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マーケティングの教科書 #11 環境マーケティング

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本記事のポイント

  • 企業と消費者は環境を保護するための義務と責任がある

  • エコロジカル・バランスを保つための重要な要素はエコロジカル・マーケティングの6P活動

最初に本記事で押さえておきたいポイントだけ記載するようしています。
詳細についてはこの後の記事に記載してあります。

環境マーケティング

 かつて人類が自然界から資源を取り出し、消費して不要になったものを自然界へ捨てたとしても、食物連鎖や自然腐敗によって再び自然界が吸収する関係の中で生活を営んでいました。

 しかし、人類は天然資源を化学技術によって作り変え、自然界には存在しなかったものまで生成するようになりました。産業が進展し文明が高度化するにつれ天然資源の浪費と化学的に生成された物質の生産と需要が加速度的に増加しました。一方、廃棄の方法はこれまでと何ら変えることなく自然界へ捨て続けていました。地球の自浄能力や再生能力はバランスを崩し、瞬く間に自然界へ溢れ出してきたのです。その結果、1日6,000万トンの二酸化炭素が排出され地球の温暖化が急速に進行し、1日55,000ヘクタールの熱帯雨林と2,000ヘクタールの耕地が消失、200種の生物種が消滅してしました。フロンガスによるオゾン層の破壊、ダイオキシンによる生物の死滅など地球と人類の存亡の危機ともいえる状況になってしまったのです。

(1) 環境保護に関する法の制定

 環境保護を訴える人々や団体が中心となって、地球環境の保護やリサイクルの運動を進めていたが、日本や各国の政府も協力して環境対策に着手し、国内でも法制化する方向に動き始めました。

 わが国でも2001年4月から施行された「リサイクル法」や「グリーン購入法」などにより、商品や製品の廃棄・回収についてメーカーと消費者双方に対して環境を保護するための義務と責任を定めるに至りました。今後、さらに様々な国際協約や国内法が制定されて行くことが予測されますが、その理念の基本にあるのは、特にメーカーに対して「製品」や「商品」を売るのではなく「サービス」や「機能」を売ることへの転換を要求するものであり、資材調達から生産、流通、消費、廃棄というこれまでの一方通行型社会から脱却し、生態学的な視点に立ったエコロジカル・バランスを保つような循環型社会を、メーカーの責任において作り上げることを求めていることです。

(2) エコロジカル・マーケティングの6P活動

 エコロジカル・バランスを保つために、次に掲げる6つの活動それぞれの頭文字をとって「エコロジカル・マーケティングの6P」と呼んでいます。

① 製品 (Product)

 環境にやさしい、資源節約型の製品開発。たとえば、製品を加工・使用する際に環境に対して負荷をかけないような生産・消費ができる製品開発。あるいは不要になった際に自然環境が吸収してくれる素材あるいは回収して再生することができる素材の開発。

② 包装 (Packaging)

 包装の簡易化や無包装。廃棄やリサイクル時にかさばらずに収集・回収ができる形状の容器類。自然還元性包装材の使用やリサイクルできる素材の使用。詰め替えなど繰り返し使用の仕組み作り。

③ 価格 (Price)

 「環境保護」が「豊かさの放棄」あるいは「がまんの強制」にならないようなエコロジーとエコノミーのバランスがとれた価格設定。

④ 還流チャネル(Place)

 消費された後、不要になった商品や廃棄される製品などをリサイクルするためのパックワード・チャネル(還流チャネル)の構築。

⑤ プロモーション (Promotion)

 環境保全について消費者や社会に対する積極的な情報発信を行い、顧客に対してエコロジー商品の需要の喚起やリサイクルについての理解を深める活動。

⑥ 物的流通(Physical Distribution)

 これまでのQCDという基軸に「環境保全」の視点を加え、多頻度配送や輸送手段などを見直し、地球環境にやさしい物流システムを構築。


マーケティングの教科書シリーズはこれで最終回となります。
最後までお読みき、ありがとうございます。

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