オバケレインコート #毎週ショートショートnote
「オバケレインコート」
「え?」
「私の中学時代のあだ名」
初めて話したあの日から、僕たちは昇降口で会うと一緒に帰るようになった。
今日も雨、彼女はレインコート。
「みんな傘なのに変なのって。チビだからレインコートのオバケみたいっていじられてついたあだ名」
彼女は淡々とした口調で言った。
「なんでレインコート、やめなかったの?」
傘を差して隣を歩きながら聞いてみる。
「これお気に入りだし。それだけ」
そう言った彼女の気持ちを、僕は量りかねていた。
2週間後、再び雨が降った日に学校を出る彼女を見かけた。僕はバッグをひっかき回しながら後を追う。
「ねぇ!」
「おー…なにそれ」
急いで着たレインコートから首をすぽっと出し、姿勢を正して言う。
「オバケレインコート、2号...です」
彼女は透き通った目で僕をじーっと見てから、にやっと笑った。
「ぬはは。友よ、では傘の民にはできない楽しいこと、教えてあげよう」
そう言って、彼女は僕の手を握って歩き出した。
(410字)
レインコートというお題を見て昔書いたショートストーリーを思い出し、続編のような感じで書いてみました。
たらはさん、今週もありがとうございます。
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