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「風呂酒日和」第三話 お風呂編:十條湯 #創作大賞漫画原作部門

【風呂酒日和(フロサケびより)とは】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


賑わう十条銀座商店街を歩き、脇道に入る。

銭湯の暖簾と青い軒先のテント看板。
そこには「十條湯」と「喫茶深海」の文字が。銭湯と喫茶店の併設、新しい。なんだかちょっとおどろおどろしいと思ったら、季節柄今はハロウィン仕様とのこと。なるほどどおりで。


扉を開けると喫茶店の一角に銭湯の受付が。
喫茶店はアンティークっぽい雰囲気のある内装で、たまたまハロウィンだったため雰囲気たっぷりで暗めになっていたが、椅子などを見ると純喫茶という感じだ。
コーヒーでも一杯...と腰掛けたくなりつつも、ひとまずお風呂へ。サウナもあったけど今日はサウナなしで入場。

脱衣室も向こう側に見える浴室も盛況している。
仲良さそうに話すお客さんたち。地域の人がいつも利用している雰囲気がうかがえる。


ずらりと並ぶロッカーにマッサージ機が2台。そして艷やかな木の手すりの階段。この階段はどこにつながっているのだろう。
2階はサウナ利用者専用の休憩室らしい。ちょっとだけ、見るだけ...とその魅力的な階段を上りちらりと覗く。
椅子とテレビがあって脱衣室が見下ろせるような小さな休憩スペース。特別感があってよい。

程よいガヤガヤ感に心を弾ませながら、いそいそ身支度をして浴室へ。
海の中をたくさんの魚が泳ぐタイル絵。喫茶店の名前も深海だったし海がテーマなのかな。
男湯の方を見ると向こうにはオレンジっぽいタイルが見える。どうやら一枚絵ではなくそれぞれに違うものが描かれているらしい。
洗い場にはぽつぽつと人がいて「あら〜こんにちは!」とか「お先に〜」なんて声が聞こえる。


体を洗って右手の3つ並んだジェットへ。
足を静かに入れ、ほぅ...と一息。ちょうどよい。私の好きな、程よくぬるめのお湯だ。
腰掛けタイプの浴槽から足裏、ふくらはぎ、背中に勢いよく水流を受ける。なんだかここの活気を浴びているような気分。

洗い場の裏になっていて気づかなかったが水風呂もあるようだ。
ちょっと手狭かななんて思ったけど浴槽に入り反対側から見ると十分に広い。サウナも水風呂もあって、お湯も三種類、立ちシャワーもいくつかある。狭いのではなく設備がいっぱいあるのだ。


ある程度温まり、一度出て髪を洗う。
泡タイプのボディソープとリンスインシャンプーが備え付けなのも嬉しい。
髪を洗っていると、床にあった排水溝の銀色のプレートが目に入った。カニの模様が描かれている。こんなところにも海(?)の要素が。可愛い。

さて、真ん中のぬる湯には人がいたので一番左の浴槽に入ってみる。
少し黄色みがかった日替わり湯は、なんとカボチャ湯とのこと。お風呂もハロウィン。
よもぎや柑橘系、ラベンダーなどはよくあるけどカボチャのお湯は初めての体験。なかなか熱め。熱めだけど、つい居座ってしまう。というのも壁に「ポカポカ新聞」なるものが貼られているのだ。

A4の紙にずらっと手書きで記されたものが計4枚。なかなかの読み応えである。新聞によると店主は週5,6で他の銭湯に通っているとのこと。
す、すごい銭湯愛!
その時貼り出されていた号にはおすすめの銭湯として、世田谷区用賀の「藤の湯」がとってもいいと書かれていた。
自分の銭湯で、他の銭湯をお勧めしている。なかなかできることではない。
十條湯に来る度に他の素敵な銭湯情報まで知れるとは、なんて懐の広い銭湯なのだろうか。銭湯界を盛り上げようという気持ちが感じられてなんだか嬉しくなる。


ポカポカ新聞も読み終わり、熱くなってきたので隣のぬる湯に移動。
ふぃ〜。私にはここがベストかも。
ぬる湯の壁には喫茶深海の期間限定メニューが貼り出されている。こちらはポカポカ新聞とは打って変わって、カラフルで可愛らしいタッチ。
クリームソーダにゼリー、女将さん特製のパンプキンパイもあるとのこと。見ているだけでワクワクする。
ただただお湯に浸かる時間を満喫するのもいいが、こんな風に壁に色々な情報があってぼーっと眺めながら入るのもまた新しい楽しみがあっていいなぁ。


身も心も温まり、脱衣室へ。
十條湯はオリジナルTシャツも販売しているらしい。
バックプリントに男湯、女湯それぞれのタイル絵が入っていてなかなか渋くてかっこいい。

脱衣室を出て喫茶スペースに寄るか悩んだものの、コーヒーを飲む人が何人かいる中で「ビールはありますか?」と聞く勇気がなくその日はお風呂だけ楽しんで、そそくさと出てきてしまった。
外から見ると窓側の席にはGINZAやPOPEYE、BRUTUSなどの雑誌が並んでいる。お洒落〜。

あとから調べると、喫茶スペースにはコンセントもあって充電ができる席もあるとのこと。
今度十条に来た時は、喫茶スペースでゆっくりとコーヒーやお菓子を楽しみながら仕事をして、終わった瞬間お風呂に直行プランだな。
仕事終わりにすぐにお風呂に入れるなんて天国である。また必ず来よう。
そう思いながら私は十條湯をあとにした。

【十條湯】
住所:  〒114-0031 東京都北区十条仲原1-14-2
電話:  03-3900-4600
アクセス:埼京線「十条」駅下車、徒歩5分
定休日:金曜日


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