すみません。 それでついつい、相手が興味を持ちそうな面白い話だけしようとしてしまう。 面白そうな話が思いつかないと、黙りがちになる。 自覚してます。改善には少々お時間ください。 こういう人は、営業活動に向い

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        水と月について語る

          koto(言・事)とkata(形)

          人間は、言葉を使わずに、ものを考えることができるのか? ものを考えるには、頭で考える方法と、心で考える方法がある。 心で考えるときは、言葉は介さない。 ただじっと、関連することを思い浮かべる。すると、自分が何をすべきなのか、感情という形で答えが示される。 しかし、言葉を使わずに、考えたことを他者に伝えることはできない。 そして、頭の中にあることのほとんどは、自分で1から考え出したものではなく、言葉を通して学んできたものだ。 自分で考えるといっても、その基礎となる概念は、言

          koto(言・事)とkata(形)

          悪魔の投資定理

          定理「勝ち負け50%の投資でも、繰り返すと、期待値(結果の平均値)は ±0(増減なし) でなく、-100%(所持金をすべて失う)に近づく」 そんなバカな。 ああ、手数料のことね、と思うかもしれない。 いや、手数料0でもそうなる。 勝ったときの利益と、負けたときの損失が違うのかな?と思うかもしれない。 いや、利益と損失は同じとする。 10万円賭けるなら、勝てば10万円増え、負ければ10万円失う。 は? 意味がわからない。勝つ確率も50%、負ける確率も50%でしょ? 当然

          悪魔の投資定理

          或るウクライナ在住ロシア人の思い出

           わが記憶のいたらざるを  わが洞察のいたらざるを  赦されんことを 人間の生き方には、2種類ある。 歴史の中で生きる生き方と、歴史の外で生きる生き方だ。 人間社会の中で、仕事を通してなにかしら社会貢献をして生きがいを感じる。歯車であれ、現代社会の一端を担って、そこに責任や楽しみを見出して生きていく。「現在」を生きることで、歴史の一部となる。 それが歴史の中で生きる生き方だ。社会的人生、といってもいい。 そこで何ができるかは、現代社会がどのようなものであるかに依存する。

          或るウクライナ在住ロシア人の思い出

          手に入れることよりも、むしろ失うことが、喜びをもたらす

          私は、知らないところを歩くのが好きだ。旅行でもいいが、やはり住んでみたい。 いままで、20回以上引越しをした。 アジア、アフリカ、南米には住んでいたことがある。そのうち、ヨーロッパにも滞在してみたい。 けれども最初は、大阪から始まった。 10年ほど前のことだ。長らく住んでいた東京を離れ、大阪に移住した。 私はコンピュータ業界で仕事をしていて、いつからか夢ができた。 仕事をすべてオンラインで受けられるようにすること。 そして地球上のどこか別の場所に住んでみること。 そんな自

          手に入れることよりも、むしろ失うことが、喜びをもたらす

          「何を」するかは自由ではないが、「いかに」するかは完全に自由だ

          幸福という私利私欲を満たすこと、それが、人生で目指すべきことなのか。 学生の進路相談に乗るとき、心苦しいときがある。 どんな業界があるか、どんな会社に入ると苦労するか、日本への留学のメリットは何か、そんなことを話すことはできる。 楽をして生きたいとか、お金を稼ぎたいとか、目標の決まっている学生にとっては、それで十分だ。 でも、それだけでは足りないことがある。 そもそも、人生で何をするべきなのか。 安定した給料のいい仕事をして、できるだけ苦労のない生活をして、いい人に出会っ

          「何を」するかは自由ではないが、「いかに」するかは完全に自由だ

          自分が自分でしかなく他の誰かには一生なれないこと

          人が人に魅かれるときとは、どんなときなのか。 中国で、日本語教師をしていたことがある。 赴任してみると、予想もしていなかった問題が次々に起きて、悪戦苦闘の毎日だった。 最初の頃、壁にぶちあたるたびに、中国に来たことを後悔した。 そんな最初の二週間が過ぎて、大学2年の学生たちが歓迎会を開いてくれた。 日本語を学ぶ学生たちにとって、教師は唯一の直接話せるネイティブスピーカーだ。 できるだけ多くの学生に会話の機会を与えたくて、席を何度か移動した。 その席で、隣に座った女子学生

          自分が自分でしかなく他の誰かには一生なれないこと

          この世が生きるに値するか、という問い

          『真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ』 大学生のとき、仲の良かった女の子がいた。以下Tとする。 Tは真面目な学生だった。授業では一番前に座っている私の隣に座っていた。 卒業旅行で行った温泉旅館の宴会場で、私たちの隣に座ってくれたN教授が、 「君たちは、いつもくっついている」 と言ったのを覚えている。N教授は「君たちは、つきあっているのか」と聞きたかったようだった。 Tが、ハッとした表情で口をつぐんだ。 言い淀んだ空気を察して、N教授は 「いつも一番前

          この世が生きるに値するか、という問い