無人島生活福袋　#毎週ショートショートnote

「渚！こっち〜」

「ごめん遅くなって」

「最近全然連絡取れないじゃん」

「ちょっとね、バタバタしてて」

「ねぇ2人とも、福袋どうだった？もしかして恵のそのファーコート...」

「そう〜可愛くない？」

「めっちゃ当たりじゃん！」

「うん、よく燃えそう」

「え？」

「あ、いやなんでもない。遙は？なんだった？」

「私はこれ！ネックレス〜」

「わぁエメラルド？いい色〜」

「確かに、ルアーにいいかも...」

「は？」

「ちょっと渚、さっきから変じゃない？」

「渚はなんだったの？福袋、いいの入ってた？」

「まぁ…」

「何〜？見せてよ！」

「あーえぇと、リゾート...チケット...かな」

私の福袋には無人島生活が入っていた。
2人に言おうか悩みながらここに来たけど、やっぱり言わないでおこう。毎年福袋を買って報告し合うこの会にも正直ちょっとうんざりしてた。
あれは人にも物にも縛られず過ごせる私だけのオアシス。

この先もう、福袋を買うことはないだろう。
だってあそこにいれば何もいらないから。

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